クレオソートをひたすら拭く

魚々座(ととざ)5日目。今日は1日雨。夕方からは天気が急変し、強風注意報が発令されるほど大荒れとなった。

 

ここ魚々座でのそらあみワークショップは通常13時〜16時ということになっているのだが、9時の開館から少しすると、もう編みに来ているではないか!10時前には、なんと3人が編んでいる。

 

五十嵐「おはようございます!早いですねー!」

中田さん「家ですることもないし、ここは温いしなぁ。」

五十嵐「おはようございます!昼からですよ(笑)」

地家さん「知っとるよ。でも今日は雨で天気も悪いし、畑仕事もできんやろ。だからみんなに、はよ行こて、電話してな(笑)」

 

やることがあるから、来ることができる。そこに居場所ができる。そこに行けば誰かが編んでいる。だから編みに行く。我々のようなタイプの現代美術家の仕事はある意味「場づくり」とも言えるのだが、ここの場は良い意味で勝手に展開していっている。すると、この場がどうやって、さらに次のステージにいくと良いのか、自ずとイメージが膨らむ。

 

編むことの先にあることについて考える。ここ魚々座が氷見でもっと機能する魅力的な場所にしていくにはどうすると良いか?〈そらあみ〉の人のつながりはそこでどんな役割を担っていけるのか、、、。じわじわと、この人の輪に新たな風を入れながら広げていきたい。

 

こうして、網は今日も順調に編み進められていった。

 

午後、〈そらあみ〉を空に掲げるための11本の棒が届いた。長さ6メートルの丸太だ。〈そらあみ〉で使用する棒は、いろいろある。竹、鉄筋、植木などなど、基本は状況に合わせてだが、その環境ならではの棒を使うことが多い。ここ氷見では北陸地方の冬の風物詩である「雪吊り」で使用する木製の棒を使う。

 

しかし、届いた棒がなんだか黒くてヌルヌルしている。あれ?なんか去年と違うな、、、。持って来てくださった野寺さんに事情を聞くと、このヌルヌルは「クレオソート」という防腐剤だという。新しい雪吊りの棒は長持ちするようにみんなクレオソートに漬け込んであるのだそうだ。

 

、、、しかしこれは困った。網が黒く汚れてしまう。去年も使ったがこんなにヌルヌルしてなかった理由は単純に古い雪吊り棒だったということらしい。、、、いろいろ話し合って考えたが、拭いたほうが早いということになり、皆さんには引き続き編んでもらい、野寺さんとヒミングスタッフの上地さんと自分と3人で、ひたすら拭いた。午後はほとんどの時間拭いていた。これがけっこうな重労働。雪吊りにとっては防腐剤だが〈そらあみ〉にとっては油汚れ。あきらめるわけにはいかない。

 

途中、心が折れそうになりながらも、ひたすら雪吊り棒を雨の降る寒い屋外で拭き続けていると、なんだか北陸の冬と間接的に戦っているような気分になってしまった(笑)

 

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朝10時には自然とはじまります。

 

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雪吊りの棒が届きました!

 

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ひたすらクレオソート(防腐剤の油)を拭いて落としました〜。ほんとお疲れ様でしたー!