記憶を呼び起こす装置

太宰府26日目。くすかき18日目。夕方のくすかきに全国から参加があった。東京、岩手、福岡市内、そして地元太宰府の方々。会期はじめからの延べ参加人数は500名を超えた。東京や岩手の方は太宰府観光中、掲示してあったくすかきポスターを見て興味を持って参加。福岡市内のお2人は去年から太宰府のサイトを見ていて気になっていて、くすかきをするために今日は太宰府まで足を運んでくれたという。東京の方は「からだに浸み込む素晴らしい体験でした。有難うございました。」と手紙までくださった。4人とも奉加帳の寄付にも参加してくださり、香りが届くのを楽しみにしていますと帰っていった。福岡市内、東京、そして岩手へ、太宰府の春の香りが届くと思うとなんだか、わくわくしてくる。ただ観光地を通りすぎるのではなく、大きな樟の木の下で落葉を地元の方々といっしょに掻き、言葉を交わす。このように、その土地に一歩踏み込む体験は記憶に残るはずである。そして、ゴールデンウィーク明けに届く、「くすかき奉加帳」のお礼の品である「芳樟袋」と「樟香舟」の香りを通して、今日、太宰府天満宮で過ごした瞬間を思い起こすのであろう。香りには記憶を呼び起こす効果がある。

 

樟の葉は1年経つと落ちてくる。その葉は1年の記憶を宿していて、その香りの結晶は1年の記憶の結晶とも言える。

 

樟の葉は毎年変わらず落ちてくる。その香りは変わらない。樟の木も変わらない。樟の葉を掻く行為も変わらない。千年前も千年後もここに樟の木と、くすかきがあり続ければ、遠くから太宰府の記憶を、去年の自分の記憶を、千年前の記憶を、そんないろんな記憶を樟の葉を掻く行為とその香りから、呼び起こす装置になるのかもしれない。

 

 

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今朝は、けっこうたくさん落ちました。

 

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掻き山と樟。この樟は樹齢800年と聞きました。

 

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夕方のくすかきはもう夏のような日差しでした。

 

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青空に燃える樟若葉。もう完全に季節が変わった感じです。

 

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天神広場で、じいちゃんとコマまわし。