マオリの集会所「マラエ」で染色

カイコウラ3日目。朝、カイコウラにあるマオリコミュニティに挨拶に行った。マラエはマオリの集会場のことで、ニュージーランド各地にあるマオリのコミュニティはマラエを中心に形成されている。

 

マラエは特定の部族、あるいは家族や親戚に属する施設で、フェンスに囲まれた敷地内に彫刻の施された建物が立っている。マオリの人々はマラエをトゥランガワエワエ(自分たちが立つ場所、属する場所)として認識している。マラエでは集会、祝い事、葬儀、教育、その他の重要な部族の行事が行われる。

 

マラエには彫刻を施された集会所(テ・ファレヌイ)、ダイニングホールとキッチン、トイレ・シャワー棟があり、集会所の前には開けたスペース(マラエ・アテア)がある。

 

マラエの中で最も重要な建物は彫刻を施された場所、テ・ファレヌイ。その構造は人間の体を模しており、通常はその部族の祖先の一人を表している。多くのテ・ファレヌイにはその部族のファカババ(家系)や歴史、伝説を表す複雑な彫刻が施されている。亡くなった人々の遺影が飾られていることもよくあるそうだ。

 

テ・ファレヌイの中に入る時は、入る前に靴を脱ぐこと、中で飲食をしないこと、写真を撮るときは必ず許可を取ることといったルールがある。彼らが普段からそこで暮らしているわけではないが、大切な行事の時には寝泊まりする。

 

カイコウラのマラエは海の見える緑に囲まれた丘の上にあり、眺めは最高に美しく、吹き上げてくる海風がエネルギーをくれるようで、なんとも気持ちの良い場所である。

 

ここがアートフェスティバル開催中(2/16-23)に関係者の宿泊場所になるということもあり、ディレクターのリンダと挨拶に行った。シンプルな家の形をした建物に彫刻の施された集会所のイメージは以前から持っていたのだが、キッチンがあったり宿泊施設の機能が併設され、子供たちが遊んでいたりコミュニティスペースとして普段から機能しているのが意外だった。日本の公民館に寺や神社や墓が合体したようなイメージともいおうか。でもよく考えると、日本の寺や神社はもともとそういった場所で今は色々と専門の分野ごとに細分化されてしまっただけなのかもしれない。

 

〈そらあみ〉の糸を染色するのに広いキッチンがあると便利で、このマラエのキッチンを借りることができるかどうか、リンダが交渉してくれ、マラエの事務所にいた担当者は快諾してくれた。あとはキッチンが空いている日程を聞くだけだったのだが、なんとこの後2月中はずっと埋まっていて今日しか空いてないというではないか!ということで急ではあったが、他にあてもないので、今日の午後から染色作業をすることになった。

準備等があったので、15時からスタートして19時まで約4時間作業して染色を無事に終えることができた。

 

急な展開ではあったが、マラエというマオリコミュニティの中心地で染色ができたのは、糸を編むことでコミュニケーションしながら人と人のつながりを広げていく〈そらあみ〉にとって意義深く、良い兆しである。

 

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マラエ(マオリの集会場)の敷地に入るためのゲート。

 

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大きな木彫の像が立っていた。

 

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マラエの中で最も重要な集会所テ・ファレヌイ。人間の体をイメージしていて両手を広げた中に人が入っていくような格好になっている。

 

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気持ちの良い海風が届く丘の上にある。場所に良い空気が流れていてエネルギーを感じる地。

 

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マラエのキッチンは意外にも超最新といった設備。〈そらあみ〉で使う糸のノリを煮て落としています。

 

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広くて使いやすいキッチンでした。

 

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エイドリアンとリンダが染色を手伝ってくれています。

 

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染色完了!

 

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カイコウラでのリサーチを通じて見つけた土地の色。良い感じに染まりました。

 

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この5色で編みます。