水蒸気蒸留装置設置

太宰府3日目。くすかき6日前。今日は鬼すべ堂にて水蒸気蒸留装置の設置を行った。6年前に自ら実験、設計したこの装置は、樟の葉から樟脳を抽出するものである。

 

福岡県みやま市に江戸創業の、日本で唯一天然樟脳をつくっている内野樟脳さんにも会いに行き、当時、樟脳の取り方をいろいろ教えてもらって、試行錯誤を繰り返しどうにか形になった。普通は樟脳成分の含有量が多い幹から抽出するのだが、くすかきでは葉っぱから抽出する。何年かやってきてだいたいリヤカー1台の葉っぱからマグカップ一杯ほどの樟脳が採れる。とはいえ同じ条件でも収穫量に波があり、そのことについても、一度、内野樟脳さんに相談したのだが、江戸から続く老舗でもフタを開けてみるまで量は分からない。多い時も少ない時もあるということだった。

 

くすかき的な経験でいうと、「くすのこうたき(水蒸気蒸留)」を行ったあと一晩外気で冷やすのだが、冷え込みが厳しかった翌日の収穫量が多いような感覚がある。要は気温差である。今年は今のところ温かい日が続いており、今年はちょっと心配です。

 

抽出された樟脳は紙に包んで「樟香船(しょうこうふね)」となって、会期最終日のくすかき奉告祭にて天神様に届けられます。また、くすかき奉加帳というプロジェクト運営のための寄付制度への参加をしてくださっている全国の方々の手元に、今年の香りとして送り届けます。

 

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竃のまわりをブロックで覆います。

 

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竃の上の銀色の部分に樟の葉っぱを入てれ蒸し、オレンジのタンクで冷却して樟脳を回収します。

 

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今年は、まるで春のタケノコのように少し斜めに勢い良く飛び出して見えます(笑)