樟の葉を掻くこと=縞模様を描くこと=大海原をつくること

太宰府滞在21日目。くすかき7日目。晴天。朝から温かく落葉が止まらない。掻いても掻いても落ち葉が落ちて来る。会期中盤を迎える前に掻き山(樟の葉の山)は去年の後半と同じくらいのサイズ感になっているような気がする。やはり今年は温かく落葉が早い。若葉もかなり大きく育ち、樟の木の印象はすっかり若葉に入れ代わったように見える。とはいえ、これからまだまだ落ちて来ることを知っている。

 

早朝6時半からのくすかきに毎日参加してくれている大里さんの朝の言葉が強く印象に残っている。同じ感覚を持つ人がいるということが何よりも嬉しく、早朝から感動した。

 

大里さん「樟の葉を掻くっていうより、なんか整地してるみたいで、この地面に縞模様を入れる感じが楽しいっちゃんね。なんかこう、ほら、この均一の縞模様が広がると風のない凪の日の大海原みたいやん」

 

そうなんです。樟の葉を集めることで描かれる縞模様は、広い境内全体を水面に変えるような効果があると、自分もずっと感じている。それを、自身の感覚で話をしてくれたのは大里さんが初めてだった。そんな話を大里さんに、これまでしたことはない。自分と同じ感覚の人がいて、正直驚いた。

 

くすかきに於いて、地面は水面であり、境内は凪の大海原なのである。極端に言うと、毎日、水面を描き、海を作っているのである。一定の方向に帯状に集まった葉は、まるで波に寄せられたようであり、新たに縞模様の上に落ちて来る葉は凪の大海原に浮かぶ船のようである。

 

1人でも多く、見える世界の感じ方が変わるこの感覚を自分なりに見つけてもらいたい。これは教えてもらうものではなく、自分で見つけるものである。

 

そして今日は、近隣の小学校のほとんどが入学式であった。くすかき参加者にも、たくさんの新一年生がいる。早朝のくすかきに参加して入学式に向かう人、入学式を終えて夕方のくすかきに来る人、中にはスーツ姿でくすかきをしてくれる人もいた。

 

五十嵐「入学おめでとうございます(深々と頭を垂れる)」

新一年生「ありがとうございます(深々と頭を垂れる)」

 

来年の今頃は2年生になっている。それぞれにユニークな個性があり、皆そのまま大きくなってほしい。これからの成長が1人1人楽しみである。

 

彼らの新たな航海が今日からはじまる。

 

大里さんの描いた凪の大海原。樟の葉は穏やかな波打ち際のようである。

 

みんなこれから入学式です。

 

朝の大海原。

 

会期中盤を前にして、去年の後半くらいの大きさです。

 

入学式のため一年生以外は学校がお休みだったので、早朝のくすかき後、朝のくすかき、そして夕方のくすかきと1日で三回参加する人もいました。この時は樹齢1500年の大樟の下をくすかきしてます。

 

昨日、朝礼で話をさせていただいた西日本リビング新聞社の社長さんがくすかきに来てくれました。「楽しー」とのことでした。

 

入学式終了後、そのままお宮参りして、そのままくすかきに参加してくれました。スーツに松葉ほうきはやはり斬新な組み合わせです。

 

4月11日にして若葉がこんなにも大きく育っています。