走ってつながる感覚を覚える

サンパウロ6日目。今日は天気が良く暖かい。どうやら晴れる(日が差す)と暖かくなり、曇りや雨だと寒くなるようだ。今サンパウロは冬なのだが、5℃の日もあれば27℃の日もある。季節ごとに気温が安定している日本に比べ寒暖差が激しい。

 

7:30PIPAへ。8:40スタッフミーテング参加。8:00子供達受け入れ。8:30から一緒に30分ランニング。自閉症の人は言葉でのコミュニケーションが苦手。自分もポルトガル語でのコミュニケーションは苦手。先生たちをはじめ、他者との距離感はある種同じ感覚なのかなと思う。そんなみんなと今日も走る。昨日は調子が良かった人が今日は調子が悪かったり、その逆があったり、何がきっかけなのかは分からないが、いい感じでいける日とそうでない日があるようだ。あと単純に走るのが好きと嫌いというものあるのかもしれない。

 

それでも、ぐるぐると、ひたすらに広場をみんなと一緒に走る。

 

ぐるぐる。ぐるぐる。ぐるぐる。ぐるぐる。

 

笑顔。笑い。涙。悲しみ。怒り。奇声。苛立ち。興奮。やさしさ。甘え。33人の子供と20人の先生たちの様々な感情や状況が一緒に広場を回る。

 

ぐるぐる。ぐるぐる。ぐるぐる。ぐるぐる。

 

ずっとそんな状況で走っていると、いつしか、何か、流れのようなものを感じるようになった。見えない流れだ。何か感情の流れのような、存在が動いて生み出す流れのようなもの。それらが空間を掻き混ぜながら溶け合い。さまざまな感情や存在が大きなエネルギーの渦の波の中に飲まれていく。グルーブ感というか、10年出ている博多祇園山笠に流れるあの感じと、どこか似ている。ああいった祭りのように、人が集まって一つの方向に動いた時に生まれるエネルギーの流れだ。

 

明らかに走りはじめた時よりも、今の方がその流れが強い。そして、昨日の流れとは違う。今日は今日だけの流れなのだ。この時、走りながら何かとつながっている感覚を覚えた。

 

言葉に頼れない分、自分は他の部分で様々なことを理解するしかない。そうすると自ずと他の感覚が開いてくる。言葉を無くして、ひたすらに同じ場所を自閉症の人たちと一緒に走っていると、走ることでこういうことが起きていることに気づかされた。走ることでもつながれるのだ。そんなこと考えたこともなかった。

 

「PIPAのみんなは、こっちにいたのか、、、」心の中でつぶやいた。みんなのいる世界を垣間見た気がした。

 

広場からPIPAへもどったあとは、障害物運動や縄跳び、音楽の時間など他の授業と子供達の変化をリサーチ。13:00に子供たちを送り出し、午後からはPIPA内での組台仮設置場所を選定し採寸を行ったり、玉のサンプルに昨日経尺した240本の糸25mを玉付け(巻きつける)作業した。この25m×240本を玉付けしたサンプルを明日、谷口木工に持って行き、リオデジャネイロの展示で使用する玉を作ってもらう。

 

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同じ場所にいても感じている世界は違う。

 

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こんな障害物を越えていく授業もあります。

 

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長縄の時間。普段からやっているからか、みんな運動神経が思ったより良い。

 

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玉のサンプル(厚紙でできた芯)に25m×240本を巻いてみた。これで、だいたいの1玉の大きさがわかる。

 

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13:00子供たちを送り出す風景。外では親が迎えに来ている。先生が「ボアタルジ」と、こんにちはの挨拶。こどもは小さな声で「ボアタルジ」か、先生の「ボア?」に対して「タルジ」と答えて帰る。

 

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藍染めのためにホームセンターで購入した90ℓと60ℓのポリバケツとタライ2つ。

 

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藍染めのための道具。無事に空港の税関を通過できてよかった。すくも(藍の葉を発酵乾燥したもの)、木灰、石灰、ハイドロ(還元剤)、ph試験紙、ゴム手袋などなど。クラフト工房La Manoの全面協力に感謝!