くすかき七日目。ラジオ出演に風のいたずら。

くすかき七日目。6:30〜〈日々のくすかき〉(大人14人、子供7人)。9:20-9:35〈ラジオ出演〉。10:00-12:00〈制作作業〉(大人5人、子供0人)といった1日だった。

 

今日は毎年恒例となったラジオ出演で〈くすかき〉の紹介をさせてもらった。ラジオ局はLOVE FM。自分の記憶が正しければ今年で3年目となる。「TOP OF THE MORNING」という番組のDaily ScrapbookというDJのLUE(ルー)さんが毎日気になる話題をピックアップしていくというコーナー。例年だと天神にあるスタジオまで行くのだが、今年はコロナ対策として電話での出演となった。

 

ルーさんは「今年も〈くすかき〉の季節が来ましたね!」といった入りで、季節の風物詩として紹介してくださり、電話出演ではあったものの顔が見える相手だったので話もスムーズに進んだ。

 

せっかくの電話出演だったので、境内まで行って掻き山(葉っぱの山)の前からの中継してみたところ、エンディングのタイミングでフワッと風が吹いた。

 

ルーさん「五十嵐さん、最後にリスナーの皆さんに一言どうぞ!」

五十嵐「あー!今ちょうど風が吹いて、樟の葉っぱがたくさん落ちてきました!みなさん早く来てくださいー!!!(笑)」

 

といった具合に全く予想していなかったラストとなったが、ライブ感はリスナーに届いたに違いない。一連の出来事は天神様のいたずらだったのだろうか?絶妙なタイミングでの落葉となった(笑)

 

電話を切って時間を確認すると、予定していた時間を5分ほど過ぎていた。一曲分くらい延長して喋っちゃうほどに盛り上がったのだった。

 

今後「ラジオを聞いて来ました」なんて人がいたら、仕事の幅を広げようかな?(笑)

 

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今朝も暖かく、たくさんの落ち葉。

 

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一面の落ち葉。

 

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頼もしく成長した男子たち。

 

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枝が増えてきた。枝が落ちはじめると落葉の終わりが近づいている知らせである。

 

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7:30:次の葉っぱが落ちてくる場所を整えて、朝のくすかき終了。

 

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9:00:1時間半のあいだに、もう次の葉っぱがこんなにも落ちてきていた。

 

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山かげ亭での制作作業。芳樟袋に説明書きを添えてパッケージ。

 

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芳樟袋に樟の葉っぱを入れています。

 

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刺繍糸できっちり口を閉じて形を整えます。

 

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このあと、こより(タグ)を結んだら完成です。一つ一つに丁寧に春を包んでいます。


くすかき六日目。2つの芽吹き。

くすかき六日目。6:30〜〈日々のくすかき〉(大人18人、子供9人)。早朝の境内に集まった人数は総勢27人。賑やかな雰囲気で朝のくすかきが行われた。

 

12回目となる〈くすかき〉だが、毎年どんな年になるか誰にも分からない。樟の落葉のタイミングや天候といった自然現象としての要素。そして、どんな人が集うか?毎年参加の人、初めての人、今年は来られない人といった人的要素。それらの絶妙な関係が会期3週間の物語を紡ぎ出す。

 

そんな中で、毎年参加している大人たちの楽しみの一つに「芽吹き度」という考え方がある。樟若葉が芽吹くのに重ねて、人の成長をそう言っている。特に子供たちに多く現れるのだが、会期中のこの3週間の間に目覚ましく意識や行動の変化が現れ大きく成長する人がいる。まさに樟若葉が芽吹くように一気に開花する様には感動する。

 

現場に来てもフラフラとしていただけだったのに急に頑張りだしたり、指示を出されるまで動けなかった人が自分で考えて動けるようになったり、縞模様や掻き山の形にこだわりを持つようになったり、初めての人や困っている人がいたら声がかけられるようになったり、その変化は人それぞれなのだが、“芽吹いている”というのは、日々参加してさえいれば誰もが気がつけるくらいはっきりと分かる。なぜそんなことが起きるのかは分からない、樟若葉に感化されるのだろうか?

 

なので時々こんな会話があったりする。

 

「今年の〇〇くんは、ちょっときてるんじゃないの?」

「やっぱり、そうだよね。芽吹きつつあるよね」

 

また逆に「今年は〇〇くんが芽吹くんじゃない?」「いいかもね」なんて期待をしてみると、以外にも翌日から来なくなったりといったこともある(笑)

 

大なり小なりみんなそれぞれの芽吹きはあるのだが、そんな中でも一番の芽吹き度だった人が、その年の“年男”のようなイメージで、最終日の〈くすのかきあげ〉で「舟当番」という大役を担う。今年の香りを天に届けるという役割である。毎年「今年は〇〇くん(ちゃん)の年やったね」と自然に決まる。

 

今年は、この3週間でどんな“芽吹き”が見られるのか楽しみである。見上げて気づく樟若葉の芽吹きと、協働しながら気づく人の芽吹き、2つの芽吹きが見逃せない。

 

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今年は誰の年になるのか

 

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それは誰にも分からない

 

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大人だって芽吹くんです

 

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美しい光の朝でした

 

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太宰府天満宮の案内所では様々なお土産と一緒に、くすかき関連の品が販売されています。春限定商品なので季節のお土産として手にとっていただけたら幸いです。収益はプロジェクトの運営資金とさせていただきますのでご協力のほどよろしくお願いします。

 

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芳樟袋は樟の葉の入った匂い袋。生地は中川政七商店さんに、ご提供いただいております。手ぬぐいは福田屋染物店に染めてもらっております。

 

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太宰府天満宮の境内で管理されている全51本の樟。その葉にはそれぞれ色や形に微妙な違いがあることに気づき、一枚ずつ描いた原画を元に、注染という技法で制作された手ぬぐいです。カラーテーマは常若(とこわか)。千年生きる樟の木が今年も若葉を芽吹かせる様子から、いつまでも若々しい樟の葉をイメージした緑色にしました。


くすかき五日目。くすかき参加カードのデザインは当時12才。

くすかき五日目。6:30〜〈日々のくすかき〉(大人18人、子供8人)、15:00-17:00〈制作作業〉(大人4人、子供0人)が行われた。

 

くすかきにはこれまで12回やってきた中で、試行錯誤し改良を加えながら、現在の形に落ち着いたものがいくつかある。そのうちの一つが〈くすかき参加カード〉である。

 

ラジオ体操のようなイメージで、参加した日にカードに葉っぱの形をしたハンコが押される。葉っぱハンコをたくさん集めた人は、最終日の直会で表彰され、ご褒美のお菓子がもらえるといったのが恒例となっている(※去年はコロナで直会も表彰式もできなかった)。

 

歴代のデザインを振り返ると、最初は四角いカレンダー型だったり、樟の木の形に葉っぱが増えていく樟の木型だったりと、いくつかあった。

 

それが今から4年前の2017年に、春から新中学生になる米湊咲希さん(当時12才)がデザインした松葉ほうき型が、非常に評判がよく、何より〈くすかき〉らしいということで定番となった。

 

高校生になった咲希ちゃんは吹奏楽部の活動などで忙しいが、時間をつくって参加してくれて、昨日の朝も顔を見せてくれた。

 

今年初めて参加する人にも、やはりこのデザインは評判が良い。松葉ほうきを使って葉っぱを集める〈くすかき〉そのものがデザインに落とし込まれている。あらためて12才の才能に驚かされる。

 

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今朝も寒くない。落葉は多い。

 

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26人と葉っぱの量に対して人手に余裕があると、こうして柵を出て広く〈くすかき〉ができる。

 

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2017年に当時12才の咲希ちゃんがデザインした松葉ほうき型〈くすかき参加カード〉。参加すると葉っぱが増えていきます。みかちゃんはカードを自分でアレンジして、名前、ハート、葉っぱのイラストを加えてあります。

 

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今朝も最後に縞模様を入れて、次の葉っぱが落ちてくる場所を整えます。

 

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若葉がだいぶ出てきました。濃い緑が去年の若葉でこれから落ちてきます。

 

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制作チームは、樟香舟(樟脳を入れるパッケージ)を各自つくったものを持ち寄ってくれました。

 

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芳樟袋(樟葉の入った匂い袋)を説明書きを同封し、祝儀型パッケージに包んでいます。

 

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祝儀型パッケージに包んで完成。太宰府天満宮の案内所と宝物殿で春限定商品として販売しています。季節のお土産にぜひ手にとってみてください。売り上げはプロジェクト運営資金とさせていただきますのでご協力のほどお願いします。

 

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樟香舟に使う和紙に、くすかきハンコを一枚ずつ押していきます。


くすかき四日目。年に一度会う親戚のおじちゃん。

くすかき四日目。6:30〜〈日々のくすかき〉(大人16人、子供9人)が行われた。前回が雨だったので朝としては今日が初日となった。どれくらいの人が集まるかな〜?と毎年ドキドキするのだが、なんと今年の朝の初日は25人!多い!たくさんの人が集って、すばらしい朝のくすかきとなった。

 

何に驚いたって、何と言っても子供たちの成長である。去年の春以来の一年ぶりの再会。手足が伸びて、すらっとして、一瞬誰か分からないくらいみんな大きく成長している。

 

あちこちで「でかくなったな〜」「もう親父と変わらんやん」「ちょっとまって、足が長すぎん?」「がっちりしたなぁ」「もうすっかりお姉さんやね」なんて会話が交わされている。子供たちは照れ臭そうに黙っている。その黙って少し恥ずかしそうにしている表情がまたなんとも胸をうつ。

 

まさに、年に一度会う親戚のおじちゃんになった気分である。

 

実際に〈くすかき〉の作業を通じても、一つ一つの所作や判断、行動にみんなそれぞれの成長をあからさまに感じられ、逞しくなっているのである。

 

くすかきは今年で12回目。1回目に母親に抱かれて参加していた赤ちゃんが小学6年生になった。彼らの成長を共に感じられることもまた、くすかきの楽しみの一つである。

 

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今朝も春にしては暖かい。落葉も多い。

 

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25人にはびっくり!朝の6時半です!

 

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彼らの一年分の成長を感じられた朝。

 

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若葉が芽吹くこの時期と、子供たちの成長が重なる。くすかきは彼らによく似合うプロジェクトである。

 

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次の落ち葉のために整えられた空間が美しい。

 

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この時期は巫女さんも樟の葉をはわきます。


くすかき三日目。今年の初もの、樟脳回収。

くすかき三日目。〈くすかき〉は月曜定休なので今日はお休みなのだが、昨日の〈くすのこうたき〉で抽出した樟脳回収のみ行った。月曜日の樟脳回収も朝のくすかき同様に6時半から行っている。学校に行く前に見たいという希望から、いつしかこの時間が恒例となった。なので、お休みだけどやはり同じ時間に起きるのである(笑)。暖かい春のせいか回収量が少ない。他に何か原因があるのか?ただし香りは素晴らしい。これぞ春の香り。

 

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冷却タンクの内壁。白い結晶が樟脳です。

 

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ヘラで回収します。

 

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少ない!でもいい香り!


くすかき二日目。樟の落葉時期に追われたい。

くすかき二日目。今日は大雨ではじまり、夕方には日が射し、空模様が激変した一日だった。6:30〜〈日々のくすかき〉は雨のため中止。10:00〜〈くすのこうたき〉(大人9人、子供1人)、16:00〜〈日々のくすかき〉(大人10人、子供4人)は通常通り開催することができた。

 

昨日は柵設置をしたので、今朝6:30が〈日々のくすかき〉としては初日だったのだが、大雨で中止。いきなり雨でできなかったというのは初めてのことかもしれない。

 

しかし今年の春は暖かい。というかむしろちょっと暑いくらいである。

 

神職の方「五十嵐くん、今年は樟の落葉、だいぶ早いよ」

神苑管理部の方「来るの遅かったやん、早よせな、終わるよ(笑)」

五十嵐「はい。ほんと今年は早いですね。焦っております(笑)」

 

今年の樟の落葉は例年に比べると1〜2週間早い印象。お宮の皆さんからの愛のあるエールに嬉しさを感じつつも、会期中に落葉が終わってしまうのではないかと焦りを覚える。

 

来年以降、1週間ほど会期を前倒しにすることも検討した方が良いかもしれない。温暖化の影響だろうか?年々落葉時期が早くなってきているように感じている。

 

そこで、会期の前倒しについて、神苑管理部(庭師)の方に相談すると意外な反応が帰ってきた「いや、それを決めるのはまだ時期尚早だと思うよ。遅くなる年もあるし、何年か様子を見てから決めた方がいい」

 

ずっと、この土地の植物と向き合ってきた方のブレないこの言葉になんだか安心した。

 

くすかきの会期は樟の落葉時期に合わせている。人の都合ではなく樟の都合。人の時間ではなく、樟の時間。

樟に寄り添うことで、この星で起きている環境の変化を感じたり、樹齢1000年という時間軸で物事を考えられたりする。人の都合だけで作られた世界はどこか余裕がなく窮屈に感じる。

 

窮屈といえば、、、今生きていて、自分はいつも何かに追われているように感じる。いったい、いつから何に追われているのだろう?メールか?LINEか?ネットワーク社会は早くて便利すぎて、逆に自分の時間が奪われている。しかし、果たして自分を追っているのはそれだけか?43才になり人生の折り返しを迎え、残りの生きる時間に追われているのか?いつからこんなにいろんなものに追われるようになったのだろう?

 

とはいえ、よくよく考えれば、自分で自分を窮屈にしている。というか人が人を窮屈にしているのだ。だが便利さを捨てることはできない。それならば自分で自分の時間をコントロールするしかない。もっといえば時間の感じ方をコントロールするしかない。人としてしか生きられないが、樟のような時間感覚の幅を持っていたい。

 

どうせ何かに追われるなら樟の落葉時期に追われたい。そう考えると今年は贅沢なのかもしれない。

 

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くすのこうたき(樟脳づくり)にて、樟の葉っぱを細かく砕きます。

 

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砕いた葉っぱを蒸留装置に入れ水蒸気で蒸しあげます。

 

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蒸されて葉っぱから溶け出した樟脳成分が冷やされ、白く結晶化したものが樟脳です。

 

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釜を粘土で補修中。粘土も山から掘り出します。

 

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燃料にする薪割り。もはや達人。

 

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安定の仕事ぶり。ご自宅も薪ストーブで慣れているとのこと。

 

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ねんどぼーいず。

 

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まきわりがーるず。

 

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夕方のくすかき。見よ!この量(笑)

 

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気持ちよく晴れました。

 

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最初の最初の掻き山。ここから日を追うごとに、どんどん大きくなります。

 

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たくさんの掻き山。

 

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葉っぱとそれ以外(枝など)を分別します。

 

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分別できた葉っぱを掻き山に足していきます。

 

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最後は縞模様を入れて、次の葉っぱの落ちて来る場所を整えます。

 

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丁寧な所作。ゆっくりとした時間が流れます。


くすかき初日。〈くすかき〉とは葉っぱの落ちてくる場所を整える(つくる)こと。

くすかき初日。8:00〜職人の原口さんから松葉ほうき受け取り。13:30〜御本殿にて〈くすかき成功祈願祭〉(大人11人/子供0人)。14:00〜〈柵設置〉と〈くすのこうたき〉の準備を行い、無事に初日を終えた。

 

例年だと初日は職人の原口さんに来てもらって、松葉ほうきづくりからはじまるのだが、原口さんが83才ということもあり、新型コロナウイルスの感染を避けるため、今年は希望者が松葉ほうきを購入する形をとることにした。満開の桜の下で松葉ほうきを作るという、あの贅沢な時間を楽しめないのが残念で仕方ない。来年こそ開催したいところだが、原口さんも83才になられるので、今後、松葉ほうきづくりをどうしていくか考えていく必要がある。

 

8時、朝の清々しい光の中、満開の桜の下で15本の松葉ほうきを受け取った。原口さんに聞くと、後継者はいないという。研修に行く?なんて声も出るが、見た目の美しさはもちろん、使ったときの程よいしなりなど、このクオリティで作れるとは思えない。今できることとして今年は制作の様子を映像記録としてカメラマンの仲信君に残してもらうお願いをした。松葉ほうきを作れる人がいなくなったら、天満宮はもちろん全国の寺社や庭園は困るだろう。原口さんの松葉ほうきを買いに来て飛行機で大阪まで運んでいるところもあるという話も聞いた。くすかきにとっては一番大事な道具である。まずは大事に長く使うことを心がけたい。

 

13時半、〈くすかき成功祈願祭〉。御本殿に上がって、天神様にご挨拶。立つこと、座ること、歩くこと、手を合わせること、礼をすること、一つ一つの所作に意識を巡らす。ピシッと背筋が伸びて、気合が入る。祝詞を聴きながら去年のくすかきを振り返っていた。

 

去年は会期中に新型コロナウイルスに対して緊急事態宣言が出たため、最後は1人での〈くすかき〉となった。1人で向き合う天神広場は広くて大変だったが、1人になったことで、あらためて〈くすかき〉にとって一番大切な考え方を確認する貴重な機会となった。〈くすかき〉とは何か?

 

〈くすかき〉とは葉っぱの落ちてくる場所を整える(つくる)こと。

 

今年もこれから3週間、葉っぱの落ちてくる場所を整えます。そして、最終日の4月17日には、かつて天神広場に存在した大きな樟の木の葉っぱが落ちてくる場所を、そこにはない樟の木を想像しながらつくりあげます。

 

樟の葉っぱに触れ、新芽を見上げ、匂いを感じ、五感を開いて、見えないけれど大切なことと向き合う春がはじまります。

 

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会期前3/21の準備の様子。〈くすのこうたき(樟脳づくり)〉のための水蒸気蒸留装置設置。

 

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釜に火入れ

 

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燃料となる薪は〈くすのこうたき〉会場の鬼すべ堂の裏山から不要になった丸太を運び出します。

 

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釜づくりを終えて、令和三年(2021年)の水蒸気蒸留装置設置完了。

 

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3/24芳樟袋に入れる樟の葉っぱを集めに天神広場へ。今年の樟の落葉は例年に比べて1〜2週早い。

 

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静岡県の浜松より、プロジェクトメンバーの黒野さんから芳樟袋に取り付ける〈こより(紙の札)〉が届いた。こよりも全て手作りです!同封されていた手紙には、今年もコロナで現地入りを見送るのが残念だけれど、こよりに想いを込めますとのメッセージ。再会したい気持ちが2年分募る。

 

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3/24滞在先、兼制作スペースである山かげ亭(お宮のレジデンス施設)の桜が満開です。

 

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この桜とは12年の付き合いになります。毎春、満開で迎えてくれます。いつしか自分にとっての桜の木は、この木になりました。

 

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3/26山かげ亭での制作風景。芳樟袋のパッケージにハンコ押し。

 

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手ぬぐいに帯を巻いて、参加カードも準備万端。

 

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芳樟袋。中川政七商店さんからの毎年の生地提供。感謝です。樟葉が入って、こよりも付いて出来上がり。案内所と宝物殿で販売しています。くすかきホームページからも購入可能です。収益はプロジェクト運営資金とさせていただきますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

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3/27水蒸気蒸留の薪となる丸太をチェーンソーで切ります。

 

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3/27くすかき初日。〈日々のくすかき〉のメイン会場となる天神広場石灯篭前の葉っぱを集めて、まずは場所を整えます。

 

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柵設置無事に完了。


くすかき十一日目。緊急事態宣言を受け、みんなに大事なことを伝えた朝。

くすかき十一日目。〈くすかき〉の会期は22日間なので、今日がちょうど中日になる。今朝の気温は8度と少し肌寒い。6:30からの〈朝のくすかき〉には大人21名、子供11名、合計32名が集った。

 

毎年だと、ここから会期の後半に入り盛り上がっていくのだが、本日4月7日の新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言を受けて、明日から〈日々のくすかき〉は原則 五十嵐1人で行うということを、はじまりかけた〈くすかき〉の手を止めてもらって、急にみんなを集めて伝えた。最初に伝えられたのは「きっとみんな今朝が最後だと分かってやった方がいい」と、ずっと一緒にやっている仲間からの一言のおかげだった。

 

五十嵐「みなさん、おはようございます!」

 

みんな「おはようございます!」

 

五十嵐「日々のくすかき、今日は4月7日。ほんとたくさんの方が集まってくれて、今年はいい雰囲気で〈くすかき〉ができているのですが、新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が今夜発令され、福岡県もその対象になるとのことです。自分も悩んで、昨夜も何人かの人と相談したのですが、〈くすかき〉を千年続けるために、来年につなぐために、一番いい形は何かなと悩んで、今も悩んではいるのだけれど、、、〈くすかき〉って見えないものを想像するプロジェクトでもあって、ウイルスという見えないものを想像してみて、仮に来てくれた人から誰かにという風に〈くすかき〉の現場から伝染してしまって、おじいちゃん、おばあちゃんにかかってしまったり、体があまり元気のない人にかかってしまったり、、、今は若い人にも重症化するケースもあるそうです。同じように今、世界中でコロナウイルスと向きあっています。そのことを想像すると、今は大丈夫なんだけど、この先1週間とか続けて行く中で、感染が起きる可能性もあるなって、、、まだ元気にできているうちに、今年は、、え〜、、日々のくすかきに関しては、、、今日が最後に、、なると、、思いますので、、、なる可能性が一番あるので、、、」

 

少年「え?ない可能性もある?」

 

五十嵐「ない可能性は、今日中にコロナがなくなっちゃえばいいのだけど、そうじゃなくなりそうなんだよね、、、くすかきの会期中もずっと増えていきそうだから、、なので、今年はですね。、、とはいえ葉っぱが落ちてくるから、私が1人でやると、、、」

 

少年「ぇぇ、やりたい、、、」

 

五十嵐「やりたいんだけどね、、、。ごめんね」「くすかきは、最初は僕が1人で、葉っぱが落ちてきて掻いているのが面白いなぁってはじめて、1人ずつ仲間が増えていって、、一緒にやれる仲間が今年もまた新たに増えて、輪が広がっていっていて、そうやって一人一人が〈くすかき〉をしているのが集まって、今の形がある。もちろん、みんなでやりたいってのはあるんだけど、今年は1人で、、、1人ずつやる。だから、この場所は僕がやるから、それぞれの場所で〈くすかき〉をするとか、またみんなで相談しつつできればと思うんだけど、おそらく今日が、みんなでやる朝のくすかきの最後になります。そういう心づもりで、、、残念だけど、今日、おもいっきり〈くすかき〉して欲しいなっていうので、最初に集まってもらいました。じゃあ、はじめたいと思います!」

 

みんな「、、、よろしくお願いします」

 

少年「山かげ亭は?お手伝いするって言ったのに」

 

五十嵐「山かげ亭も、いがちゃん以外の出入りはいったんなしにしようって、、、。」「今、みんなで防げるようにがんばろうって、、、」「ほんとはやりたいんだけどね、、、」

 

少年「、、、じゃあ、ニュースで行っていいってことになったら、ちゃんとみんなに連絡してね」

 

五十嵐「、、、もちろん」

 

普段どちらかというとおちゃらけていて、ムードメーカー的存在の少年からの素直な言葉は深く胸に刺さった。このやりとりに涙を流す人もいた。「行っていいこと」には、きっとしばらくずっと、ましてや〈くすかき〉の会期中にはならない。

 

今年くすかきは11回目を迎える。11才の彼は生まれた時から〈くすかき〉に参加している。彼にとって〈くすかき〉のある春が日常なのである。11年目の日常が失われていく。きっと今、世界中のあちこちでこうして日常が失われていっているのだろう。

 

戦争を体験したことはないし、戦時中はもっと圧力が強かったと思うが、きっとこんな風に見えない外的圧力によって日常が奪われていったのだろう。

 

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みんなでやる今年最後のくすかき。

 

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地元の同級生どうし。

 

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遠くから朝一番の電車で来てくれてます。「どうしても参加させてあげたくって」と言って姉を連れて来た妹。姉妹で協力して〈くすかき〉。

 

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親子の組み合わせは違うけど一緒に〈くすかき〉。

 

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天神広場全体を整えます。

 

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みんなで作る掻き山はこれが今年は最後。

 

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こんな日にかぎって、滞在先の桜はちょうど満開を迎えました。

 

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華やかに咲けば咲くほどに、どこかさみしい春。


くすかき十日目。寒い朝。

くすかき十日目。今朝の気温は6度とかなり寒い。この寒さもまた春らしくて好きである。今日はくすかきは定休の月曜日だったので、昨日の〈くすのこうたき〉で水蒸気蒸留した樟脳の回収のみ朝6時半から行った。寒い朝なので収穫量に期待したが昨日と変わらず少ない、、、。よくみると管が樟脳で詰まっている!これはパイプ掃除をしなくては!

 

夜に、インターネットを使ったZoomでの会議(テレビ電話のような会議)を行なった。いよいよ明日、4月7日に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言がでることが決まったからだ。7つの都道府県の1つに、ここ太宰府のある福岡県も入っている。

 

Zoomでの会議では、太宰府の様々な仕事や立場から、より現場に近い視点からの考えが聞けたり、東京や静岡といった離れたところで起きていることや、ネットを介した〈くすかき〉の見え方の現状や心配な点など、いろいろな人材の様々な土地からの意見が聞けて非常に参考になった。そして、あらためてこのプロジェクトに関わる人たちの〈くすかき〉への想いを確認することができた場となった。

 

そして、今年は今後1人でくすかきをする判断をした。お宮や関係者に迷惑をかけたくないというのももちろんだが、くすかきに関わる人から感染者が出たり、それをきっかけに、それぞれの爺ちゃんや婆ちゃん、肺に失陥がある人なんかに広がって、悲しい思いをして欲しくないというのが一番の理由だ。

 

3月はじめ、太宰府入りする前に「最悪、1人でやる」という宣言をしていたものの、当時はどこか現実味がなく、冗談のように聞こえていた言葉だったが、まさか本当となるとは、、、。

 

すべてはこの先に、千年先につなげるため。

 

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水が本当に冷たい。

 

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ドラム缶の内壁についているのが樟脳。収穫量は少ない。

 

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フワフワしている。多いときはもっと固まっている。

 

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管が樟脳で詰まっている!

 

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冷却タンクに行けなかった樟脳成分が、蒸留装置の中で結晶化してました。

 

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蒸留水を貯めるタライからも樟脳を回収。

 

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量が少ない時は希少性が増し、回収中に落とさないようにと、緊張感があります。

 

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今日採れた樟脳。やっぱりちょっと少なめです。


くすかき九日目。樟の木の中で起きていること。

くすかき九日目。今朝の気温は9度。暖かい朝が続いている。6時半からの〈朝のくすかき〉には大人21名、子供10名、合計31名。その後、10時からの〈くすのこうたき〉と16時からの〈夕方のくすかき〉には大人12名、子供5名の参加があった。

 

会期中、毎週末の土日で〈くすのこうたき〉と題し、樟の葉っぱを水蒸気蒸留し樟脳づくりを行っている。これまでの経験で寒い日の方が、樟脳がたくさん採れるようなのだが、昨日も今日も朝は10度前後で日中は20度以上と、かなり暖かいため、あまり収穫量は期待できない。

 

天然樟脳づくりを日本で唯一されている内野樟脳につくり方を習いに行った時に、ご主人から聞いた話だが、何度同じやり方でやってもフタを開けてみるまでは、どれくらい採れているか分からないというのだ。

 

これは、自然条件によって樟脳の収穫量は左右されるということである。もっといえば、天候や気温や気圧の変化に、樟は反応しているということである。

 

そう考えると〈くすのこうたき〉で樟脳を取り出し、それを観察するということは、樟の木の中で起きている反応を見ているとも言える。

 

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今朝は天神広場全体を〈くすかき〉しました。

 

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今朝の光りも美しい。

 

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樟脳を抽出するための葉っぱを鬼すべ堂へ運びます。

 

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昨日の〈くすのこうたき〉で採れた樟脳。

 

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丁寧に樟脳回収。

 

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収穫量は少ない。先週に比べると半分くらいだろうか。

 

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風が吹いた。樟を見上げ、落葉の瞬間を待つ少年。

 

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明日はたくさん樟脳採れますようにと、薪を焚べる。

 

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夕方のくすかきを終えた。西日を浴びて葉っぱが縮んでいる。今日の空は5月の空のように青かった。