「一番乗り」という勲章

太宰府滞在35日目。くすかき21日目。晴。くすかき最終日前日。

 

今日は、早朝くすかき→朝のくすかき→樟脳の昇華など室内作業→福岡女子短期大学での講義後、くすかき体験授業→夕方のくすかき→柵設置→くすのかきあげ使用道具の準備→直会会場準備といった1日で、朝6時から深夜2時過ぎまで動き続けた。

 

いよいよ明日は、くすかき最終日に行われる最大行事「くすのかきあげ」の日。準備はほぼ整った。あとは天気が良くなるのを祈るばかりである。

 

明日も「くすのかきあげ」で使う落ちたての葉っぱを集めるために、急遽早朝くすかきを行うことにしたのだが、以前から予定していた早朝くすかきの最終日は今日であった。早朝くすかきは、毎朝6時半からはじめることになっているのだが、正直に言うと後半に向けて6時半よりも少し早く到着して、開始時間が若干早くなっていっていた。6時半にはもう何人か始めている感じである。

 

自分が到着するのはだいたい6時20分くらいが多いのだが、その頃にはたいてい信二さんと隆ちゃんが先に来ている。2人は6時10分くらいには来ているらしい。そして、他のみんなが地味に思っているのだ。「終わるまでに1度は一番乗りを!(笑)」。

 

そんな「一番乗り」を狙う人の1人に大里さんがいる。結果として最終日に大里さんは5時台(6時直前)に家を出て一番乗りの栄誉を獲得するのだが、その理由が良かった。

 

大里さん「俺、最終日の『くすのかきあげ』、仕事で出れんけん。ここまで毎朝やってきたから本当に出たかったんやけど、、、このままだと自分に何にも残らんやん。だから、一回くらいは最後に一番乗りしたくてさ、自分への勲章よね」。

 

「一番乗り」ということは、早朝くすかきに参加していない人にとっては、たいしたことではないかもしれない。でも、間違いなく我々にとっては、いや、それが欲しいと思った本人にとっては、その意志に対する栄誉ある勲章なのである。

 

「一番乗り」この響きがなんかかっこいいのである。

 

しかしながら、大里さんに1つ言えることは、「一番乗り」を獲得できなくても何も残らなくはない、ということである。また来年、早朝の樟の杜で約束の時間に再会し、共に春を迎えることができる、たくさんの仲間が残ったのである。

 

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最終日の早朝くすかきには20人を超える人が来てくれました。

 

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今日の朝日が一番に迎えてくれます。

 

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朱と白と若葉のコントラスト。この時期の境内で出会える色景色です。

 

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掻き山も横綱クラスまで成長しました。

 

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昇華で出会うことのできる樟脳の結晶。その形はまるで葉っぱの葉脈か木の幹のようです。まさに白い樟の杜。

 

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樟脳をパラフィン紙に包んで、さらに紙のパッケージに入れて樟香舟の制作中。

 

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福岡女子短期大学にて講義中。

 

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女子短大生がくすかき体験をしに来ました。こんなに女性だらけのくすかきはちょっと異常な光景でした。

 

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明日のくすのかきあげに向けて、柵の設置作業中。

 

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この場所に20年前まで樟の木が存在していました。現存する樟の木の根を守るための柵と同じデザインの柵を設置しています。