くすかきはじめ。見えないウイルスとも向き合う春。

くすかき初日。今年は生憎の雨の中でのはじまりとなった。10:00から山かげ亭にて〈松葉ほうきづくり〉、13:30から御本殿にて〈くすかき成功祈願祭〉。その後〈柵設置〉を行い、無事に初日を終えた。

 

今年が例年と違うのは新型コロナウイルスの影響があるということ。くすかきは、基本的に早朝の屋外イベントということで、現場にアルコール消毒液を置き、屋内作業の際には十分な換気を行うなど感染拡大を予防する対策をとりながら、本年も開催させていただくこととなった。ただし、刻一刻と世界中に感染が広がっている状況の変化を見ながら、その都度判断をしていくこととなる。

 

「くすかき」は、樟の落ち葉を“搔く”ことで、かつて存在した千年樟を“描き”出す試み。それは、見えないものを想像する機会でもある。

 

目には見えない樟の木を想像する朝を一年に一度つくって年を重ね、今年が11回目の春。今年はさらに見には見えないウイルスとも向き合う春となる。

 

目には見えないものと向き合う時、問われるのは“人の心”である。知らないことや分からないこと、自分とは違う誰か、誰も知らない未来といったものと向き合うのと同様だ。それに恐怖するのか、排除するのか、理解しようとするのか、尊重するのか、どのように向き合うのかといった時に、その人の心の在りようがよくわかる。そういった意味でも今年は自分の心にしっかりと向き合う年になるのだろう。

 

「くすかき」では毎年、目には見えない千年樟と向き合うまでに、3週間かけて今年の春と、樟とその落葉を、落ち葉掻きを通じて観察する。それらを他者と協力して行うことで感動や情報を皆で共有する。そして最終的には一人一人違う、それぞれの答え(千年樟)を想い描く。なので毎年、それぞれの「くすかき」がある。故にコロナウイルスも同様にまずは、そのまわりで起きていることをしっかり観察するところからはじめようと思う。

 

東日本大震災の時も、熊本地震の時も、ぶれずに樟の葉を掻くことで、ちゃんと春が来ていることを伝えることで、大変な現場の人にいる仲間や、遠くの誰かのエールになれるようにと続けてきた。

 

今年は今年の「くすかき」をしっかりやっていきたいと思う。

 

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今年も太宰府天満宮の松葉ほうきを制作している職人の原口葵さんに来ていただきました。

 

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雨のため屋内での制作となったため、十分な換気をしながら行いました。

 

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親子で協力して

 

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仕上げに柄をつけてもらいます。

 

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雨が弱まったので6部咲きの桜の下で完成を祝って記念写真。

 

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無事に御本殿にて「くすかき成功祈願祭」を終えた後、雨の中、柵設置完了。

 

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ご協力いただいた皆様、雨の中ありがとうございました!