1人でバスに乗れたよ

ブラジル4日目。実は昨日の夜、引っ越しをした。ブラジルに来てから2泊3日はホテル暮らしだったが、ずっとホテルというのは金銭的に厳しい。そこで、こっちでお世話になっている柳澤さんの紹介で、ホテルから10分ほど歩いたところに住んでいる、智哉くんのお家に泊めてもらえることになった。もちろん智哉くんと会うのは昨日の夜が初めてだった。

 

智哉くんはブラジル2年目。ペルナンブコ州連邦大学というブラジルの国立大学で日本語を教えている。会話を通して感じたのは、この人もどこか日本人の感覚とはちょっと違う感じ。どう違うかと言うと、なんとも言葉にしづらいのだが、昨夜会った時の食事の会話で、自分と柳澤さんとでサッカートークで盛り上がっていると、どこかピンと来ていない感じだったので話を聞くと、「日本にいた時もテレビ持ってなかったので見てなかったんですよ。別に嫌いとかってわけじゃないんですよ」といった感じ。マスメディアとの距離感がちゃんとあるというか、、、。印象としては優しく温和な雰囲気だけど、物事をはっきりと言う感じの人。柳澤さんは「1人の時間を大事にするタイプだと思うよ」と言っていた。智哉くん、これからしばらく2人になります。すいません。よろしくお願いします。

 

さてさて、自分はまだブラジルでの連絡手段がないので、今日は通信環境を整えるため、携帯電話とモデムを探しに行くことにした。今のところはホテルやカフェのWi-Fiでどうにかやりくりしている。じゃあそれでいいではないかとも思うのだが、ただ、あまり外でノートパソコンを広げて強盗に襲われる可能性を高くするのも賢くないので、何か良い方法を考えようということだ。

 

現在滞在しているBoa Vista(ボアビスタ地区)にもショッピンモールはあるのだが、いわゆる田舎のデパートといった品揃えなので、30分ほど車で移動した先にあるShopping RIO MARという巨大なショッピングセンターに行くことにした。ちなみにRIOは川、MARは海という意味で、海と川がぶつかる川の河口を意味する。そのすぐ側に、レシフェ3大スラム街の1つBRASILIA TEIMOSAがあり、道中には殺人が多発しレシフェで最も危険と言われるスラム街のJOANA BEZERRAがある。暗くなる前に帰ってこないとやばい。

 

でも、行きは日中だし、移動料金もタクシーに比べ破格に安いので、地元の人が利用する路線バスを使って行ってみることにした。

 

しかし、この路線バスに乗るのが難しい。何が難しいって、自分の目的の行き先を表示しているバスを見つけて、自分で手を上げるなりしてアピールしないと停まってくれないのだ。なので、人がぎっしりとなったバス停で、みんな道路のギリギリまで身体を乗り出して、遠くからやってくるバスの表示を、目を細くしながら確認し、あれでもない、これでもないと、いつやって来るか分からない目的のバスを待つ。しかし、やっと来たかと思うと、中には手を上げても無視したり、他のバスの影に隠れて通過する運転手までいる。もちろん運転は荒い。運転手によってはジェットコースター並と言っても過言ではない。しかも次から次へとバスが数珠つなぎになって、競うようにやってくるので、まるで、バスが町中をレースしているみたいな状況なのだ。

 

自分は最初の1台目に無視されて、結果的に30分くらいかけてどうにかバスに乗った。後で思ったが、狙いのバスが同じ人を見つけたほうが成功率が遥かに上がる気がした。とはいえその人を見つけるのが一苦労なのだが、、、次回はもう少し早く乗れるだろう。ブラジルのバス乗車は初めてだと、とても疲れる。ただ何かをやり遂げた達成感はすごくある。

 

この歳にして思った「ぼく、1人でバスに乗れたよ」。

 

道中、ファベーラ(スラム街)を見た。それは1カ所ではない。レシフェという土地で犯罪が多い理由はそこにある。リオデジャネイロやサンパウロは巨大なファベーラがあるが、高所得者層などとの区画がはっきりと大きく別れている。それに比べてレシフェはいくつものファベーラが各地区に1つずつあるといった感じで点在しており、高所得者層などの生活圏と入り交じり、境界線が曖昧なのだ。なので、格差が激しい人同士が接触する機会がリオデジャネイロやサンパウロに比べ格段に増えるわけだ。故に結果として犯罪が多発するということだ。ちなみにレシフェでの1ヶ月の殺人件数は160件。1日に5.3人が殺されている。その原因の多くは麻薬絡みということだそうだ。

 

カーブ毎に横転しそうな路線バスの運転もしかり、何かと度が過ぎる国である。

 

携帯電話やモデムに関してはいろいろ試したのだが、うまくいかなかったり、金銭的に折り合いがつかなかったりしたので、安い携帯を買って、ネットはホテルやカフェのWi-Fiを使うという判断をした。

 

やはり緊張しているせいか、ただ暮らしているだけなのに、毎日死んだように眠りに落ちる。

 

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智哉くんの家の玄関。鉄格子がしてあります。

 

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新しい滞在先の外観

 

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慣れないとハードすぎます

 

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部屋は7階。遠くにうっすらと海が見えます。