くすかき初日。南極から太宰府へ。

くすかき初日。昨夜、南極から帰国後、そのまま太宰府入りし、今日が平成二十九年くすかきの初日。事前の準備は地元の方々の力で成された。これも8年目を迎えたくすかきだからこそできることなのだと、頼もしい太宰府の仲間を誇りに思う。

 

朝10時、約束の地、天神広場へ。太宰府天満宮の樟の杜で1年ぶりにみんなと再会。柵の設置、松葉ほうきづくり会場設営、水蒸気蒸留装置の微調整をすばらしいチームワークで行う。

 

「南極どうやった?寒かったろ?」

「向こうは夏で、−5度から+5度でそこまででもなかったですよ」

「しかし、今年の樟(落葉)は遅いですね」

「桜もまだほとんど咲いとらんもんね。」

「全体的に一、二週間くらい遅い感じやね」

「五十嵐くんを待っとったっちゃないと?(笑)」

「不思議よね。去年は早かったもんね自然は分からんもんね。」

「そのかわりにツバメはもう来とるんよ。ツバメは早い感じやね」

「去年は会期中に熊本地震があったもんね」

「そうよね。あれからもう一年も経つんやね」

 

去年と今年、樟の落葉や桜の開花といった、自然の微妙なタイミングの違いを共有できる豊かさを感じる。太宰府という土地は、自分にとっては「星」である。航海に於いて星は自身の場所を定める目印になる。動かずに輝きを放ち続ける星のような太宰府に、一年に一度こうして帰ってきて、樟とみんなと再会し去年と今年の自分の違いを感じる。今自分がどのあたりを航海しているのかを確認する。くすかきとはこの場に関わるひとり一人にとってそういった場所になっている。

 

13時から御本殿で行われた、くすかき成功祈願祭。宝物殿での松葉ほうきづくり。出来立ての松葉ほうきを持って天神広場でお祓い。くすかき初日には子供10人、大人23人の合計33人が集い、ほとんどの人が参加者ではなく、当事者としてそこにいた。最高の初日となった。

 

IMG_8911_s

水蒸気蒸留装置の窯を最終調整中。

 

IMG_8912_s

御本殿にてくすかき成功祈願祭。本年より実施。最終日のくすかき奉告祭と対の関係になります。

 

IMG_8913_s

永い永い時間感覚の視野で、くすかきを見守り応援してくださっている神職さんです。

 

IMG_8918_s

今年は今年の松葉ほうきを自分でつくります。

 

IMG_8920_s

千葉県より、家族で参加。

 

IMG_8926_s

くすかきには欠かせない道具。松葉ほうき。

 

IMG_8930_s

職人の原口葵さん。今年も指導に来てくださいました。御歳80歳。72歳の時から毎年一度お会いする今日を楽しみにしています。体の続く限りやります!と言ってくださって嬉しい反面、後継者問題について毎年考えざるをえません。

 

IMG_8961_s

出来立ての松葉ほうきを持って天神広場にて