くすかき初日。〈くすかき〉とは葉っぱの落ちてくる場所を整える(つくる)こと。

くすかき初日。8:00〜職人の原口さんから松葉ほうき受け取り。13:30〜御本殿にて〈くすかき成功祈願祭〉(大人11人/子供0人)。14:00〜〈柵設置〉と〈くすのこうたき〉の準備を行い、無事に初日を終えた。

 

例年だと初日は職人の原口さんに来てもらって、松葉ほうきづくりからはじまるのだが、原口さんが83才ということもあり、新型コロナウイルスの感染を避けるため、今年は希望者が松葉ほうきを購入する形をとることにした。満開の桜の下で松葉ほうきを作るという、あの贅沢な時間を楽しめないのが残念で仕方ない。来年こそ開催したいところだが、原口さんも83才になられるので、今後、松葉ほうきづくりをどうしていくか考えていく必要がある。

 

8時、朝の清々しい光の中、満開の桜の下で15本の松葉ほうきを受け取った。原口さんに聞くと、後継者はいないという。研修に行く?なんて声も出るが、見た目の美しさはもちろん、使ったときの程よいしなりなど、このクオリティで作れるとは思えない。今できることとして今年は制作の様子を映像記録としてカメラマンの仲信君に残してもらうお願いをした。松葉ほうきを作れる人がいなくなったら、天満宮はもちろん全国の寺社や庭園は困るだろう。原口さんの松葉ほうきを買いに来て飛行機で大阪まで運んでいるところもあるという話も聞いた。くすかきにとっては一番大事な道具である。まずは大事に長く使うことを心がけたい。

 

13時半、〈くすかき成功祈願祭〉。御本殿に上がって、天神様にご挨拶。立つこと、座ること、歩くこと、手を合わせること、礼をすること、一つ一つの所作に意識を巡らす。ピシッと背筋が伸びて、気合が入る。祝詞を聴きながら去年のくすかきを振り返っていた。

 

去年は会期中に新型コロナウイルスに対して緊急事態宣言が出たため、最後は1人での〈くすかき〉となった。1人で向き合う天神広場は広くて大変だったが、1人になったことで、あらためて〈くすかき〉にとって一番大切な考え方を確認する貴重な機会となった。〈くすかき〉とは何か?

 

〈くすかき〉とは葉っぱの落ちてくる場所を整える(つくる)こと。

 

今年もこれから3週間、葉っぱの落ちてくる場所を整えます。そして、最終日の4月17日には、かつて天神広場に存在した大きな樟の木の葉っぱが落ちてくる場所を、そこにはない樟の木を想像しながらつくりあげます。

 

樟の葉っぱに触れ、新芽を見上げ、匂いを感じ、五感を開いて、見えないけれど大切なことと向き合う春がはじまります。

 

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会期前3/21の準備の様子。〈くすのこうたき(樟脳づくり)〉のための水蒸気蒸留装置設置。

 

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釜に火入れ

 

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燃料となる薪は〈くすのこうたき〉会場の鬼すべ堂の裏山から不要になった丸太を運び出します。

 

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釜づくりを終えて、令和三年(2021年)の水蒸気蒸留装置設置完了。

 

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3/24芳樟袋に入れる樟の葉っぱを集めに天神広場へ。今年の樟の落葉は例年に比べて1〜2週早い。

 

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静岡県の浜松より、プロジェクトメンバーの黒野さんから芳樟袋に取り付ける〈こより(紙の札)〉が届いた。こよりも全て手作りです!同封されていた手紙には、今年もコロナで現地入りを見送るのが残念だけれど、こよりに想いを込めますとのメッセージ。再会したい気持ちが2年分募る。

 

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3/24滞在先、兼制作スペースである山かげ亭(お宮のレジデンス施設)の桜が満開です。

 

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この桜とは12年の付き合いになります。毎春、満開で迎えてくれます。いつしか自分にとっての桜の木は、この木になりました。

 

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3/26山かげ亭での制作風景。芳樟袋のパッケージにハンコ押し。

 

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手ぬぐいに帯を巻いて、参加カードも準備万端。

 

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芳樟袋。中川政七商店さんからの毎年の生地提供。感謝です。樟葉が入って、こよりも付いて出来上がり。案内所と宝物殿で販売しています。くすかきホームページからも購入可能です。収益はプロジェクト運営資金とさせていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

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3/27水蒸気蒸留の薪となる丸太をチェーンソーで切ります。

 

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3/27くすかき初日。〈日々のくすかき〉のメイン会場となる天神広場石灯篭前の葉っぱを集めて、まずは場所を整えます。

 

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柵設置無事に完了。