瞬く間に白銀の世界

魚々座(ととざ)6日目。昨夜はレジデンスの屋根が飛んでいったのではないかと思うくらいの強風で、一晩中何かが風に煽られぶつかる音と、時折、雷の音までゴロゴロと鳴る、落ち着きのない夜だった。今朝、魚々座に向かった9時すぎは一度、風も雨も止んだが、お昼前に突風が吹き、狂ったように雪が降ってきて、30分ほどで辺りは白銀の世界へと変貌した。

 

それでも、〈そらあみ〉を編みに、ある人は長靴をひざ下まで履き、ある人はマフラーを鼻まで巻き、ある人はポッケに両手を入れて肩をすぼめ、ひとり、またひとりと吹雪の中、魚々座へとやってくる姿はなんだか映画のワンシーンのようであった。

 

誰かが言う。「しっかし、この雪んなか、よう来たねー。だぁれもおらんやと思っとったけど、みんなおるやん(笑)」

 

なぜかこういう時はテンションが上がるものだ。夏休みの秘密基地みたいなものだ。約束もしてないし、天気も悪いし、誰もいないかと思って行ったらみんながいた、あの感じだ。誰も来なくても行くと決めてこの吹雪を越えてきた自分がいて、他のみんなも同じだと思うと嬉しくなるのだ。〈そらあみ〉は決して仕事でもないし、義務でもない。〈そらあみ〉したいから来るのだ。平日の日中、吹雪の中にもかかわらず、途中おばちゃんたちも来てくれて最大10人で編んだ。すごいことだと思う。

 

五十嵐「こんな吹雪いた日は氷見の人って何してるんですかね?」

端さん「五十嵐さん。うちらの小さいころはね。こんな雪の日は、子供は藁(わら)を縒って(よって)縄をつくって、お母さんは筵(むしろ)を、こうやってこうやって編んでな。そんでお父さんは藁の使える部分以外を刈り落としとったわ。それで1日家族で働いて200円稼げるかどうかくらいやったなぁ」

 

中田さん「今は、ほれ、みんなカンドラやろ」

五十嵐「カンドラ?中田さんカンドラってなんですか?」

中田さん「ほれ、あれや。韓国ドラマのことや(笑)」

五十嵐「………韓ドラですね(笑)」

 

家族でものづくりするのか、テレビモニターを見るのか、稼げるお金も生活も時代と共に変わって、もちろん暮らしは豊かになったが、どちらの時間が場としてクリエイティブで、身体感覚を持って豊かなコミュニケーションをしていたかはいうまでもなさそうだ。

 

ここに集っている方々は年配者の方が多い。仕事などの都合上、平日は自ずとそうなる。とはいえ、この場が面白いと思って、わざわざ吹雪の中、足を運んでくれるということは、心の奥底のどこかで必要としている、もしくはこっちの感じの方がテレビモニターを見ているのより楽しいと幼少期の記憶の中にある感性の欲求に対して素直な人たちが集まっているのかもしれない。

 

あの頃、雪の日は家の中で、家族みんなで藁仕事をしていた。

今日は、雪の中の魚々座で、そらあみのみんなで網仕事をしていた。

 

お金になろうがなるまいが大切なものがそこにはある。

 

しかし、雪が降ると格段に冷え込みが違う、、、これがいつもの冬の氷見だそうです。

 

北陸の冬はやっぱり、、、さ、寒いです、、、。

 

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そらあみと雪。初の組み合わせ。

 

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辺りは真っ白。奥の方に黒く見えるのは海。

 

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吹雪をつかまえる。

 

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30分後には晴れ間が、しかし、この後再び吹雪になりました。

 

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寒くて温度が低いので乾燥したパウダースノーです。

 

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桟橋も雪。船も雪。灯台も雪。

 

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港のカモメたちも寒そうです。

 

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ほぼほぼ編みあがりました。

 

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隣同士をつないで、一枚の網に仕上げていきます。