くすかき九日目。くすかきのはじまり。

くすかき九日目。今日は日曜日。朝のくすかきには大人18名、子供18名の合計36名。10時からのくすのこうたき(土日のみ)には大人10名、子供8名の合計18名。16時からの夕方のくすかき(土日のみ)には大人12名、子供11名の合計23名が集った。

 

昨日に引き続き、今朝も寒く、地面にはほとんど落葉がなかった。いったん落葉は止まったようだ。これまでは暖かい日が続いたため大量の落葉と向き合う くすかきだったが、今日のように落葉がない場合は、場所を整えることを意識して くすかきをする。

 

場所を整えるということは、樟の葉を掻きながら、松葉ほうきで境内の地面を平らにすることであり、最終的には松葉ほうきを使って地面に縞模様を描くことを意味している。

 

縞模様を描くことで、地面は葉っぱが落ちてくるための場所になるからだ。

 

これは、くすかきをはじめるきっかけになった12年前の話である。あるアートプロジェクトの現地スタッフとして太宰府に滞在していた春の朝、太宰府天満宮の境内へ行くと、神職や巫女の方から管理員さんまでみなさんで樟の葉を掃いていた。

 

なんだか自分もやってみたくなり参加させてもらった。桜吹雪のようにパラパラと樟葉が落ちる朝だった。松葉ほうきを手に落葉を掻くと地面に縞模様が残る。振り返ると、次の瞬間、その縞模様の上には次なる落葉が落ちていた。これでは掃除をしている意味があるのか?次から次へと落ちてくる落葉にそう思った。

 

だが直後、ん!?待てよ、もしかしたら、これは単に掃除をしているのではないのかもしれない!

 

落葉を掻いて縞模様を描くことで、次なる葉っぱが落ちてくる場所を整えているのではないだろうか?それは場をつくるという意味でも創造的な行為なのではないだろうか?

 

更には、太宰府天満宮は1100年以上の歴史があり、ここにある樟の木は樹齢千年以上。ということは1000年以上、こうして樟の葉が落ちてくる場所をつくり続けているということかと思うと、同じように松葉ほうきを持って、千年生きてきた樟の木の下で落葉を掻くと、その行為を通じて、今と昔がつながったような、まるでタイムスリップしたかのような感覚を覚えた。

 

松葉ほうきで樟の葉を掻くことで、千年の時間と空間とを旅するような、この感覚を多くの人に知ってもらいたい。更には共有することはできないだろうか。そう考えて、くすかきははじまった。

 

今朝のように、冷え込んでピリッとした、ほどよい緊張感がある空気の朝、太宰府天満宮は聖地としての存在感が色濃く現れる。日中の観光客に賑わう雰囲気とは全く違う世界がそこにある。

 

そんな千年続く朝の時間が、くすかきをはじめるきっかけだったのだと振り返る。

 

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昨日からの寒さで落葉はいったん止まりました。このあたりは二日前は一面落葉でしたが、今朝は一枚も落ちていません。

 

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普段は手のとどかない根っこの隙間まで今朝は丁寧にくすかきしました。

 

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細かい部分まで丁寧にくすかきすると、想像以上に葉っぱが集まりました。

 

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これは新芽を包んでいる皮です。若葉の芽吹きとともにたくさん落ちてくる芽吹きの証。

 

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石灯篭と鳥居の向こうから朝日が昇ります。

 

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10時〜鬼すべ堂に移動し、くすのこうたき(水蒸気蒸留)です。まずは昨日、樟の葉から抽出した樟脳を回収。春らしい寒さのおかげでたくさんとれました!

 

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樟脳回収は先週に続いて2回目になります。くすのこうたきは会期中の土日10〜15時で全ぶで5回やります。

 

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タンクの内壁についた樟脳を回収。

 

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たくさんとれました!

 

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リヤカー1台分の樟葉からマグカップ1杯分ほどの樟脳がとれます。

 

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16時〜夕方のくすかき(土日のみ)。長崎から参加しに来てくれました!

 

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はじめての参加者にもみんなでやり方を伝えます。