潮の満ち引きのある浜辺にポールを立てる難しさ

沙弥島滞在33日目。今日は、そらあみの仮設置を行った。

 

今回のそらあみは波打ち際での設置となる。そのため、潮の満ち引きを計算して作業時間を決め、ポールを設置しなければならなかった。

 

施工業者さんは、干潮のタイミングの1〜2時間前に現場入りし、潮の引き具合を見て、徐々に作業にとりかかる。

 

1時間ほどで、水平距離にして4mほど潮は引き、逆に満ち潮に変わると、1時間で4m波打ち際が迫ってくるといった条件下でのポール設営は決して簡単なものではなかった。

 

しかも、作品の意向としては、可能な限り沖に設置したいと伝えさせてもらっていた。とはいえ、干潮時に施工業者さんが海に浸かるまでの作業できる時間の限界があるので、自ずと限界のラインができる。

 

結果、ギリギリのところでポールが立った。無理を聞いてくれた男気のある施工業者さんには心より感謝である。

 

強度計算をしてくださった一級建築士の方々もおっしゃっていたが、強度計算としては、計算上はまったく問題ないのだが、今回の相手は浜辺。どれくらいこの浜辺の砂が波によって動くのかは、正確には分かりきれない部分がある。

 

こういった形で浜辺にポールを立てるというのは、過去の事例がない。ゆえに、建築家にとっても施工業者にとっても、新しい挑戦だったのだ。

 

当然、ご察しの通り、漁師さんたちは、いろんな意見を言う。

 

「こんな方法でやっとったら、倒れるで」

「浜の砂は動くからの」

「杭だって、浮いてくるかも分からんぞ」

「もっとこう大きなコンクリートの塊を打ち込まんといかん」

「波がかかったらみんな錆びてしまうやろ」

 

こうして、みんなが作品の心配をしてくれる。どうやったら上手く設置できるかそれぞれに考えて意見してくれる。

 

結果としては、もちろん建築家の強度計算と図面の元、施工業者がポールを立てるのだが、漁師さんたちも一緒に新しい挑戦をしているというのが伝わってきた。

 

海は生きている。毎日、潮が満ち引きし、こんなにも変化してしているとは、こうして向き合ってみないことには気がつかなかったことである。

 

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潮が満ちてくる。限られた時間の中での作業が強いられる。

 

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浜辺を掘れば、当然、水が出る。

 

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潮が満ちてきた。これ以上は作業できない。

 

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ここに、そらあみがかかったら、、、と思うと興奮する。

 

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滑車を仕込む。

 

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仮設置。