太宰府19日目。くすかき11日目。雨が降ったり、晴れたり、あられが降ったり、空が落ち着かない1日だった。
最近、朝のくすかきをしながら2人のことを考えていた。森禰宜さんと馬場禰宜さんだ。自分がはじめて太宰府天満宮に来た2006年も、くすかきをはじめた2010年も、大きな松葉ほうきを2本使って、2人が阿吽の呼吸で天神広場を毎朝整えている風景があった。ずっとずっと長い時間、天神広場は彼らが美しく場をつくってきた。
くすかきでは、次なる落葉が落ちてくる場をつくるために掻くという発想も、どこかあのお2人の姿から当時の自分は影響を受けたように思う。今は馬場禰宜さんはお亡くなりになられ、森禰宜さんは高齢ということもあり、世代交代となった。そんなタイミングでくすかきが天神広場ではじまったということもあり、お2人からはいつも厳しくも優しく、くすかきを応援してきてもらった。なので、天神広場を毎朝くすかきする時に、どこかで2人の存在を感じていた。
そんなことを考えていた今朝、天神広場で天満宮幼稚園の先生方の記念撮影があった。そこには宮司さんをはじめたくさんの神職の方もおり、その中に、森禰宜さんの姿もあった。今朝もくすかきは朝6時半から行っていたので天神広場は美しく場が作られていた。森禰宜さんはそのことに当然気が付かれたのだろう。記念撮影が終わったら自分達が作業している方へ来てくれた。
森禰宜さん「その大きな松葉ほうきは使ってるの?」
五十嵐「いえ、まだ使いこなせるかどうか、、、」
森禰宜さん「2本使って、こうしてやるんだよ。筋肉がけっこう必要だけどね。おれがやってるの見てただろ?」
五十嵐「はい。見てました」
これは、“大きな松葉ほうきを使ってやってみろ”という意味だと理解した。嬉しかった。免許皆伝の達人から、奥義の特訓許可が下りたような気分だった。くすかきの期間中のみではあるが、この6年間、毎朝ちゃんとやっているのを、どこかで見ていてくれたのだ。
そして、たまたま今日が記念撮影で朝に天神広場に来た。ほんと、たまたまだったと思う。でも毎日ちゃんとやっていて良かったと心から思った。
森禰宜さんや馬場禰宜さんのように一年間通してというわけにはいかないが、少なくとも樟の葉が落ちてくる頃のくすかき期間中は、この天神広場の場を毎朝つくるという意志が、伝わったように思えた。
6年かかった。日々あたりまえのように場をつくる。その覚悟は積み重ねることでしか信頼を得ることはできない。天神広場の空間を引継いだとは、まだまだとても言えないが、そのスタートラインには立てたような気がした。
朝6時過ぎ。待っている人がいます。
樟の葉を掻くことの先に、場を整えるということがある。
天神広場と入園式。
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突然のあられと雨の後、いきなり晴。水たまりに空が写っています。