太宰府9日目。くすかき初日。朝8時お宮へ、昨日の春の嵐でものすごい量の樟の葉が落ちてきていた。これほどの量の葉っぱを時間内に全て1つの掻き山にまとめることは、今の人数では到底できないので、9時まで約1時間かけて、いくつもの小さな山にまとめた。その後、鬼すべ堂へ移動し、昨日の水蒸気蒸留装置試運転で抽出した樟脳を回収(それなりの量の樟脳が回収できたので一安心)。そして、10時に宝物殿地下1階講義室へ移動し「松葉ほうきづくり」のための会場設営を行い。11時過ぎに松葉ほうきづくりの指導にきてくれた職人の原口さん夫妻をお迎えし、材料と道具を会場に搬入し、昼食を食べ、13時から15時まで松葉ほうきづくりを行い。16時から19時まで、3時間かけて朝にまとめきれなかった大量の樟の葉を1つの掻き山にまとめた。本当にハードワークな初日となった。
《くすかき》は「松葉ほうきづくり」からはじまる。
松葉ほうきは、落葉を掻く竹で作られた道具。大きな熊手のような形をしている。毎年初日は、みんなで今年使う自分の松葉ほうきをつくるのが《くすかき》のならわしとなっている。
太宰府天満宮の松葉ほうきを年間200〜300本制作されている職人の原口さんを毎年お招きしている。松葉ほうきを作って60年の大ベテランでもうすぐ80才。奥さんも共に仕事をしてきて50年のベテランだ。毎年、制作の指導お願いする電話では、方言が強く、いつも会話には苦労するのだが、
五十嵐「今年も、松葉ほうきづくり、よろしくお願いします!」
原口さん「命の続くかぎり、やらせていただきます!」
と、本当にうれしい言葉をいただけた。
原口さんと松葉ほうきづくりのワークショップは今年でもう5回目。いうまでもなく良い雰囲気で場と時間と松葉ほうきがみんなの手で作られていった。
こうして、毎年松葉ほうきをつくっていくと、くすかきで管理する松葉ほうきも増える。全て物置にしまっておくのだが、1年経つと柄の部分が虫に食べられて、小さな穴がいくつも空いて壊れやすくなっている。対策をしたいと思い、原口さんに聞いてみたところ、その虫は物置に入れてから付いたのではなく、そもそも竹の中に入っているということだった。原口さんの話では、竹の立つ頃(タケノコの出てくる頃)である2月〜5月は虫が入るので竹を切るのは良くない。8月〜12月までに切って材料にするのが良い。ということだっだ。そして、「自分はこんなんしか作ってこなんだから、こんなことしか知らんからね」と言う。
自分を含め多くの人が、いつ竹を切るべきか知らない。
原口さんの後継者はいない。理由は、中国製の安く品質の悪いものが入ってきて、ほうきを作っても食っていけないということだ。このままいくと、この美しい松葉ほうきを作れる人がいなくなり、竹をいつ切れば良いかを知っている人もいなくなる。
「また来春!」と約束して原口さんは帰っていった。
1年ごとに世代交代する樟の葉のように、若い世代が育たないと、世代交代はうまくいかない。つないでいくことの危機感と難しさを考える。
春の嵐の翌日は、落葉がたいへんなことになっております。
鳥取から参加のキモトさんと葉ちゃん。
新芽が出ています!光ってる!
神主さんも巫女さんんも、皆さん総出で落葉掻き。
冷却タンクの内壁。樟脳採れましたー!!!
松葉ほうきづくり開始。職人さんの手先に注目!!!
自分で考えて、友だちに教えて、、、。自分の松葉ほうきが形になっていく。
きれいに広がりました。
完成!これで明日から自分の松葉ほうきで《くすかき》はじめます!!!
最後は恒例の記念写真。