TURN in PERU / BIENALSUR

南米ペルーに向かう飛行機の中でこの日記を書いている。以前から関わらせてもらっているアートプロジェクト「TURN」が、南米を舞台に開催される国際現代美術ビエンナーレ「BIENALSUR」に招聘されたため、参加アーティストの1人として約2ヶ月間現地での滞在制作を行うことになった。

 

BIENALSUR→http://bienalsur.org/es

TURN→https://turn-project.com

 

「TURN」は、異なる背景や習慣を持ったさまざまな人々との出会い方、つながり方に創造性を携え働きかけていくアートプロジェクトで、2020オリンピック・パラリンピックに向けた東京都による文化プログラムの一つである。日本国内での活動に加え、2016年はTURN in BRAZILを展開した。自分はブラジルの自閉症児療育施設で交流しながら滞在制作を行い、言葉以外のコミュニケーションを強いられた結果、モノをつくるプロセスを通じて人や世界とつながる身体的コミュニケーションの可能性を実感した。素材や他者を丁寧に感じることをきっかけに自身の感性を開くような経験だった。それらは全て不自由さの先に発見したものだった。

 

「BIENALSUR」は、ローカルに根ざしながらも、国境を越えたグローバルな文化芸術の推進を目指し、第1回目の開催を迎える国際現代美術ビエンナーレで、開催の中心となるアルゼンチンのブエノスアイレスのみならず、12の南米諸国の地域と連携しながら、同時多発的に展開される。

 

今年2017年の3月にアルゼンチン経由で参加した南極ビエンナーレでは、人が自然と向き合い、人が人と向き合い、国境を越え世界中のアーティストや科学者や思想家が協働する世界が存在した。自分は、ここ数年南米に行く機会が急増している。これまでの美術史と同様に、北半球中心に資本主義社会の競争原理が全てといった価値観があるような今の世界に対して、南極ビエンナーレやBIENALSURの動きを見ていると、今この世界には新たに南からの風が吹きはじめているように感じる。

 

そんな南風を感じる流れの中で、さて、今回の自分の行き先はペルーのリマ。伝統工芸を携えて福祉施設と交流し、そのプロセスを通じて生まれた作品発表、およびワークショップを展開するというのが海外版TURNの特徴である。そこで、自分は“日本の藍染め”と“アンデス地方の織物”をきっかけに、障害者支援施設Cerrito Azulの人たちと交流することになった。

 

現地では、Cerrito Azulとの交流と同時並行で、アンデス地方の織物を学ぶところからはじまる。

 

ペルーを中心に繁栄したアンデス文明は文字を持たなかった。そこでは、なんと!織物がイメージを表現・伝達するメディアとして重要な役割を果たしていたのだ。これは他の文明にはない特徴である。きっとそこには障害によって文字コミュニケーションができない人々をも内包した豊かな社会が存在したと考える。故に文字を中心に発展した現代社会の閉塞感を突破するヒントがアンデス文明から続くペルーの暮らしの中にあるのではないかと考える。どのような出会いと発見があるのか、ペルーでの経験が自分自身をどのようにTURNさせ、こんどはいったいどんな“まなざし”を見出すのか楽しみである。

 

あとは、スペインに支配される以前の話だが、もともとはユーラシア大陸から、アメリカ大陸を北から南へ太平洋沿いに移動してきたモンゴロイド系の人が長いあいだ暮らしてきた土地のようだし、自分の顔もなんとなく現地に馴染むよう気がしている(笑)

 

TURNホームページニュース<BIENALSURからの招聘>→https://turn-project.com/news/38

 

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日本の成田→アメリカのヒューストン→ペルーのリマ。約22時間の移動。

 

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リマの空港で、ペルーの芸術大学の教授で今回アーティストとしても参加するヘンリーのお出迎え。なぜか名前の表記が「HIGARASHI」に!!!(笑)「Hi IGARASHI」の略かなと一瞬思ったのだが、ヘンリー曰く、スペイン語ではHは発音しないから…本当は間違えました(苦笑)とのこと(笑)

無事にペルー入国。到着が現地時間23:15だったので、そのままホテルへ移動。