ブラジルワールドカップ開幕

ブラジル11日目。SUAPEの漁師生活から離れ、一度レシフェ市内に戻った。今日はいよいよブラジルワールドカップ開幕日。3日前に比べると多少大会ムードが感じられる。何に1番それを感じるかと言うと、町で行き交う人々やバスの停留所で待つ人々の多くがブラジルカラーの黄色をベースにしたユニホームやTシャツを着ているのだ。なぜなら今日17時から、大会初戦のブラジルVSクロアチアが行われるからだ。

 

15時頃、パブリックビューイングの行われる会場へ。もうすでに人が集まってきていた。17時が近づくといつの間にか屋外会場は、すごい人の数のブラジルカラーで一色に染まっていた。そして、試合の始まる直前ギリギリまで、モニターすぐ横のステージにて、ブラジル人ミュージシャンによるライブで生演奏などがあり、曲がかかるとお爺さんお婆さんから子どもまで皆自然と踊り出すといった雰囲気。

 

選手の入場が始まるといっきにヒートアップ。全員の意識がモニターに集まる。クロアチア国歌に続いてブラジル国歌が流れた。もちろん皆で合唱である。何がすごかったかっていうと、流れる曲は1番で終わっているのに開幕戦のスタジアムもレシフェのパブリックビューイングも、集ったブラジル人が国歌の2番をアカペラで大合唱。涙を浮かべる選手の表情もあった。ただならぬ雰囲気と、今日まで11日間ブラジルで見てきた、こんなにも自分のペースを大事にするブラジル人が1つになり強烈なエネルギーを発している姿に、鳥肌が立ち、自分も涙が出そうになった。

 

ブラジル人のこのサッカーに対する熱狂の根源となるものは、いったい何なのだろうか?

 

今、自分が感じているのは「怒り」である。格差や差別、社会問題といったものへの怒り、その怒りの昇華の1つの方法がサッカーなのではないだろうか?なので、ブラジル代表は負けられない。負けたら、何か大変なことが起こりそうである。

 

日本では、ブラジルは大会反対のデモが大変だと放送されていたが、実際にこっちに来てみると、確かにデモがあるようだが、基本は汚職や脱税などといった政府に対する怒りをぶつけているようだ。しかしみんなサッカーが好きだから、大会が始まってしまったら、みんなサッカーが見たいはずだと、地元の人が言っていた。でもチケットが高すぎて見に行けないと怒っているブラジル人もいるらしい。

 

ブラジル人にとってのサッカーは、もしくは、ブラジル社会にとってのサッカーは、どうしようもない怒りのエネルギーをどこかに向かわせるといった役割を担っているように思えた。

 

試合結果は3対1でブラジルの勝ち。試合に勝ったことでブラジル人は皆、機嫌が良い。

 

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バスの停留所にも黄色のブラジルユニホームやTシャツを着ている人が多い。ユニホームTシャツの種類がハンパなく豊富である。

 

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開幕直前の音楽に合わせて踊っています。子どもの頃から踊るのが大好きなようです。

 

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国歌斉唱で感極まるブラジル人たち。鳥肌が立ちました。

 

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ブラジルのネイマールのゴールシーン直後。まず人の声が半端でなく大きい。そしてラッパや爆破の音が耳を劈く。