「Shared Lines: Kaikōura Arts Festival」に参加するため、ニュージーランドのクライストチャーチに来ている。Shared Linesの概要は以下の通り。
『2011年、ニュージーランド・クライストチャーチと宮城県は自然災害により大きな被害に遭いました。その背景や経験を共有するアーティストたちは、両国が属す環太平洋火山帯と街中に残る断層跡の風景から名付けられた協働企画「Shared Lines(共有する断層)」を始動。「私たちが生み出すべきものは何か」と、連動する環境が継続的に刺激し合い、震災から8年たった今も私たちの意識をつないでいます。
同時代に同様の震災体験をした両市のアーティストらの表現を共有し発信することで、震災で失われた被災地の表現の場や文化活動をアートコミュニティーに再構築します。また、両市のアーティストが、自らの芸術環境のため、海外ネットワークを強化し、持続可能な芸術文化交流を築き上げていくことを目的としています。』
これまでクライストチャーチ、仙台、ウェリントンで開催されており、今回はニュージーランドのカイコウラが舞台となる。会期は2019年2月16日〜23日。この一週間に国際的アーティスト・イン・レジデンス、ワークショップ、参加型劇場、展示会、アーティストトーク、シンポジウム、ストリートフェスティバルなど様々なプログラムが用意されている。
今回は〈そらあみ〉を展開してほしいとオファーをいただいた。きっかけは2011年の東日本大震災後に東北で展開した〈そらあみ〉にある。岩手県釜石市の仮設住宅では、津波で流された漁網糸を使って編み各地からバラバラで入居した仮設住宅に新たな人のつながりを促した。宮城県塩釜市を中心に松島市や多賀城市と共に囲む松島湾では、3年かけて各市で展開し、震災後に地域の人たちが重要性を再確認した湾のつながりをテーマに、行政区を超えた地域の魅力と人の出会いを編み広げていった。
そらあみとは、参加者と共に漁網を編み、空に掲げることで、人と人、海や島の記憶をつなぎ、網の目を通じて土地の風景をとらえ直すアートプロジェクト。空に立ち上げた〈そらあみ〉は、見慣れた風景の中に潜む記憶を浮き上がらせ、その土地に息づく見えない姿を気づかせてくれる。また、漁網の編み方は世界共通のため国内外各地に展開し、海のつながりを編み広げていっている。これまで国内外16地域で展開してきた。
この〈そらあみ〉というプロジェクトもまた、実はShared Linesと同様に2011年の震災をきっかけにはじまったものである。まさかその時にニュージーランドまでつながりこうして実際に来るとは思ってもいなかった。
〈そらあみ〉が、糸が、人とのご縁が私を世界へと連れていってくれる。そこにはその土地にしかない自然の魅力と人の暮らし、独自の文化がある。ニュージーランドでどんな違いと共通点に出会うのか、旅する糸の話ニュージーランド編のはじまりです。
明日、クライストチャーチからShared Lines開催地のカイコウラに移動します。
2011年の地震の影響がまだ残っている現在のアートセンターは、元カンタベリー大学。
日本に比べると復興はゆっくりとしている。
クライストチャーチの中心にあり町の象徴でもあるカテドラル。ぽっかりと空いた穴をしばらく黙って眺めてしまう。
あれから8年経つのに復興が遅くないか?と聞いてみたら、教会と政府がもめているそうだ。しかし復興の早さも良し悪しで、日本のように早い復興は痕跡が見えなくなることで救われつつも、あの時感じた大切なことを忘れがちである。そう考えるとカテドラルはこの状態でも町の象徴としての役割は果たしている。
シップコンテナを建物の補強に使っているのが印象に残る。
震災後「町うさぎ」が増え、こういった町中の庭で食事をしに来るのだそうだ。ペットが野生化したらしい。
週末にアートセンターで開かれるマーケット。手作りの石鹸や手編みセーターなど良い雰囲気のクラフト店舗が多い。
宿の近くにある植物園。とても広くて朝の散歩に最高。
アートセンター外観。クライストチャーチの町はずっと平らで歩きやすい。
クライストチャーチの町中から30ほど離れたリトルトンという町の海へ連れていってもらった。南半球とはいえ1月の海水浴は不思議な感じ。芝生と海が近い。海水は冷たく、風が吹くと寒いが日差しは強い。みんな家族や友人とゆっくり過ごしていた。
ニュージーランドに期待していた羊のいる風景。以外とまだ出会えていない。