くすかき五日目。今朝の気温は6度。今朝も寒い。それでも日中は18度くらいまで気温が上がるので落葉はまずまずある。朝の〈くすかき〉には大人12名、子供11名、合計23名が集った。「くすかきはじまったよ」という噂が流れていくのか、日々参加者が徐々に増えていっているような印象がある。
朝のくすかきの途中で一陣の風が吹いた。すると、パラパラと桜吹雪ならぬ、樟葉吹雪のように葉っぱが落ちてきた。みんな思わず手を止めて樟を見上げ、その幻想的な風景に見惚れる。すると再び風が吹き、パラパラ、パラパラ、葉っぱは止めどなく落ちて来た。
「あ〜!せっかく落葉を掻いたのに元の風景に戻っていく〜」とどこかから聞こえてくる。
この瞬間に出会うのも〈くすかき〉の1つの醍醐味である。
〈くすかき〉は、「葉っぱが落ちて来る場所をつくる」という考え方を大切にしている。それは、こうして止めどなく葉っぱが降り注いできた時に生まれた考え方だ。
掻いても掻いても同じ風景に戻っている。それはとても不思議な体験で、いつしかこの行為は落葉をただ単に掃除しているのではなく“葉っぱが落ちて来る場所を整えている”いわば場づくりをしているのだと気がついたことがあった。実はこれが十数年前に自分に起きた出来事で、この体験が〈くすかき〉をはじめるきっかけになっている。
そして面白いことに、整えられ均等に縞模様の入った地面に落ちた葉っぱと、そうでない場所に落ちた葉っぱは見え方が違うのだ。
場を整える。そのたった一つの所作が物の見え方を変える力があるのだ。
今朝6:30の風景。
止まらない落葉に思わず手を止め樟を見上げる。
7:00頃、落葉が止まったタイミングで場を整える。
今朝7:30の風景。元の風景に戻っている。でも確実に葉っぱの見え方が違う。