TURNフェス3日目。「弱さ」こそ、人間のアイデンティティー。

東京都美術館6日目。TURNフェス3日目。最終日。

 

自分の展示空間は、3日間通して毎日トークセッションが行われる会場でもあった。結果、他のアーティストや施設の交流や作品のことも詳しく知ることができ、良い機会となった。

 

どの話も興味深いものばかりであったが、その中でも、とてもインパクトに残った話がある。

 

それは、「〈弱さ〉こそ、人間のアイデンティティーである」という話。

 

我々人間は、猿から分岐し、独自の進化を遂げた生き物。分岐した当初は、ゴリラやチンパンジーなんかと比べたら、力も弱く、同環境で生存競争に勝つことは難しい。なので、人間はそこから離れ移動するしかなかった。そして、知恵を使って生き延びてきた。現在、この星の支配者のようにふるまっているが、我々人間のアイデンティティーは〈弱さ〉であり、それを忘れてはならない。

 

という話であった。

 

障害者は現代において社会的弱者として扱われる。そして社会に居場所が限りなく少ない。しかし、我々人間のアイデンティティーは〈弱さ〉である。アイデンティティーである〈弱さ〉を内包しない社会はどうなるか?言うまでもない。現代社会の諸問題がすぐにイメージできる。自分たちが強者であるように勘違いし、弱者を排除する。それは〈弱さ〉をアイデンティティーとする生き物が自分自身を排除している行為と同じである。窮屈な社会になって当然である。自分で自分を排除しているようなものなのだから、、、。社会の中に弱者がいるから、〈弱さ〉というアイデンティティーを内包することができるから、はじめてバランスがとれるのである。自分たちがどこから来たのか?それを忘れてはならない。

 

我々は弱さから来たのだ。弱さからはじまったのだ。それを忘れてはならない。

 

我々人間のアイデンティティーである〈弱さ〉を大切に、それを中心に抱いて、そこから始まる社会こそ、これから育むべき世界である。

 

最初はみんなはじめてだから、今の価値や常識から離れることは、誰だって怖い。

 

でも少し勇気をだして、新らしい価値の地平の広がる、なつかしい未来にダイブするのだ。

 

人間であるという、自分の〈弱さ〉をもう一度手に入れるために。

 

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水平線を上がったり下がったり、日の出や日の入の時、太陽が見ている景色。