イワシの砂ころがし

そらあみ18日目。今日は9人で編んだ。昨日に引き続き反物状に細長く編み上がった網の隣同士をつないで大きな1枚の網に仕上げていった。

 

途中、漁師の方がイワシの差し入れを持ってきてくれた。今朝獲れたイワシなので新鮮そのもの。氷見の定置網の魚事情としては、有名な「ひみ寒ぶり」の季節は終わって、ここ数日はとにかくイワシがたくさん入っているそうだ。漁師さんの話ではもう少しイワシが続きそうな気配とのこと。この「気配」というのが、なんとも言えない漁師の感覚である。その感覚は幾度となく重ねてきた経験からくるから「気配」と言えども、最も信用できる感覚なのである。

 

キッチンでは自然とイワシのさばき方講習が地元のおじちゃんによってはじまり、少し時間がたつと、「イワシは新鮮な刺身が一番旨い」と言って、わさび醤油と一緒にイワシの刺身が登場!しばし網を編む手を止めてイワシを食す。とにかく旨い。いつまでも食べ続けていられそうなくらい旨い。また、舌が肥えてしまった………。美味しいものを知ることはとても幸せなことなのだが、その分、そうでないイワシに出会う覚悟も決めなければならない。でもまあ、やっぱり旨いものとの出会いは嬉しいものである。

 

実は氷見はブリだけでなく、イワシも昔から有名で、広辞苑にも「氷見鰯」という言葉が記載されているそうだ。古くは古事記にも載っているとか。

 

おいちゃん「昔から『イワシの砂ころがし』ゆうてな。なあ?」

五十嵐「砂ころがし?『フンころがし』なら聞いたことありますけど」

おいちゃん「『フンころがし』は食う気がせんやろ(笑)」

おいちゃん「昔、この辺りの浜で、イワシがたくさん獲れた時は、浜の砂にイワシをころがして、砂をくっつけてから運んだんよ」

五十嵐「イワシに砂をつけるんですか?なんで?」

おいちゃん「なんでやろ?昔は氷とか無かったからな。運搬方法やったんやろな。もちろん食べるときは砂落とすんよ(笑)」

 

イワシの砂ころがしについて少しだけ調べてみると、寒い時期の塩水を含んだ浜の砂にイワシを一日漬け置いて、砂を洗い落として焼くとマイルドに仕上がるという話があった。

 

いずれにせよ、イワシを浜辺でころがしていたと思うと、なんとも面白い。まあ、今日はイワシを舌でころがしたわけだが(笑)

 

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このイワシがとんでもなく旨いんです。

 

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帰った跡に見つけた強い意思(笑)すばらしい。