くすかき四日目。昨日はくすかきはお休みだったが、朝に日曜日にくすのこうたき(水蒸気蒸留)をした樟脳回収を行った。はてさて、今年は採れているだろうか、、、。ちなみに去年の一回目はまったく樟脳が回収できなかった。あの時の悪夢を思い出し、緊張しながら蓋を開けると、そこには一面の銀世界に出会ったようなたくさんの樟脳が結晶化した姿があった。鳥取から参加しに来ている今年小学校二年生になる葉ちゃん(ようちゃん)が「いい匂い〜!」と喜んでいる。あたりは樟脳の香りに包まれている。爽やかな春を想わせる季節の香りだ。ひとまずホッと胸をなでおろした。
さて話は本日4月4日の六時半。朝のくすかき。大人13人、子供7人の参加。天候にも恵まれ、やっとくすかきができたね!といった朝。今年は寒さのせいか、落葉はまだ少ないが、松葉ほうきを握った時のひんやりとした竹の感触、松葉ほうきで葉が境内を転がる「ざざぁー」という波のような音、凛とした朝の太宰府天満宮に流れる聖域の空気、山のむこうから昇った朝日が描き出す樟の葉の木漏れ日、、、。くすかきの時間が動きはじめた。
「なんかまだ体がしっくりこんな(笑)去年のイメージにまだ体がなっとらんからやね。徐々に馴染んでいくんやろね」一年ぶりのくすかきは、まだ体が馴染んでいない違和感を皆感じているようだった。
参加者の中に見慣れない顔が四人。親子二人で初参加が二組あった。一組は地元太宰府のお父さんと小学生の息子。友人の紹介での参加。もう一組は、春休みで帰省してしていた名古屋在住のお母さんと春から新中学生の娘。天満宮境内や参道、九州国立博物館などに貼られた くすかきかわら版を見て、こんなのやっているんだ!いいな!と思って来てくれたそうだ。
くすかき期間中は学校は春休みだから、こうして子供と帰省した人の参加もある。去年はイギリスから帰省した親子参加者もいたよね。あの人また来るかな?なんてみんなの話題にもあがった。
くすかきは「あいだの季節」に行われる。子供に何年生?と聞くと「この春から2年生」とか「4月から中学生です」といった答えが帰ってくる。大人は年度末の忙しさのピークを乗り越え新年度に向かう時期。異動や卒業や入学や入社など、人の出入りも増える時期。何かと何かのあいだの季節。古い葉が若葉に押され、樟の葉が入れかわるこの季節は、不思議なことに人もまた入れかわる「あいだの季節」なのである。
「あいだの季節」は、これまでとこれからを感じることができる。
樟脳の結晶。
ドラム缶(冷却装置)の内壁に結晶化している。
樟脳回収。
南極の流氷によく似ている。
一回のくすのこうたき(水蒸気蒸留)でこれくらい収穫です。
まだ掻き山は小さい。
芳樟袋制作のため、樟の葉を持ち帰ります。
山かげ亭(滞在先レジデンス)の桜は、4月3日でまだこれくらいの咲き具合。去年は今頃満開でした。
芳樟袋に適したサイズの落ち葉を選びます。
芳樟袋はくすかき奉加帳(一口2000円の寄付制度)のお礼としてお送りしたり、天満宮案内所や宝物殿で販売されています。集まったお金は運営資金に充てさせていただき、プロジェクトが千年続くための自立した予算運営を目指しています。振込も可能なのでご興味のある方はくすかきホームページの「くすかき奉加帳」をご覧ください(http://igayasu.com/kusukaki/houga/)
4月4日の朝六時半。
落葉はまだ少ない。
樟の葉と枝や小石を分別しています。
日中は山かげ亭で芳樟袋の制作を行っています。絶賛お手伝い募集中です!
最高の葉っぱをチョイスできた!と光を透かして楽しんでいるのは、春から中学生になる八海くん。1年ぶりの再会は、鼻の下にうっすらとヒゲが生え、青年への変化の兆しを感じさせてくれた。もちろん中身も成長してます(笑)