与島、編みはじめ。ほとんど漁師がいない島。

沙弥島滞在9日目。今日は与島での編みはじめ。13時から与島公民館でのワークショップの前に、櫃石島での戎祭(えびすまつり)に顔を出させてもらった。

 

一昨日の櫃石島でのワークショップの時に櫃石島の組合長から「2月10日、11時〜、櫃石島で戎祭があるから、時間があったら来んや?」と誘ってもらっていた。実は三年前にも参加させてもらった。戎祭は大漁祈願のお祭り。島の漁師はもちろん、地元議員や漁協組合長も来島し、戎神社で大漁祈願祭が行われた後、集会所で昼食(宴会)となる。

 

平日だが、旧正月に近く、且つ市場が休みの前日に行われるので、明日市場が休みの今日が戎祭となった。今年は玉串奉奠(たまぐしほうてん)までさせていただき。自分なりに大漁祈願をさせていただいた。自分は13時から与島でワークショップがあったので、乾杯をして昼食を一緒にいただき、挨拶をして早々とおいとましたが、実はこの後が毎年すごい。昔から酒が進むと喧嘩になるらしく、聞いた話しでは、何年か前は出刃包丁まで飛び出したらしい。実は三年前はもう少しゆっくりできたので、その時は、たしか口喧嘩が始まっていたように記憶している。

 

櫃石島の宴会の雰囲気に後ろ髪を引かれながら与島へ移動。13時、与島公民館に到着した。漁師が多く、喧嘩っ早い櫃石島とはうって変わって、与島は穏やかな人が多い、どこかふんわりとした島。漁師もほとんどいない。漁師がいない理由は、与島は与島石と呼ばれる良質な石が採掘される島で、どちらかと言うと石工の多い島だったからだ。しかし、石が採れなくなり、更には拍車をかけて瀬戸大橋が架かったことでストロー化現象が起き、人口も減り、与島五島の中でもお年寄りが多く人口が少ない島の印象がある。

 

故に、〈そらあみ〉の編み方の説明をする時も、他の島に比べて、皆さんちゃんと聞いてくれる。他の島は漁師を中心に人が集っているので、女性参加者は少ないのだが、与島は女性も多い。そして、みんな網を編むことに関して素人が多いので、ゆったり和気藹々とした時間がワークショップでは流れる。また、15時になると、お茶が出てきて、きちっとみんなで手を止めて休憩がある。他の島では、この流れはない。

 

「あんた。編むの上手やね〜」

「ここ、わからんのやけど、どうするん?」

「三年前やから、もう編み方忘れてしもうたわ(笑)」

「あんた。編んでも間違えて解いてばっかで、ほとんど進んどらんやん(笑)」

「来年までには、編み方覚えとるわ」

「あんた。何言っとるん。来年は芸術祭ないんよ(笑)」

(一同大爆笑)

 

といった、のんびりと穏やかな雰囲気で、与島での〈そらあみ〉ワークショップは展開されていった。だが面白いことに、漁師がいない分、編み進むスピードは遅いが、伝えた通りに編んでくれるので、結果として、他の島に比べて一番網目がそろっているような感じである。

 

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櫃石島。戎神社にて。

 

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奉納にはやはり鯛!

五十嵐「バナナなんですね」

漁師「バナナはなんでやろな?毎年バナナやな。昔はなかったやろしな。不思議やな(笑)」

 

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若手漁師もちゃんとみなさん祈願されております。

 

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〈そらあみ〉のワークショップをさせていただいている集会所。今日は紅白幕で賑やかです。

 

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お弁当の中身が、刺身、天ぷら、サザエのつぼ焼き、焼魚、などなど半端な豪華さではありません。

 

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与島にて。穏やかに〈そらあみ〉はじまりました。

 

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丁寧に編み進んでいきます。

 

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「だから、ここはこうやろ!」愛のある指導。

 

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みなさん、ちゃんと聞いてくれます。他の島は編める漁師さんが多いのでこうはなりません。なんか嬉しいです。

 

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女性参加者も多いのが与島の特徴です。