くすかき六日目。広がる根っこ、それぞれの関わり方。

くすかき六日目。今朝の気温は3度。太宰府入りしてから最も冷え込んだ朝。でも日が出ると暖かく、日中気温は19度までになった。朝の〈くすかき〉には大人19名、子供13名、合計32名が集った。今朝は参加者が多かった。多い日、少ない日、いろんな日がある。理由は分からない。それぞれに寝覚めが良かったり、足が向くタイミングがあるのだろう。しかしこんなに寒い朝にこんなに集まるなんて、なんとも面白い。

 

初参加の人に話を聞いてみると、「〈くすかき〉は以前から知っていて、ずっと気になってて、やっと来れました」とか「子育てがひと段落したので今年は参加できます!」といった声があった。

 

これは一度きりの開催だったら決して起きないことである。長く続けたから起きることなのだと思う。参加できるタイミングというものが、それぞれにあるのだ。毎年、樟は葉っぱを落とし、この10年〈くすかき〉を続けてきた。少しずつではあるが、樟の葉が落ちる頃に〈くすかき〉があるということが確実に伝わっていっていて、今ここに来られないけれど気にしてくれていたり、興味を持ってくれている人が増えているのだと実感できるようになった。

 

会期中にお宮で限定販売される、くすかき関連の品である「くすかき芳樟袋」「くすかき手ぬぐい」(※くすかきHPからも注文可)も、「毎年まとめて購入して各地の友人に送っているのだけれど、評判が良いから今年も楽しみにしています。」といったメッセージ付きの注文が先日届いた。こんな形で〈くすかき〉を楽しんでくれている人もいたのだ。これも予期していなかったことだ。

 

また、〈くすかき奉加帳〉という2000円の寄付をいただき運営資金に当てさせてもらい、そのお礼として「芳樟袋(樟の葉を包んだ匂い袋)」「樟香舟(樟の葉から抽出した樟脳を紙で包んだもの)」という太宰府からの春の香りをお届けするといった制度も、東京をはじめ全国各地に毎年季節の風物詩として楽しみにしてくれている人が増えてきている。

 

参加のタイミングや、参加の形はそれぞれで、現場に来られなくても、いろんな関わり方で〈くすかき〉を楽しみ、応援し、形づくってくれている人がいる。だからこうして続けて来られたのだ。10年続けさせてもらえたおかげで、その裾野が確実に広がっている。今の想像力と感謝の気持ちを忘れずに、樟の木が大地に根を張るようにゆっくりと確実に〈くすかき〉を育てていきたいと思う。

 

目に見える若葉は、目に見えない根っこによって支えられている。

 

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朝6:30に32名。なかなかの迫力。人手があると広い範囲を〈くすかき〉できます。

 

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根っこの周りも丁寧に〈くすかき〉します。

 

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今日の掻き山。

 

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目に見える若葉は、目に見えない根っこによって支えられています。

 

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今朝は3度と冷え込んだせいか、空気も澄んで、朝日を浴びた樟がキラキラと輝き、荘厳な景観が広がっていました。まさに聖地としてのお宮の姿。1時間後には観光客で賑わい、また全く違った雰囲気となります。