瀬戸内仕様の胃袋

沙弥島滞在3日目。今日は、昨日の夕方に現地入りしたプロジェクトスタッフの塩野谷くんと飯高さんと3人で、そらあみで使用する編み紐の染色作業を行った。前回の「そらあみ-浅草神社-」でも2人は一緒だったので段取りはバッチリ。チームワーク良く作業は進んだ。

 

鍋に湯を沸かし、染料を入れ、その中で煮て白い編み紐に色を付ける。なので、水とコンロのある海の家の厨房で作業を行った。厨房での作業風景は、湯気があがり、白くて長いものを扱い、それはまるでうどん屋さんみたいであった。浅草で染めたときはまったくそんなことを考えることはなかった。さすが“うどん県”こと香川県である。実際、こっちに着いてから一日一度は必ずうどんを食べている自分がいる。もちろん美味しいからである。滞在期間中にうどんの善し悪しが分かる男になるだろう。笑。

 

とにかく、うどん屋は多い。美味しいうどん屋さんをまとめたチラシを役所の方からいただいたので、それを宛に、うどん屋を探して移動していると、ため池が多いことに気づく。雨が少ない証拠である。香川県は雨が少ないから米の栽培に適さず、小麦が昔から盛んで、塩田での塩づくりも古代から行われていた、そして井吹島はいりこ(小さないわし)漁が盛んである。塩と小麦でうどんが打たれ、いりこを使った出汁ができる。うどん県こと香川県はそうなるべくしてなったのである。

 

話を編み紐の染色作業にもどそう。うどんが土地の素材でできているように、今日染めた編み紐も瀬戸内の水に浸り、外に干され、瀬戸内の乾いた風にさらされ、瀬戸内仕様になっているように思えた。自分たちの身体や精神も、ここで暮らし、ここの飯を食べ、ここの風呂に入り、ここの酒を飲むことで徐々に土地に馴染んでいくのだろう。身体と精神を瀬戸内仕様に変貌させていくのである。

 

そういえば、こっちに来て、うどんを食べるようになって胃袋が大きくなったのを実感している。まず最初に起きた変貌は、瀬戸内仕様の胃袋への変貌である。

編み紐をコーティングしている糊を落とします。まるで、うどん屋の厨房です。

染料を溶いた熱湯の中に入れ、染色します。

絞って干します。遠くに瀬戸大橋が見えます。

瀬戸内海の乾いた風にさらします。土地の水を吸い、土地の風を受け、編み紐も瀬戸内仕様に変貌していく