くすかき六日目。2つの芽吹き。

くすかき六日目。6:30〜〈日々のくすかき〉(大人18人、子供9人)。早朝の境内に集まった人数は総勢27人。賑やかな雰囲気で朝のくすかきが行われた。

 

12回目となる〈くすかき〉だが、毎年どんな年になるか誰にも分からない。樟の落葉のタイミングや天候といった自然現象としての要素。そして、どんな人が集うか?毎年参加の人、初めての人、今年は来られない人といった人的要素。それらの絶妙な関係が会期3週間の物語を紡ぎ出す。

 

そんな中で、毎年参加している大人たちの楽しみの一つに「芽吹き度」という考え方がある。樟若葉が芽吹くのに重ねて、人の成長をそう言っている。特に子供たちに多く現れるのだが、会期中のこの3週間の間に目覚ましく意識や行動の変化が現れ大きく成長する人がいる。まさに樟若葉が芽吹くように一気に開花する様には感動する。

 

現場に来てもフラフラとしていただけだったのに急に頑張りだしたり、指示を出されるまで動けなかった人が自分で考えて動けるようになったり、縞模様や掻き山の形にこだわりを持つようになったり、初めての人や困っている人がいたら声がかけられるようになったり、その変化は人それぞれなのだが、“芽吹いている”というのは、日々参加してさえいれば誰もが気がつけるくらいはっきりと分かる。なぜそんなことが起きるのかは分からない、樟若葉に感化されるのだろうか?

 

なので時々こんな会話があったりする。

 

「今年の〇〇くんは、ちょっときてるんじゃないの?」

「やっぱり、そうだよね。芽吹きつつあるよね」

 

また逆に「今年は〇〇くんが芽吹くんじゃない?」「いいかもね」なんて期待をしてみると、以外にも翌日から来なくなったりといったこともある(笑)

 

大なり小なりみんなそれぞれの芽吹きはあるのだが、そんな中でも一番の芽吹き度だった人が、その年の“年男”のようなイメージで、最終日の〈くすのかきあげ〉で「舟当番」という大役を担う。今年の香りを天に届けるという役割である。毎年「今年は〇〇くん(ちゃん)の年やったね」と自然に決まる。

 

今年は、この3週間でどんな“芽吹き”が見られるのか楽しみである。見上げて気づく樟若葉の芽吹きと、協働しながら気づく人の芽吹き、2つの芽吹きが見逃せない。

 

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今年は誰の年になるのか

 

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それは誰にも分からない

 

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大人だって芽吹くんです

 

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美しい光の朝でした

 

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太宰府天満宮の案内所では様々なお土産と一緒に、くすかき関連の品が販売されています。春限定商品なので季節のお土産として手にとっていただけたら幸いです。収益はプロジェクトの運営資金とさせていただきますのでご協力のほどよろしくお願いします。

 

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芳樟袋は樟の葉の入った匂い袋。生地は中川政七商店さんに、ご提供いただいております。手ぬぐいは福田屋染物店に染めてもらっております。

 

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太宰府天満宮の境内で管理されている全51本の樟。その葉にはそれぞれ色や形に微妙な違いがあることに気づき、一枚ずつ描いた原画を元に、注染という技法で制作された手ぬぐいです。カラーテーマは常若(とこわか)。千年生きる樟の木が今年も若葉を芽吹かせる様子から、いつまでも若々しい樟の葉をイメージした緑色にしました。