沙弥島滞在43日目。朝一番で電話が鳴った。瀬居島(竹浦)の空本さんからであった。お願いしていた、島名と丸名(船名)の入った網針が出来上がったから、今から届けに行くという内容であった。
網針は網を編むための道具で、現在はプラスチック製のものが多いが、年輩の漁師さんは竹素材の手作りのものを持っている方が多い。
今回、そらあみを展示する際、一反一反の網の下に編んでくれた証として、島名と丸名(船名)の入った網針を設置する。
その数“118本”。
編んでくれた方は、全部で131人いるが、親子で1本だったり、夫婦で1本だったりする人もいるため、総数は118本となった。
竹林から竹を切り出すところからはじまった網針づくりは、沙弥島の浜辺さんと山本さん、瀬居島(竹浦)の久保組合長の知人の方が、それぞれに竹を丁寧に加工し制作してくれ、全ての網針がそろった。道具として充分に今後も使用できるクオリティである。ほんとうにありがたい。感謝!
その網針に島名と丸名(船名)を書き込んでくれたのが、瀬居島(竹浦)の空本さんの知り合いの方である。なぜ名前を知らないかと言うと、「お礼を言いたいから何度も名前と連絡先を教えてほしい」と伝えたのだが、「いや、いいから」と断られてしまい。結局分からず終いである。
とはいえ、118本の網針に島名と丸名を書くのは、しかも墨で書くのは、大変である。書いてくれた方に、この場を借りて、お礼したい。「ほんとうにありがとうございました。是非、作品を見にきてください」。そう伝えてほしいと、空本さんにもお願いした。
こうして、今回のそらあみを構成する最後のパーツがそろった。
3月16日の完成式の時に、各島から集まってもらった方々の手で直接吊り下げてもらう予定である。
118本の丸名の入った網針は、すでに強い存在感を示している。
多くの方に支えられて、そらあみは形になろうとしている。全ては、こっちに来てからの人との出会いの軌跡である。網の下に吊られた118本の網針に書かれた丸名から、網の結び目1つ1つから、それを感じてもらいたい。
118本の丸名の入った網針。