松葉ほうきを持って樟の木の下に立つこと

太宰府4日目。くすかき5日前。朝8時、境内へ。一昨日、柵を設置したので、そのまわりの樟の落葉は、自ずとくすかきが担当となる。くすかきの会期は4月4日からだが、落葉はそんなことおかまいなしに落ちてくる。なので、自然と落葉掻きがはじまる。結果、今日が初掻きとなった。初日にしては大きな掻き山が柵の中央にできあがった。これからこの掻き山が日々大きくなっていく。

 

境内で樟の葉を掻くのは、神職さん、巫女さん、神苑管理の庭師さんや宮大工さん、清掃員といった皆さんである。そして最近はくすかきをきっかけに徐々に増えつつある地元の方々。要は総出で樟の落葉を掻くのである。樟の木を見た時に目に見える葉っぱが全て落ちてくるのだ。境内は樟の杜。想像を絶する量の落葉がこの1ヵ月で落ちてくる。ピーク時は桜吹雪のようにパラパラと一日中落ち続け、掻いても掻いても間に合わないほどになる。

 

気温が上がると、新芽が芽吹き、新芽に押されて古葉が落ちてくる。故に気温が急に上がった翌日に風が吹いたりすると、たくさん落ちる。逆に急に冷えこんだりすると、ピタッと落葉が止まることもある。

 

さてさて、今年はどんな年になることやら。お宮の皆さんも樟の落葉に向けて準備万端といった雰囲気を感じる。

 

お昼をまたいで、参道の各店舗にくすかきポスターの掲示のお願いと、挨拶をしてまわった。全部で100店舗以上。ポスターに書かれた「くすかき」の文字を見て、「ああ。もうこの季節ね」「今年も頑張ってね」「はいこれ、梅が枝餅差し入れね」「仕事がなかったら自分が参加したいくらいよ(笑)」「ほら、あの名前書いて寄付するやつもやるよ」とだいぶ浸透している実感を得られた。

 

年間700万人が訪れるお宮で、季節を彩るお祭りがあり、すぐ近くに九州国立博物館があり様々な事と人が通り過ぎていく土地柄でもある。多くの人は観光として太宰府天満宮を通り過ぎていくことだろう。

 

観光名所であるが故に、外向きでない普段の顔をした、日常のお宮にはなかなか出会えない。だが早朝と夕方、“地元のお宮”の顔にもどる瞬間がある。早朝は荘厳な静けさの中、朝日が樟の杜に差し込み聖地としての姿に出会うことができる。そして夕方は、参道の梅ヶ枝餅屋さんが店じまいをして小豆が茹で上がる待ち時間で子どもと散歩に来たり、小学生が自転車で通り過ぎたりする姿に出会うことができる。1日の中のその2つのタイミングを「日々のくすかき」の時間に設定している。それは、観光では決して出会えない、この土地への入口である。

 

松葉ほうきを持って、樟の木の下に立つと、遥かな時の流れの間に自分が生き、いまここに立っていることを分からせてくれる。

 

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たっぷり落ちてきています。それにしても朝の光は美しい。

 

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掻き山。すでにけっこう大きいです。

 

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滞在先である山かげ亭の桜は満開です!