くすかき十三日目。6:30〜〈日々のくすかき〉(参加者25人)。10:00-16:00〈山かげ亭での制作〉(参加者5人)。
掻き山を移動して気づいたことがある。掻き山は近くの樟の木と関係性をつくるということだ。これまで13年間毎年同じ場所で〈くすかき〉を行ってきた。その時に向き合う樟の木は近くにある3本の木だった。今回、週末に歌舞伎公演が行われるため一時的に太宰府天満宮幼稚園の園庭に掻き山が移動してきたのだが、幼稚園には幼稚園の樟の木がある。すると、自然とその樟の木を中心に〈くすかき〉をするようになり、その葉が掻き山に加わり、幼稚園の樟の木と向き合うようになる。
太宰府天満宮の境内には約100本の樟の木があり、ナンバリングされて管理されている木は51本存在する。それならば、毎年向き合う樟の木が変わっていくようにすると、51年で同じ樟の木にもどってくるというようなサイクルで〈くすかき〉をすることもできるわけだ。樟の木には一本一本個性があり、生えている場所も境内の各所に至る。ロケーションも葉の特徴も一年ごとに少しずつ変化していく。毎年、向き合う樟の木を変えながら51年かけて境内を旅するという新しい〈くすかき〉のあり方を想像した。
「自分が15歳の時に〈くすかき〉して向き合った樟の木はあの木だった」とか、
「あの年の樟の木の場所でする〈くすかき〉が好きだった」とか、
「今10歳だから、次にこの樟の木で〈くすかき〉するのは自分が61歳の時か!」
なんて話がされる未来を想像してみた。
樟のまわりに柵がない。これがこの地の原風景。
宝探しをしているのではありません。枝を拾っているのです。樟は、葉っぱ→枝→花→実の順番に落としていき、季節の変化を教えてくれます。
一時的な設置場所のため柵をコンパクトにしているせいか掻き山がとても大きく見える。
幼稚園に掻き山があると、幼稚園の樟の木と向き合うようになる。この樟は小さくて真っ赤な葉っぱを落とす特徴がある。葉が小さくて赤いのは幼稚園という場所をまるで意識しているかのようだ。