くすかき十一日目。緊急事態宣言を受け、みんなに大事なことを伝えた朝。

くすかき十一日目。〈くすかき〉の会期は22日間なので、今日がちょうど中日になる。今朝の気温は8度と少し肌寒い。6:30からの〈朝のくすかき〉には大人21名、子供11名、合計32名が集った。

 

毎年だと、ここから会期の後半に入り盛り上がっていくのだが、本日4月7日の新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言を受けて、明日から〈日々のくすかき〉は原則 五十嵐1人で行うということを、はじまりかけた〈くすかき〉の手を止めてもらって、急にみんなを集めて伝えた。最初に伝えられたのは「きっとみんな今朝が最後だと分かってやった方がいい」と、ずっと一緒にやっている仲間からの一言のおかげだった。

 

五十嵐「みなさん、おはようございます!」

 

みんな「おはようございます!」

 

五十嵐「日々のくすかき、今日は4月7日。ほんとたくさんの方が集まってくれて、今年はいい雰囲気で〈くすかき〉ができているのですが、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が今夜発令され、福岡県もその対象になるとのことです。自分も悩んで、昨夜も何人かの人と相談したのですが、〈くすかき〉を千年続けるために、来年につなぐために、一番いい形は何かなと悩んで、今も悩んではいるのだけれど、、、〈くすかき〉って見えないものを想像するプロジェクトでもあって、ウイルスという見えないものを想像してみて、仮に来てくれた人から誰かにという風に〈くすかき〉の現場から伝染してしまって、おじいちゃん、おばあちゃんにかかってしまったり、体があまり元気のない人にかかってしまったり、、、今は若い人にも重症化するケースもあるそうです。同じように今、世界中でコロナウイルスと向きあっています。そのことを想像すると、今は大丈夫なんだけど、この先1週間とか続けて行く中で、感染が起きる可能性もあるなって、、、まだ元気にできているうちに、今年は、、え〜、、日々のくすかきに関しては、、、今日が最後に、、なると、、思いますので、、、なる可能性が一番あるので、、、」

 

少年「え?ない可能性もある?」

 

五十嵐「ない可能性は、今日中にコロナがなくなっちゃえばいいのだけど、そうじゃなくなりそうなんだよね、、、くすかきの会期中もずっと増えていきそうだから、、なので、今年はですね。、、とはいえ葉っぱが落ちてくるから、私が1人でやると、、、」

 

少年「ぇぇ、やりたい、、、」

 

五十嵐「やりたいんだけどね、、、。ごめんね」「くすかきは、最初は僕が1人で、葉っぱが落ちてきて掻いているのが面白いなぁってはじめて、1人ずつ仲間が増えていって、、一緒にやれる仲間が今年もまた新たに増えて、輪が広がっていっていて、そうやって一人一人が〈くすかき〉をしているのが集まって、今の形がある。もちろん、みんなでやりたいってのはあるんだけど、今年は1人で、、、1人ずつやる。だから、この場所は僕がやるから、それぞれの場所で〈くすかき〉をするとか、またみんなで相談しつつできればと思うんだけど、おそらく今日が、みんなでやる朝のくすかきの最後になります。そういう心づもりで、、、残念だけど、今日、おもいっきり〈くすかき〉して欲しいなっていうので、最初に集まってもらいました。じゃあ、はじめたいと思います!」

 

みんな「、、、よろしくお願いします」

 

少年「山かげ亭は?お手伝いするって言ったのに」

 

五十嵐「山かげ亭も、いがちゃん以外の出入りはいったんなしにしようって、、、。」「今、みんなで防げるようにがんばろうって、、、」「ほんとはやりたいんだけどね、、、」

 

少年「、、、じゃあ、ニュースで行っていいってことになったら、ちゃんとみんなに連絡してね」

 

五十嵐「、、、もちろん」

 

普段どちらかというとおちゃらけていて、ムードメーカー的存在の少年からの素直な言葉は深く胸に刺さった。このやりとりに涙を流す人もいた。「行っていいこと」には、きっとしばらくずっと、ましてや〈くすかき〉の会期中にはならない。

 

今年くすかきは11回目を迎える。11才の彼は生まれた時から〈くすかき〉に参加している。彼にとって〈くすかき〉のある春が日常なのである。11年目の日常が失われていく。きっと今、世界中のあちこちでこうして日常が失われていっているのだろう。

 

戦争を体験したことはないし、戦時中はもっと圧力が強かったと思うが、きっとこんな風に見えない外的圧力によって日常が奪われていったのだろう。

 

IMG_0252_s

みんなでやる今年最後のくすかき。

 

IMG_0255_s

地元の同級生どうし。

 

IMG_0257_s

遠くから朝一番の電車で来てくれてます。「どうしても参加させてあげたくって」と言って姉を連れて来た妹。姉妹で協力して〈くすかき〉。

 

IMG_0258_s

親子の組み合わせは違うけど一緒に〈くすかき〉。

 

IMG_0261_s

天神広場全体を整えます。

 

IMG_0270_s

みんなで作る掻き山はこれが今年は最後。

 

IMG_0275_s

こんな日にかぎって、滞在先の桜はちょうど満開を迎えました。

 

IMG_0277_s

華やかに咲けば咲くほどに、どこかさみしい春。


くすかき十日目。寒い朝。

くすかき十日目。今朝の気温は6度とかなり寒い。この寒さもまた春らしくて好きである。今日はくすかきは定休の月曜日だったので、昨日の〈くすのこうたき〉で水蒸気蒸留した樟脳の回収のみ朝6時半から行った。寒い朝なので収穫量に期待したが昨日と変わらず少ない、、、。よくみると管が樟脳で詰まっている!これはパイプ掃除をしなくては!

 

夜に、インターネットを使ったZoomでの会議(テレビ電話のような会議)を行なった。いよいよ明日、4月7日に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言がでることが決まったからだ。7つの都道府県の1つに、ここ太宰府のある福岡県も入っている。

 

Zoomでの会議では、太宰府の様々な仕事や立場から、より現場に近い視点からの考えが聞けたり、東京や静岡といった離れたところで起きていることや、ネットを介した〈くすかき〉の見え方の現状や心配な点など、いろいろな人材の様々な土地からの意見が聞けて非常に参考になった。そして、あらためてこのプロジェクトに関わる人たちの〈くすかき〉への想いを確認することができた場となった。

 

そして、今年は今後1人でくすかきをする判断をした。お宮や関係者に迷惑をかけたくないというのももちろんだが、くすかきに関わる人から感染者が出たり、それをきっかけに、それぞれの爺ちゃんや婆ちゃん、肺に失陥がある人なんかに広がって、悲しい思いをして欲しくないというのが一番の理由だ。

 

3月はじめ、太宰府入りする前に「最悪、1人でやる」という宣言をしていたものの、当時はどこか現実味がなく、冗談のように聞こえていた言葉だったが、まさか本当となるとは、、、。

 

すべてはこの先に、千年先につなげるため。

 

IMG_0237_s

水が本当に冷たい。

 

IMG_0238_s

ドラム缶の内壁についているのが樟脳。収穫量は少ない。

 

IMG_0239_s

フワフワしている。多いときはもっと固まっている。

 

IMG_0241_s

管が樟脳で詰まっている!

 

IMG_0243_s

冷却タンクに行けなかった樟脳成分が、蒸留装置の中で結晶化してました。

 

IMG_0245_s

蒸留水を貯めるタライからも樟脳を回収。

 

IMG_0246_s

量が少ない時は希少性が増し、回収中に落とさないようにと、緊張感があります。

 

IMG_0248_s

今日採れた樟脳。やっぱりちょっと少なめです。


くすかき九日目。樟の木の中で起きていること。

くすかき九日目。今朝の気温は9度。暖かい朝が続いている。6時半からの〈朝のくすかき〉には大人21名、子供10名、合計31名。その後、10時からの〈くすのこうたき〉と16時からの〈夕方のくすかき〉には大人12名、子供5名の参加があった。

 

会期中、毎週末の土日で〈くすのこうたき〉と題し、樟の葉っぱを水蒸気蒸留し樟脳づくりを行っている。これまでの経験で寒い日の方が、樟脳がたくさん採れるようなのだが、昨日も今日も朝は10度前後で日中は20度以上と、かなり暖かいため、あまり収穫量は期待できない。

 

天然樟脳づくりを日本で唯一されている内野樟脳につくり方を習いに行った時に、ご主人から聞いた話だが、何度同じやり方でやってもフタを開けてみるまでは、どれくらい採れているか分からないというのだ。

 

これは、自然条件によって樟脳の収穫量は左右されるということである。もっといえば、天候や気温や気圧の変化に、樟は反応しているということである。

 

そう考えると〈くすのこうたき〉で樟脳を取り出し、それを観察するということは、樟の木の中で起きている反応を見ているとも言える。

 

IMG_0216_s

今朝は天神広場全体を〈くすかき〉しました。

 

IMG_0219_s

今朝の光りも美しい。

 

IMG_0220_s

樟脳を抽出するための葉っぱを鬼すべ堂へ運びます。

 

IMG_0223_s

昨日の〈くすのこうたき〉で採れた樟脳。

 

IMG_0226_s

丁寧に樟脳回収。

 

IMG_0227_s

収穫量は少ない。先週に比べると半分くらいだろうか。

 

IMG_0231_s

風が吹いた。樟を見上げ、落葉の瞬間を待つ少年。

 

IMG_0234_s

明日はたくさん樟脳採れますようにと、薪を焚べる。

 

IMG_0235_s

夕方のくすかきを終えた。西日を浴びて葉っぱが縮んでいる。今日の空は5月の空のように青かった。


くすかき八日目。満開の桜が静かに咲いている。

くすかき八日目。今朝の気温は9度だったが、日中は20度まで上がりあったかい日となった。樟の落葉はほどよく平均的な量。光が美しい気持ちの良い朝。6時半からの〈朝のくすかき〉には大人19名、子供9名、合計28名の参加。その後、10時から〈くすのこうたき(樟脳づくり)〉、16時から〈夕方のくすかき〉といった1日。

 

週末の外出自粛要請が出ているため、基本的に参加の呼びかけはせずに行ってはいるが、毎年一緒にやっている仲間は自然と集まる。屋外で距離をとって、アルコール消毒を用意して、マスクの呼びかけ、といった対応をしているものの、人が集まって何かをしている状況への視線が気になるようになってきた。

 

参加型ではなく、制作現場のアシストといった位置付けで必要なアシストをお願いする。といった考えで、、、とも思うが、状況は悪化していく一方。やはり今年の〈くすかき〉のやり方を考え直さなければならない。

 

鬼すべ堂では、満開の桜が静かに咲いている。

 

IMG_0174_s

平均的な落ち葉の量。

 

IMG_0178_s

葉っぱ以外の枝や小さな若芽の皮を除いてから、真ん中の掻き山に足します。

 

IMG_0180_s

光が美しい朝。縞模様のコントラストが強くなります。次なる葉の落ちてくる場所が整いました。

 

IMG_0181_s

朝のくすかきが終わった後に境内に朝日が入る瞬間が本当に美しい。

 

IMG_0183_s

まだ薄い若葉が朝日を浴びて、透けるように光っている。

 

IMG_0186_s

見上げると、しばらく黙ってしまう。

 

IMG_0188_s

〈くすのこうたき〉にて。水蒸気蒸留のため薪を満開の桜の元で割る。

 

IMG_0199_s

静かな日。

 

IMG_0203_s

日中気温が上がったため、朝整えた縞模様の上には、夕方たくさんの落ち葉があった。


くすかき七日目。メディアデイ。

くすかき七日目。今朝の気温は10度。暖かい日が続いている。家から外に出ると体が“ぎゅ〜”となって思わずポケットに手を入れたくなる寒い朝がまだない。朝の〈くすかき〉には大人20名、子供10名、合計30名が集った。

 

今日はメディアデイ。朝からカメラが2台。1つは〈くすかき〉の記録映像を11年つくってくれているカメラマンであり映像作家の仲信くんの撮影。もう1つは太宰府天満宮が発信するYouTube動画で樟をテーマにしたプロモーションビデオのための撮影。そして、ラジオ局「LOVE FM」のスタジオ出演で〈くすかき〉の紹介をさせてもらった。

 

まず11年というスパンで〈くすかき〉を見つめ、映像という形に残してくれている仲信くんの眼差しは非常に貴重なものである。先日話をしたときに「いつか、葉が枝から離れ、落ち葉になって落ちて来る瞬間を映像で捉えたくて。でも11年撮影してると、最近、あ!そろそろ落ちるなというのが分かってきた気がする(笑)」とのこと。楽しみが増えました。仲信くんの映像の魅力は、もちろん樟に対するものだけではなく、会期3週間の人間模様や人の成長を追いかけてくれているところである。くすかきを伝える時に一番のメディアとして彼の映像を使わせてもらっている。去年の映像がYouTubeにアップされているので是非ご覧ください。

https://www.youtube.com/channel/UCacZglllaljf2prERyYCteQ

 

そして、太宰府天満宮が発信するYouTube動画で樟をテーマにしたプロモーションビデオをつくるにあたって、そのワンシーンとして〈くすかき〉を入れてくださるというのが、非常にありがたく、光栄なこと。この11年のあいだ、あたたかく時に厳しく、叱咤激励してくださりながら、プロジェクトであり私の成長を見守ってくださっていることに、あらためて感謝するとともに、11年目の挑戦に対して気持ちが強くなる。撮影チームの方の話では5月には納品する予定とのことだったので非常に楽しみである。世の中に発信されるのは来年の春になるだろうか。

 

最後にラジオ局「LOVE FM」への出演は去年に引き続き2回目。〈くすかき〉をともにつくってくれている仲間の知子さんの紹介。これもまた人から人へとつながって広がっていく〈くすかき〉らしいご縁だなと感じる。しかし、今年のスタジオでのトークは、刻一刻と状況が変化していく新型コロナウイルス影響のため、「どしどし、ご参加ください」とか「みんなで集まって良い雰囲気でやっております」といった言葉は使いづらく、非常に難しいものであったが、樟の木が大好きなDJのルーさんのサポートで無事にトークを終えることができた。

 

いずれにせよ、積み重ねてきた関係に〈くすかき〉の成長を感じることができた日となった。

 

IMG_0165_s

もう1つ。〈くすかき〉の成長は彼らの成長とともにある。

 

IMG_0166_s

お宮発信のYouTube用撮影チーム。東京から撮影にいらしてました。ちなみにカメラマンは外国の方でディレクターの方と英語でやりとりしてました。

 

IMG_0167_s

参加カードの葉っぱのスタンプも増えていっています。

 

IMG_0171_s

スタジオは天神にあります。久しぶりの都会です。

 

IMG_0172_s

DJのルーさんとスタジオにて。ありがとうございましたー!


くすかき六日目。友達を誘ってくる。

くすかき六日目。今朝の気温は9度。肌寒いが中には半袖の少年もいた。朝の〈くすかき〉には大人14名、子供11名、合計25名が集った。

 

今日、初めて参加してくれた人がいる。この春、中学一年生になる「そうすけ」くん。友人の紹介で〈くすかき〉に来た。その友人は毎年参加してくれている。

 

友達を誘ってくれたというのがとても嬉しかった。〈くすかき〉は、人に説明するのがなかなか難しいところがあって、一度来てしまえば、やることはとてもシンプルだし、大人も子供も楽しめる。場所の雰囲気や流れる時間の魅力はそこで伝わるし、自分に合うか合わないかというのは分かる。

 

しかし、いったいどんな風に誘ってくれたのだろう?それは分からないが、ひとつ分かることは、自分の言葉で〈くすかき〉を説明し誘ってくれたということだ。説明の内容よりも、そこが重要なのである。

 

自分の言葉で説明するとき、そこには本人にとっての〈くすかき〉がある。地域づくり、奉仕活動、健康維持、早起き習慣、観光資源、木々とのふれあい、子育ての一環、友達作り、などなど。その人の理解でよい。解釈や関わり方に幅があるという意味でも、それがアートプロジェクトである魅力でもある。人の数だけ〈くすかき〉がある。

 

人から人へ、そこにはちゃんと〈気持ち〉がある。その〈気持ち〉を大切に、こうやって本当に少しずつ広がって11年。今後、爆発的に参加者を増やしたいわけでもない。これからも〈気持ち〉がちゃんと広がっていくように、仲間が増えていくことを楽しみにしている。

 

IMG_0150_s

昨日の雨で大量の落ち葉。

 

IMG_0154_s

半袖の人。マフラーの人。

 

IMG_0155_s

どんどん掻き山が大きくなります。

 

IMG_0158_s

掻き山の形も整えられ、地面に縞模様も入って、新たな一枚が落ちて来るための場所を整え、朝のくすかき終了です。

 

IMG_0161_s

日中の山かげ亭では窓全開で換気とアルコール消毒をしながら、週末に葉っぱから抽出する樟脳を包む「樟香舟」を折り紙しています。


くすかき五日目。福岡県4月19日まで週末外出自粛要請。

くすかき五日目。今朝の気温は11度。土砂降りの雨で、朝のくすかきは中止。

 

本日4月1日、福岡県内で新たに27人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、県内で感染が確認された人数は73人となった。感染確認が急増していることを受け、福岡県知事は県民に対し、今後3週間の4月19日まで、週末土日は不要不急の外出を自粛するよう呼びかけた。

 

くすかきの会期は4月18日(土)まで。これは困ったことになった。週末の外出には当てはまる。これは出来るやり方を考えるしかなさそうである。

 

IMG_0146_s

雨の朝。

 

IMG_0148_s

もしかしたら誰か来るかもしれないと行ってみると、やはり「目が覚めてしまって、散歩に(笑)」とのことでした(笑)


くすかき四日目。忍び寄る新型コロナウイルスの影響。

くすかき四日目。今朝の気温は12度。昨日よりさらに暖かい。朝の〈くすかき〉には大人18名、子供10名、合計28名が集った。

 

話題となるのは、やはり新型コロナウイルス。〈くすかき〉は早朝の屋外ということもあって、「三密(密閉・密集・密接)」ではないものの、世界各地の感染拡大の動きを見ていると刻一刻と状況が悪化していっているのが分かる。東京では不要不急の外出を避けるよう知事から呼びかけが出ている。おそらく福岡も時間の問題なのだろう。

 

そんな中、太宰府市の全公共施設が4月1日から閉鎖されるという連絡があった。イベント自粛などはないとのことだが、いよいよ雲行きが怪しくなってきた。

 

それでも樟の葉は落ちてきている。ちゃんと春はきている。千回以上これを繰り返してきた大きな樟の木が目の前にある。この千年のあいだに戦争もあっただろう、地震や津波もあっただろう。樟はそれでも葉を落とし、若葉を芽吹かせ、春を迎えてきた。

 

コロナウイルスに限らず、天然痘やペストなど、全人類が向き合うウイルスは、いろんな時代に登場している。その都度、人はその時代時代で協力し、できることをして命をつないできた。科学も進化し、行き交う情報スピードも昔とは違う。しかし、人が人であることは変わらず、いつの時代も不安との戦いとなる。不安や恐怖に飲まれると、人は冷静な判断ができなくなり、偏見や差別といった危険な心理状況を作り出す。通常であれば、心に余裕があれば、そんな思考にはならない。人は時に強く、時に弱い存在である。

 

人の心が不安で揺れ動く、こんな時にこそ〈くすかき〉を通じて、千年ブレない眼差しと、千年先につづく日常を届けたい。その姿を見せたいと思う。だがそれも厳しくなりそうな状況となりつつある。

 

IMG_0129_s

今朝の落葉は少なめ。

 

IMG_0130_s

落ち葉が少ないので、広場全体を〈くすかき〉します。

 

IMG_0132_s

松葉ほうきと、葉っぱと、地面が擦れる音が一定のリズムで静かな境内に響く。それは波音のように聞こえる。

 

IMG_0134_s

赤味が強い。

 

IMG_0136_s

太宰府天満宮参道にある案内所にて、〈くすかき手ぬぐい〉と〈くすかき芳樟袋〉を販売中!プロジェクトの運営資金とさせていただきます。

 

IMG_0138_s

【くすかき手ぬぐい】太宰府天満宮の境内で管理されている全51本の樟の葉を五十嵐が一枚ずつ描いた原画を元に、注染という技法で制作された手ぬぐいが今年も販売中(1200円+税)。今年の色のテーマは常若(とこわか)。千年生きる樟の木が今年も若葉を芽吹かせる様子から、いつまでも若々しい樟の葉の生命力を感じる緑色です。

【くすかき芳樟袋】くすかきで集めた樟の葉を布で包んだ「芳樟袋」。古く平安時代から芳香・防虫剤として使われてきた匂い袋は、毎年人気の品です。時間が経っても手で袋を揉むと再び香りが立ち上がります。(500円+税)

くすかきでは、関連の品の発送も承っております。
以下より詳細ご確認ください。
https://igayasu.com/kusukaki/goods/

 

IMG_0140_s

滞在先、山かげ亭の桜は満開です。

 

IMG_0143_s

今年は少し咲くのが遅いようです。


くすかき三日目。今年の初モノの樟脳。

くすかき三日目。今朝の気温も10度。昨日に続き暖かい朝。〈くすかき〉は月曜定休なので今日はお休みなのだが、昨日の〈くすのこうたき〉で抽出した樟脳回収のみ行った。

 

月曜日の樟脳回収も朝のくすかき同様に6時半から行っている。学校に行く前に見たいという希望から、いつしかこの時間が恒例となった。なので、お休みだけどやはり同じ時間に起きるのである(笑)。体がこの早起きに慣れてしまえば目覚ましが鳴る前に起きれるようになること私は知っている。が、今日はまだ辛い(笑)

 

月曜定休の「くすかき」なので、基本的に今朝の人は少ないはずなのだが、なんと大人11名、子ども6名の計17名で樟脳回収。みんな今年の初モノの樟脳の香りが気になったということなのだろう。

 

IMG_0117_s

さて今年の初モノはいかがなものか、、、

 

IMG_0119_s

おお!ちゃんと採れてる!白いのが樟脳です。思わず「いい香り〜」の声がでる。

 

IMG_0121_s

幹から採ったものよりも、葉っぱから採った樟脳の方が少し柔らかい香りの印象です。

 

IMG_0123_s

春の香りを回収。樟脳は古くから着物の虫除けなどに使われてきました。おばあちゃん家のタンスの匂いというと分かる人もいると思います。虫除けは化学物質が主流の今、天然樟脳は逆に注目されつつあり、最近はセレクトショップに置いてあったりします。

 

IMG_0124_s

タンクの中に設置してあるタライに付着した樟脳も回収。

 

IMG_0126_s

150リットルほどの葉っぱから、湯飲み一杯分くらいの樟脳が採れます。平均的な収穫量に一安心。


くすかき二日目。土地への恩返しの1つのかたち。

くすかき二日目。今朝の気温は10度。この時期の太宰府は寒い朝だと5度くらいにもなるので、比較的温かい朝。今年はなんとなく温かい春になりそうで、樟の落葉も会期の前半に偏りそうな兆しがある。今日は、6:30から天神広場で〈日々のくすかき〉、10:00から鬼すべ堂で〈くすのこうたき〉、16:00から天神広場にて土日のみ夕方も開催する〈日々のくすかき〉といった1日だった。

 

今朝の6:30が今年の〈くすかき〉の掻きはじめ、いよいよ本格始動となる。この日の朝は毎年緊張する。誰が来てるかな?新しい人は来てるかな?どんな顔触れになるだろう?最悪自分1人でもきっちりやろう。そんな覚悟をして天神広場へ向かう。

 

結果、集まったのは大人21名、子ども5名の合計26名。馴染みの顔もある中に、はじめましての方も数名。そう、今年は会期のはじまる前から参加を希望する数件の問い合わせがあった。

 

きっかけを聞くと、「両親の出身が太宰府で、何かできないかなと思っていたら、先日くすかきのポスターを見まして、、、」とか、「地元の者で、何年も前から毎年ポスターを見て気にはなっていたんですが、今年やっと時間に余裕ができまして」とか、「太宰府天満宮幼稚園の出身で、子供の頃はここが遊び場で育ててもらって、何か恩返しできないかなと思って散歩していたらポスターを見まして、、、」といったものが多かった。

 

これも11年続けてきた1つの成果なのだろう。何より嬉しいのは、この太宰府という土地に恩返しがしたい、何かしらの関わりを持ちたい人にとって、「くすかき」が1つの役割を担っているということである。

 

「樟の葉を掻く」この1つの所作には、本当に様々な意味合いが込められている。

 

くすかきには様々な側面があり、地域づくり、奉仕活動、健康維持、早起き習慣、観光資源、木々とのふれあい、子育ての一環などなど、関わり方も人それぞれ。毎年、一人一人それぞれのくすかきがある。

 

「くすかきとは何なのか?」ということを考える3週間がはじまった。

 

IMG_0080_s

今年の葉っぱは去年に比べ少し小さい印象。

 

IMG_0081_s

昨日の雨で大量の落葉。

 

IMG_0083_s

朝のくすかきの様子。

 

IMG_0086_s

今年最初の掻き山。初日にしては、かなり大きい。

 

IMG_0090_s

保管していた松葉ほうきの汚れ落とし作業。

 

IMG_0095_s

「くすのこうたき」樟葉を水蒸気蒸留し樟脳を抽出する際に使う薪は、お宮の裏山で切り倒された杉の木を使っています。

 

IMG_0098_s

水蒸気蒸留装置に薪を焚べて、蒸留開始。

 

IMG_0099_s

冷却タンクを水で冷やして、、、

 

IMG_0100_s

透明ビニールシートの底に水滴と一緒に白く見えるのが樟脳。ちゃんと採れているようです。

 

IMG_0104_s

薪割りも同時に進行中。

 

IMG_0106_s

すっかりキレイにしてもらった松葉ほうきを天日干し。気持ち良さそう。

 

IMG_0108_s

柵の一番下に取り付けてある葉っぱ拡散防止用の板も10年経って傷んだので新しくします。

 

IMG_0111_s

釜戸の火を使ってできた焼き芋。美味い!

 

IMG_0112_s

痛んで使えなくなった松葉ほうきをバラして燃料にします。

 

IMG_0113_s

夕方のくすかきの様子。