ブラジル16日目。ナタルツアー2日目。午前中はPorto de Galinhas(ポルト デ ガリーニャス)の海で過ごす。午後から移動し、Recife(レシフェ)からNatal(ナタル)まで、約400㎞の中間地点であるJoao Pessoa(ジョアン ペソア)まで移動。夜に到着。海沿いの良い感じのホテルに一泊。
午前中、ポルト デ ガリーニャスの海で面白い船に乗った。昨日到着し、夕方に海を見に行った時から気になっていたのだが、たくさんの平たい小舟が海に浮いており、翌朝行くとそれらの小舟はそれぞれにカラフルな帆を立てて小さなヨットのような格好をしていたのだ。
その船は「Jangada de Vela(ジャンガダ デ ベッラ)」と呼ばれていた。「Jangada」は筏(いかだ)、「Vela」は「帆」という意味がある。要するに、「帆の付いた筏」ということである。なので、帆の付いていないものはJangada と呼ばれている。そうえばSUAPEでも一緒に漁に出た時にアポロが浜辺の平たい船を指差してJangadaと言っていた。ここからSUAPEも遠くない。浜辺が広がり、細長い砂岩状の自然の防波堤に守られた穏やかな海ならではの海文化のように思う。
今回は波の穏やかな防波堤内の航行だったのだが、ジャンガダ デ ベッラの船頭に「この船で防波堤の先の海まで行くのか?」と聞くと、「あっちは波が高いから、もっと大きな船で行く。だけど船のつくりは一緒だ。中が発泡スチロールだから沈まない。」とのこと。幅1m×長さ5mほどの船体は発砲スチロールで、そのまわりを木で包んだつくりをしており、なかにはそれにFRP(強化プラスチック)で補強しているものもある。見た感じは木で出来ているものの方が雰囲気が良い。
帆とマスト部分もシンプルな構造で、素材は木で、形やしなりを上手に使っていた。マストと帆は太い釣り糸を使って縫い付けるように固定してあり、他にも同じような太い釣り糸で接ぎ木の部分をグルグル巻きにしてあったり、釣り糸が上手に使われていた。また、帆に描かれた絵はスポンサーなのだそうだ。シンプルに真っ白のものもあるが、よく見ると同じデザインの帆があり、黄色に赤字で「PITU」と書かれたやつは、ブラジルで有名なカシャーサのメーカー名である。カラフルに皆、それぞれに好き勝手な帆を上げているかと思ったがそうではなかった。
そして、もちろん動力は帆なので風。帆を立てない時や、少し動く時などは、大きなオールを船尾で、日本の櫓漕ぎ(時代劇とかに出てくるやつ)とほぼ同じやり方で左右に動かして推進力とする。風で動かす時はこのオールを海に差して船尾の溝に当て手でしっかりと握って固定し、いわゆる舵の役割を果たす。最もシンプルな、船体と帆と舵の関係である。一応マストの下には差し込み式のキールの機能も付いていた。
帆を張って航行中に、そのオールを握って舵を握らせてもらった。理屈はなんとなく分かるのだが、手で握っていないといけないのでこれがなかなか難しい。オールを船頭に返す。オールを握った船頭の腕は太く、船に立つ両足はしっかりと船体を捉え、その姿はまるで船と一体化しているかのようであった。リップサービスなのだろう「なかなか悪くない」と笑顔で言ってくれたが、この仕事をするには修行が必要だ。船がいくらか聞くと、15万円くらいだそうだ。冗談で「売ってくれ」と言うと、「新しいのを買ったら売ってやる。仕事がなくなっちゃうからな(笑)」とのことだった。
Jangada de Vela(ジャンガダ デ ベッラ)
船の登録番号もちゃんとあります。
マストとブームのジョイント部分。手作り感が半端ない。
マストを支える部分。小さな黒い丸は、マストの位置の微調整に使うのだろう。
帆とマストはロープと釣り糸を上手に使ってつないでいました。
この自然に出来た防波堤はずっとずっと先まで続いていた。
オールを舵のように使って、帆で動く船の行き先を調整していました。お見事!
風をはらんだVela
ビーチではサッカー。波打ち際にはJangada de Vela(ジャンガダ デ ベッラ)。