朝9時、クニさん登場。昨日雨だったので三宅島大学本校舎内で編んだ網を阿古漁港の中桟橋に設置してある“そらあみ”に一緒につなげに行った。そらあみ体験講座に参加してくれた田中さんや、浅井さん、浅井さんの友人も駆けつけて来てくれた。ああだこうだと言いながら、皆で作業をしていると、いつのまにか漁師さんが集まってきていた。
1人の漁師さんが言う「おう、組合長(クニさんは元組合長)、何してるんだ」
クニさん「三宅島大学で網を編んでるんだ」
別の漁師「なんでぇ、良い仕事見つけたな」
クニさん「仕事じゃねぇよ。ボランティアだよ」
また別の漁師「じゃあ金は出ねぇのか、なんでぇ」
最初はこんな感じで遠巻きに見て、野次を飛ばしてくる。
また別の漁師「エビ網にも使えねえな。つぎはぎだらけだしよ」
またまた別の漁師「どうせなら定置網の網を編んでくれたらいいのによ」
五十嵐「三宅島大学って言って、三宅島の魅力を見つけて発信していこうというのやってるんですよ。自分は網を編むのが面白いと思って、みんなでこうして参加してもらって、いろんな色で網を編んで、ここにこうして、網で埋めようと思って。協力お願いします!」
漁師さん「全然生徒が集まってねえじゃねえか。なぁ教授(クニさんを見ながら言う)」
クニさん「教授じゃねぇよ。でも、そうなんだよ。生徒が来ねえんだよ」
この講座は一昨日開校したばかりなので正直まだ認知度は低いし、参加者も少ない。
またまたまた別の漁師「だったら、ほらあそこの船の船長も編むのが上手だぞ」
五十嵐「え、ほんとですか?紹介してください」
漁師「やだよ、自分でいけよ」
それでも我々が、不慣れな手つきで編んでいると、
「おいおい、だから、そうじゃねえんだよ」
「ここをこうしてだな」
「なんでぇ、組合長!何教えてんだよ、あんた編むの早すぎてみんな分かんねえよ」
「ほれ、おれが教えてやるから見てろ」
気がつくと、あちこちで漁師さん達が網を触り、いじり始めた。
理想的な展開である。この場所、阿古漁港中桟橋を選んだ成果が早速現れた。
三宅島大学の本校舎内で講座を開いていたらこうはならない。三宅島大学に興味がある人はそこまで足を運ぶが、漁師さん達のような人達はまず顔を出すことはない。
島に飛び込まないと、島の中でものごとが機能することはない。阿古漁港中桟橋、ここは網にとって、プロしかいない場所へ飛び込むようなものである。この中桟橋につり下げられた網に対して、三宅島の人が当事者意識を持ってくれるものになるか、これからどんな物語が編み込まれていくのか“そらあみ”としてのトライアルはまだ始まったばかりである。
午後からは雨。室内で事務作業。落ち着かない天気が続いている。
そらあみ体験講座に参加し、今日も来てくれた田中さんに地元漁師さんが指導中