糸巻きには人の心を落ち着かせる効果があるようだ

サンパウロ9日目。7:30PIPAへ。7:40〜9:00スタッフミーティング(金曜日は一週間の振返りをじっくりやるので月〜木曜日より1時間長い)。そのスタッフミーティングで先生たち(心理学者・理学療法士・言語療法士・看護師・体育指導員などで構成)から、昨日スタートした糸巻きワークショップを受けて「糸巻きをすることで子供たちに落ち着きが見られた」「普段集中するのが苦手な子供が集中している様子があった」「五十嵐が帰った後も糸巻きを授業に取り入れてみてもよいかも」などといったポジティブな意見があった。専門的な視点で自閉症の子供たちと日々向き合っている人たちから、こういった反応が得られたのは良かった。理由は分からないが、どうやら糸巻きには人の心を落ち着かせる効果があるようである。

 

9:00子供たちの受け入れ。みんなが着替えをしてから授業がはじまる(着替えもPIPAで取り入れている生活療法の1つ)。そして、9:20〜11:00糸巻きワークショップを行った。PIPAは7つのクラスがあり、昨日やってないクラスが今日やって、全てのクラスで1回目の糸巻きワークショップを終えた。

 

小さいクラスのこどもが糸を巻き取る装置に強い興味を抱いていた。先生の話によると、自閉症の人は回転するものが好きなのだそうだ。朝のランニングも広場に三角コーンを置いて、そこをぐるぐると走る。糸巻きも手を動かしてぐるぐると糸を巻く。以外と共通点があるのかもしれない。

 

綛糸から糸玉にする工程(糸を引っ張る、糸を送る、糸を巻く)を交代しながらやっている様子を見ていると、それぞれに“できることできないこと”“得意不得意”“好き嫌い”があることがわかる。それは、彼ら一人一人の特徴である。何かが違うとやらないし、面白いとずっとやっている。同じことでも人によって、その反応は違う。中には、あまり興味を示さない人もいる。子供たちそれぞれが自分と糸との相性、自分と所作との相性を確かめるように過ごしているようにも見えた。ゆるやかな雰囲気で時間が流れていった。

 

11:30〜12:30くらいで子供たちは昼食を食べる。そして13:00に迎えに来た親たちに、子供たちを送り出しPIPAの午前が終了。午後、先生たちは明日の授業の準備やレポートや資料づくりなど各自の仕事を行う。自分は、藍染のための大きな鍋やガスコンロなどの道具を出して水洗いしたり、染める場所のセッティングなどを行った。

 

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昨日、谷口木工から届いたばかりの玉に糸を巻きつける道具に興味があるようだ。車のハンドルのように、ぐるぐる回す。

 

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ぐるぐる糸を巻いてみる。

 

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糸を巻く人。糸を巻き取ってもらう人。それを眺める人。ただそこに共にいる人。穏やかな時間が流れる。

 

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藍染めの染料づくりには大量の熱湯が必要となる。偶然にもPIPAに大きな鍋があってよかった。