春を迎えに太宰府へ

3月17日に富山の氷見から一度千葉の拠点へもどり、全国へのくすかきチラシの発送などを済ませ、体制を整えて、24日25日と熊本の津奈木で行っているプロジェクト「赤崎水曜日郵便局」の打合せや転送作業などを行い、26日と27日の午前中に行橋市で視察を行い、今日の夕方に太宰府入りした。本日は、くすかき8日前。今日から約5週間太宰府に滞在し「くすかき-太宰府天満宮-」を行う。

 

今年の会期は4月4日(土)〜25日(土)。毎年、樟の葉が落ちるこの時期に太宰府に来るようになってもう6年。プロジェクトベースで各地を転々とする自分の一年の暮らしの中では“春を迎えに太宰府に行く”というのがもう一年のサイクルに入っている。太宰府天満宮という聖地であり、また樟の杜でもあるという美しい環境で約一ヵ月毎日早起きするプロジェクトなので、自ずと心身が健やかになり、一年分のパワーをここで充電している気がする。

 

くすかきチラシが届いた東京の友人から嬉しいメールが送られてきた。「この時期、桜の開花と共に、くすかきのお知らせが来るのも毎年の春の到来を知る恒例行事になりました。」とのこと。そして、併せて、まどみちおさんの詩が添えられていた。

 

 

「どうしていつも」

 

太陽

 

そして

やまびこ

 

ああ 一ばん ふるいものばかりが

どうして いつも こんなに

一ばん あたらしいのだろう

 

 

ほんと、その通り。樟の木は大きなものは樹齢1500年以上。それでも毎年、古葉を押し出し若葉が芽吹く。とってもふるくて、一ばんあたらしい。太宰府天満宮の歴史は1110年以上。それでも、境内でのアートプログラムなど新たな挑戦をし続けている。とってもふるくて、一ばんあたらしい。

 

今年も一ばん ふるくて、一ばん あたらしい春を、太宰府で迎えます。

 

(以下、くすかきチラシより抜粋)

 

『千年後の日常を一緒につくってみませんか?』

 

「くすかき」は太宰府天満宮の樟の杜を舞台とした参加型アートプロジェクト。平成22年(2010)年にスタートし今年で6回目を迎えます。

 

境内に広がる樟の杜には千年続く樟と人との営みがあります。くすかきは、そんな悠久の世界に出会う入口となります。そして、アートを介した新たな人のつながりから生まれる時(世代)を超えたコミュニティを創出し、やがて、季節の風物詩として地域に根ざしたプロジェクトとなることを目指しています。

 

樟の杜は、毎年春になると、新芽が古葉を押し出して、一斉に葉を落とします。お宮の方々は千年ものあいだ、その葉を掻いて、新芽を見上げ、樟の杜と向き合ってきました。そんな境内の天神広場には、今日の樟の杜を形づくる巨大な木々と同様に長く大事にされてきた、樹齢千年ともいわれる1本の樟の木(※)が存在しました。「くすかき」は、この地で千年続く樟の落ち葉を“掻く”という毎日の行為を通して、人びとが出会い、語らう場をつくり、会期最終日「くすのかきあげ」に集った掻き手によって、かつて存在した千年樟の姿を“描き”出そうという試みです。

 

それは“目に見えないもの”“見えないけれど大切なもの”を感じるという、日本人が元来持っている特有の感性のあり方を伝えていく、年に一度の出会いと再会の場となります。

 

※天神広場にあった千年樟(16号木)は参拝者の増加による地固めや酸性雨の影響で平成6年(1994)年に枯死した。

 

くすかきチラシ2015