春の雷雨と落葉

くすかき9日目。今日は日曜日で昨日と同じ一日の流れではあったが、落葉量は今日の方が多かった。昨日から暖かい日が続いた影響だろう。朝のくすかきで綺麗に集めてなくなった葉が、夕方のくすかきでは同じ風景に戻っていた。掃わいても掃わいても同じ風景に戻っている。いよいよ、くすかきシーズン到来といった感じであった。朝のくすかきには12人、くすのこうたきには18人、夕方のくすかきには20人もの参加があった。

 

中には、別のプロジェクトでお世話になった大阪の辻波さんと、仕事が変わって三宅島から福岡に引っ越してきた猪股さんの姿もあった。遠くの別の地で再会する嬉しさと、どこにいるのか分からなくなる不思議な時間でもあった。最近、移動する人は移動する者同士で、こうして、また別の土地で再会することが多くなってきている。1つの土地という点で重なる人生の線というものは、徐々に時間と空間を飛び越えつつある。移動を繰り返す人は“会う”ことで自分の今いる場所であり位置を確認する。会うことで場が生まれ、場があるから会うことができるのである。次にどんな場で再会するのか、その時どんな線を描いているのか、それもまた楽しみである。

 

今朝の天気予報では午後から雨50%と出ていた。なんとか空が我慢してくれたらいいが、、、と思いつつ1日が始まり、朝のくすかきを終え、鬼すべ堂へ上がって、くすのこうたきと定例会を行い、夕方のくすかきを行うまで、予想に反して日差しが明るい1日となった。

 

ところが、夕方のくすかきを終える17時頃になって急に雲行きが怪しくなってきた。厚く重そうな雲が西の空からあれよあれよと言う間に押し寄せてきて、辺りに生温い風が吹きはじめた。これはまずい。完全な夕立の兆候である。

 

「雨が降り出しそうなので、みんな急いで終わりましょう!」と声がけして、道具のかたづけを終え、早々と別れの挨拶をして、お宮を離れる頃になると、ぽつぽつと雨が降り出した。「急げ!急げ!」皆、駐車場へと向かおうとした時、辺りはもう既に、あの雨の匂いに包まれていた。次の瞬間、一気にザァーっと雨が降り出した。そして、雷がゴロゴロと鳴りはじめ、辺りの風景はみるみるうちに夕立にのまれていった。まるで夏の夕方のような状況であった。

 

雨に濡れまいとみんなが走っている。その状況は、不謹慎だが、なんだか面白くもあった。理屈や立場や年齢に関係なく、避けられずに皆で体感してしまうこういった類いのことが自分は好きである。あの、前髪から垂れる雨の滴を拭きながら、目が合った時に、思わず互いに苦笑いしてしまうあの感じである。

 

樟の落葉も似ている。朝、大量の葉が落ちてくると、お宮の人は呆れつつも、少し楽しそうに樟の葉を掻いているように見える。実際、そんな朝は「五十嵐くん!ほれ早う掻かんと!(笑)」と声をかけてくれる。この樟の夕立とも言えるこの時期の落葉はそんな自然のハプニングを共に楽しむ時間なのだと思う。

 

雨も樟の落葉も、受け取り方次第ではただの迷惑かもしれない。でもそれを楽しめるかどうかが人生を豊かに生きれるかどうかの大きな違いのように思える。

 

理屈ではない。立場も年齢も関係ない。ただ自然の大いなる出来事を全身で楽しむことができるかどうかである。世界は、自然は、こんなにも日々激変し、生を輝かせている。

朝はこんなにたくさんの落葉が!

鬼すべ堂でくすのこうたきをしながら、みんなで食べるお昼は格別に美味しい

夕方にはまたこんなに落葉が!