くすかき十五日目。太宰府の朝を価値化する。

くすかき十五日目。今日は土曜日。朝のくすかきには大人20名、子供11名の合計31名。10時からのくすのこうたき(土日のみ)には大人15名、子供4名の合計19名。16時からの夕方のくすかき(土日のみ)は雨のため中止。17時から山かげ亭での芳樟袋制作作業には大人3名が集った1日だった。

 

今年のくすかきは、朝は平均して約30名くらいの人が参加してくれている。これは過去一番多い。そんな中には、くすかき目的の旅行者もいる。

 

今朝は、太宰府天満宮の近くにあるゲストハウス「阿蘇び心(あそびごころ)」のスタッフの方が、大阪からの観光客の方を連れてきてくれた。

 

ゲストハウスの方に話しを聞くと「去年とか、最終日のくすのかきあげに参加するために、うちに宿泊してくれた方とか何名かいましたよ。一人の方は博多の方に住んでいるのですが、くすかきは朝早いから太宰府に前日入りされたみたいです」

 

くすかき目的で太宰府に宿泊する人が出てきていることは、少ないとはいえ、正直にとてもうれしい。

 

その方たちは、くすかきをきっかけに太宰府天満宮の朝の時間を過ごしに来ている。

 

観光地として名高い太宰府天満宮は、9時頃には全国や世界各地からの観光客でいっぱいになる。平日も参道を行き交う人は途切れることなく、休日ともなれば、参道が人で埋まるように賑わっている。

 

多くの観光客は太宰府天満宮のこの姿にしか出会うことはできない。しかし、自分は最もこのお宮が美しい時間帯は朝だと感じ、その時間にくすかきをしている。

 

昼は観光地の顔をしているが、朝は聖地の顔をしているのだ。

 

静寂と、凛とした空気、そこにそそぐ神々しい朝日。混ざり気のない、荘厳な空間が広がっている。

 

太宰府天満宮近辺には宿泊施設がほとんどない。今は梅が枝餅屋さんとお土産屋さんがほとんどとなった参道両脇の店舗は、かつて全て宿だった。西郷隆盛や坂本龍馬も宿泊しに来ていたそうだ。参道に宿泊していた彼らは太宰府天満宮の朝を知っていただろう。

 

ここでの朝を過ごすと心身ともに元気になる。日本の未来を考えるにはもってこいの場所だろう。

 

これからは、太宰府天満宮の朝を過ごすことが価値ある体験になるに違いない。

 

9年間ずっとプロジェクトを支えてくれている太宰府天満宮。くすかきもその魅力を伝えるひとつのきっかけになれたら、こんなに嬉しいことはない。

 

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ゲストハウスの方と大阪からの観光客の方と地元太宰府の子供たち。普通の旅行ではなかなか地元の人と出会う機会も、ましてや一緒に作業をして交流する機会もありません。でもこれが一番心に残る太宰府との出会い方なのだと思います。

 

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鬼すべ堂でくすのこうたき(水蒸気蒸留)を行いました。まずは樟葉を細かく砕きます。

 

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静岡から参加してくれているプロジェクトスタッフ。人生初の薪割りです。苦戦しながらもみんなに教えてもらって、ちゃんと割れました!

 

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水蒸気蒸留装置の火の管理をする小学新二年生。その背中にはもう風格が漂っている(笑)

 

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奥の銀筒に砕いた樟葉が入っており、下で湯を沸かして水蒸気が発生させ、熱で溶け出した樟脳成分と一緒に管を通って手前のタンクに押し出します。冷やされて水蒸気は水に樟脳成分は樟脳に結晶化します。

 

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水滴の表面に白く見えるのが樟脳です。

 

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あたりに樟の匂いが漂っています。

 

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水蒸気蒸留装置の窯で焼く、恒例の焼き芋。

 

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たいへんだー!小学生が叫ぶ!火力が上がってタンクのビニールが水蒸気でパンパンに!みんなで水をかけて冷却して一安心。

 

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一安心したら、ちょうど芋が焼けました。

 

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最高の焼け具合。みんなで食べると美味いです。

 

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夕方のくすかきは雨のため中止。