朝7時、電話が鳴った。昨日、港で会ったキタガワさんからだった「台風で雨だし、動けないから、網編むぞ。そっちに場所あるか?」「え?え?あ、はい。場所あります」。何の約束もしていなかったので、実はこの電話で起きたのだが、8時には網を編んでいた。
さらに、キタガワさんは地元の網漁師の78歳のベテランである「クニさん」を連れてきてくれた。クニさんは耳が遠いし歯がないのだが、さすが網漁師、網はとんでもなく編むのが早い。キタガワさんが大声で説明をすると、どんどん網ができていく。そして、キタガワさんは、やはり、ただの電気屋の社長ではなく、漁師をしていた頃もあったそうで、網も編めるのだ。
公表している“そらあみ体験講座”は10月6日からスタート予定なので、それまでにある程度編んで、形が見えてきてから、いろんな人に参加してもらう段取りにすると、編みながら決まった。
こうして、3人で夕方4時まで網を編んだのだった。
夕方、役所に行き、副村長さんや教育長さんにご挨拶。役所への挨拶と網制作、順番はあべこべだが、なんだかすごい展開である。三宅島に着いたのは昨日の朝だったのだが、昨日のうちに場所が決まって、今日、地元の漁師さんと台風の中、三宅島大学本校舎にて網を編みはじめている。今まで、さまざまな土地に入って行きプロジェクトを行ってきたが、こういった展開は、はじめてである。いったいどういう状況なのだろうか。一部ではあるが、島の方が、いきなりアクセル全開である。普通は多少土地に入ってから、関係性も含めて準備段階がある。なんだか、ずっと前からこの島にいたような錯覚に陥る。とにかくおもしろいことが起きている。
ひとつ言えることは“そらあみ”は、三宅島で、もうはじまっているということである。
朝の三宅島大学本校舎(御蔵島会館)
あばり(編み針)と、こまと、小さな漁網
キタガワさんとクニさんと3人で編む
カッチ(小豆色)、緑、オレンジ、黒、白。三宅島では、この5色で編んでいきます
三宅島大学マネージャーの猪股さんはクニさんの助手に