風景をつかまえる

明日は発表会を行うため、今日がそらあみづくり体験講座の最終日。土曜日ということもあり、朝から数人の参加者が集ったので、全体感を把握するため、一度、編んだ漁網を空に引き上げた。両脇がたるんでいる。空にピンと網を張るために両端と下辺のロープ処理が必要である。でもそれはこっちの都合である。時間のない中来てくれた参加者の方から編み方を覚えたいという声があったので、午後にロープ処理の作業をすることにして、午前中は編みはじめから、みんなでもう一度おさらいしてみた。遠くで見ていた漁師さんが、編みはじめが気になったらしく、寄ってきて最初は離れて観察、途中から一緒に実践しながら、編み方の違いを検証してくれたり、三宅島のそらあみらしい時間が流れた。

 

お昼休憩のあと、足りない部分を編み足し、両辺と下辺のロープ処理をし、再び空に漁網を引き上げ、全体のバランスを見ながら網の目が均等に広がるようにテンションをかけ、完成!

 

その後はしばらく“そらあみ”と、そらあみの向こう側に見える三宅島の風景を観察した。今朝、島に到着した東京都文化発信プロジェクト室の大内さんが言う。「これって見え方が面白い。見る角度によって見え方が違う。斜めから見ると色が濃くなり、正面から見ると見えなくなったり、なんか、虹やオーロラを見ているみたい」。同じ船で到着したアーティストのEAT&ART TAROさんも、別のタイミングで「見えたり見えなかったり、なんか虹みたいだね」と同じことを言う。

 

そして三宅島で“そらあみ”を作ったロケーションは表からも裏からも歩きながら眺めることができ、遠くに見える土地の風景にそらあみの色が馴染んで消えたり現れたりするのを体感することができる。写真では伝わりづらく、肉眼で見る時の見え方の変化の面白さが、この“そらあみ”という作品の1つの魅力としてあるということを再確認した。

 

そらあみの色は、時間と共に移り変わる三宅島の風景をとらえ続ける。白は雲をとらえ、緑は山をとらえ、黒は溶岩をとらえ、オレンジは夕日をとらえ、カッチは焼けた漁師の肌をとらえる。四角く編まれ構成された色の網は時に浮かび上がり、時に馴染んで消えて見える。

 

“そらあみ”はそこにあるのにないようで、そこにないのにあるような、虹やオーロラのような見え方をする。

 

そのことを“そらあみ”のはじまりの島、三宅島にもどって強く確信した。

引き上げてみる

漁師さんも参戦。三宅島のそらあみらしい風景

左:長年、編み続けてきた人 右:昨日から編みはじめた人

青空に栄える

最後の仕上げ

完成!風景から飛び出す部分と、風景に馴染む部分。普段の風景の見え方が変わります。

正面からの様子

同じ雲(↓下の写真)も網目の色によって見え方が違います

同じ雲(↑上の写真)も網目の色によって見え方が違います

クニさん登場。完成したそらあみを振り返る

2人で見上げた。五十嵐:「楽しかったですか?」クニさん:「おぅ、こんな大きなの編むことないしな」

ここは編み方間違ってないけど、長さがちがうな(笑)

クニさんは今日も温泉に向かうのでした。この人がいなかったらできなかった。ありがとうございました!

最後は、三宅島の夕日の風景をつかまえた