樟の木の勉強机

太宰府滞在30日目。くすかき16日目。雨のち夕方から晴。くすのかきあげ前の最後の日曜日。今年最後のくすのこうたき。

 

朝から生憎の雨模様。朝のくすかきはお休み。それでも最後のくすのこうたきということで、午後から多くの人が鬼すべ堂へ集ってくれた。毎日、顔を会わせる仲間の他にも、初めてくすかきに来た人もいた(きっかけは、去年7月に天神で行った「くすかきのはなし」という、はたしてくすかきは千年続くのか?という切り口で、町づくりやアートプロジェクトやお祭りといったものと地域との関係性について考えてみようというものであった)。

 

そんな様々なくすかきの仲間の中に、この春めでたく新一年生になった女の子がいる。先週は、身体にまだ不釣り合いな大きさの桃色のピカピカランドセルを背負っている姿を見せに来てくれた。

 

その女の子のご両親から聞いた話なのだが、新一年生になるということで、先日、家族で家具屋さんに勉強机を買いに行ったそうだ。その時、いろんな種類の勉強机がある中で、「あ!これ、樟の木の匂いがするー!」と言って、なんで樟の木の匂いが分かるの?と、家具屋さんを驚かせたそうだ。彼女は今年でくすかき3年目。新一年生にして自分の中にもう樟の木の香りの記憶を持っている。そしてその香りと共に、松葉ほうきの感触や、葉っぱの触り心地、枝の質感、一緒に掻いた仲間のことなどなど、様々なくすかきの記憶を持ったまま大きくなるであろう。

 

くすかきが本当の意味で面白くなっていくのは、彼女の世代が大人になって、子どもを連れてくる頃であろう。彼女達の世代は、かつて天神広場に存在した千年樟の存在を直接は知らない。最後にその樟の木と遊んだ記憶があるのは今の30〜40代くらいである。なので、彼女達は、くすかきでその樟の木のことを知る世代となる。また、くすかきを知って育つ最初の世代とも言える。

 

その世代は「くすかきする」という言葉を使う。いつか大きくなったら、その世代が、どんな風にくすかきを感じているのか話をしてみたい。それもまた楽しみの1つである。

 

勉強机は樟の木のものを選んだそうだ。学校から帰ってきて宿題をする時とか、少しくたびれて机に伏せる時とか、くすかきのことを時折思い出してくれるといいな。

 

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昨日炊いた分の樟脳収穫は豊作!結晶の大きさは過去最高かもしれない。

 

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樟脳の結晶の粒がかなり大きく育っています。火力と冷却のバランスが良かったのだろうか?単純に葉っぱの量が多かったのだろうか?

 

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芋を焼いて食べました。何故か、なんだか懐かしい風景に見えました。

 

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最後の火の番。余った小枝なども全部燃やしてすっきり。