岩黒島、編みはじめ。漁網が編めるJK

沙弥島滞在5日目。今日からいよいよ本格的に〈そらあみ〉の制作がスタート。まず一発目のワークショップは岩黒島。13時に岩黒島公民館に到着。やはり最初は緊張する。みなさん編みに来てくれるだろうか、、、。

 

公民館前の通りには、ちらほらと人の姿があった。

 

五十嵐(あ!あの乳母車(押し車)を押してるおばあちゃん前回も編みに来てくれてた人だ)「こんにちは〜。ご無沙汰してます。」

おばあちゃん「こんにちは」

五十嵐「前に一緒に網を編んだ五十嵐です。覚えてます?」

おばあちゃん「あんたのことはなぁ(笑)。でも、編み方忘れてしもたわ(笑)」

五十嵐「また、一緒に編みましょね。よろしくお願いします」

 

次々に人が集ってきた。

 

漁師さん「おう!五十嵐。久しぶりやな〜。元気にしとったんか」

五十嵐「ご無沙汰してます。はい。今年もよろしくお願いします」

 

別の漁師さん「よ!五十嵐。来たったで〜」

五十嵐「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」
といった具合に久々の嬉しい再会をしつつ、中には初めての参加の人も何名かおり、結果として、小学生、中学生、高校生、大学生、漁師、おじいちゃん、おばあちゃんといった具合に幅広い年齢層で17人の方々が集ってくれた。

 

岩黒島は、なんというか、自分にとっては家族っぽい感覚のある島で、偶然ではあったが最初に編む島としては、与島五島でワークショップを行うにあたって様々な塩梅を確認するのに、もってこいの島であった。与島五島に流れる空気感に自分の周波数を調整するような感覚である。

 

公民館に入り、挨拶をして、今年の作品イメージを伝え、さっそく制作開始。綛糸の状態からの糸玉づくりからはじまった。

 

立ったり座ったりがしんどいおばあちゃんたちのところへ綛糸を持っていき、「いっしょにやりましょうかね」と作業を進める。振り返ると二人一組で、綛担当と糸玉担当で仲良く作業する子供達に時折、漁師さんが「それは、こうせい。あれは、ああせい」といった具合に教えてあげている。時折、逆に「ねぇ!◯◯にい!これどうするん?」といった具合に聞いたりしている。直接の親子ではないのだが、その親しい距離感はまさに親子。この岩黒島という島自体に暮らす人がある意味、大きな家族のようなものだのだと感じた。

 

ある程度、糸玉ができると、自然と編み作業が、はじまった。とんでもない速さで編んでいく漁師さんに紛れて、ひとりの高校二年生の女の子が、それに負けないくらいの手さばきで編んでいる、、、。あの子何者だ?

 

話を聞くと、「おじいちゃんが漁師で、網の修理を手伝ってるから編める」のだそうだ。なんの不自然さもなく、彼女はそう答えた。はたして、今の日本の高校二年生の女子の中に、網が編める人が何人いるのだろうか?黙々と編む姿はとても頼もしく、カッコ良いものであった。でも、時折、友達とする会話は、お気に入りの音楽の話や芸能人の話など、まさに今時の女子高生。漁師さんとの会話の中では「JKだからね」なんて言葉も出たりする。なんだか、島の未来が楽しみになる。

 

大きな家族の元に戻ってきた親戚のおじちゃんのような気分になった一回目の岩黒島での〈そらあみ〉ワークショップとなった。

 

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ばあちゃんと糸玉づくり。

 

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漁師さんは1人でも糸玉作れます!両足を伸ばした作業風景はなんだか可愛らしいです。

 

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網針に糸を仕込みます。

 

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漁師さんと大学生と高校生と中学生と小学生。

 

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ばあちゃん。じいちゃん。編む姿が絵になります。

 

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順調に網が編まれていきました。

 

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島の若手たち。頼もしい。

 

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記念写真の時は少し恥ずかしそうで、かわいらしい。岩黒島の宝たちです。