沙弥島滞在1日目。瀬戸内国際芸術祭2016に参加するため再び瀬戸内海へやってきた。前回は、ちょうど3年前の2013年、春会期に沙弥島に〈そらあみ〉を出品した。与島諸島(沙弥島・瀬居島・与島・岩黒島・櫃石島)の130人の漁師と一緒に編んだ色鮮やかな網が瀬戸内の空に上がり、捉えた風景は今も鮮明に覚えている。
2016年の今回は、春会期に「沙弥島」、秋会期に「本島」と2つの島での出品となる。
作品のタイトルは「そらあみ〈島巡り〉」。以下、作品コンセプト
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瀬戸大橋でつながる沙弥島、瀬居島、与島、岩黒島、櫃石島の5つの島で漁網を編むワークショップを開催。島に暮らす漁師や、集った人々で協働する。そして空に向かって垂直に、波打ち際に設置。風や雲や日光といった天候の移り変わりと潮の満ち引きによって見えかたが刻一刻と変化していく様子を鑑賞者は網越しに眺める。
漁網を編むことで、人と人をつなぎ、海や島の記憶をつなぎ、完成した網の目を通して土地の風景をとらえ直すという目論み。今回、新たに加わった潮の干満という要素によって、海から陸へと移行した我々の中に眠る海の記憶がより刺激されることを期待する。
秋会期には本島に渡り、新たに本島でつくられた漁網を連結。行政区分を超え、島から島へ海のつながりを編み広げていく。
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2013年の〈そらあみ〉を更に展開させる挑戦である。〈島巡り〉という副題に込めたものは、まず、与島諸島の5つの島を、前回同様にキャラバンスタイルで巡って〈そらあみ〉を編むということ。次に、今回は「そらあみツアー」というものを開催し、坂出市内に暮らす一般参加者がバスで島に渡り、島の人たちが先生になり〈そらあみ〉を編み、人のつながりを広げると共に島の魅力を知ってもらう機会を設ける。そして、秋には海を渡って、ちょうど与島諸島の向かいとなる本島で〈そらあみ〉は本島で編まれたものと合体し、成長していく。本島と与島諸島で編まれた網が合体するときには、海の向こうから自ら編んだ網をつなぎに船で登場する与島諸島の漁師さんたちの姿を思い描いている。
まとめると〈島巡り〉には3つの巡りがある。
ひとつは、〈そらあみ〉の制作しながら島を巡るということ。
ひとつは、市内の一般の方々が〈そらあみ〉をきっかけに島を巡るということ
ひとつは、〈そらあみ〉自体が、春の沙弥島から、秋の本島へ島を巡るということ
「巡る」には、一周するように回る。回ってまたもとにもどる。あちこちを周り歩く。まわりを囲む。取り囲んである。などといった意味の他に〈あることを中心としてつながり合う〉という意味がある。
私は、海に浮かぶ島と島との関係には、中心という概念が基本的には、存在しないように思う。海で世界とつながっているため、逆に自分のいる島が常に中心になりうるような気がする。「そらあみ〈島巡り〉」は、そんな島で編む〈そらあみ〉の関係性を中心として、海を越えてつながり合うことを目指す。美しく類稀なる多島海である瀬戸内の海の上にまさにネットワークが広がっているイメージである。
春会期〈2016年3月20日[日・春分の日]—4月17日[日]29日間〉沙弥島展示イメージ
秋会期〈2016年10月8日[土]—11月6日[日]30日間〉本島展示イメージ