染め小屋をつくり、糸を精練する

La Mano 5日目。朝9時La Mano到着。2ヶ月ぶりのLa Mano。前回は4日間の交流。みんなは自分のことを覚えているだろうか?少しドキドキしながら、藍染めにLa Manoと白抜きされた暖簾(のれん)のかかった玄関を通った。心の中では「ただいま」だったが、「おはようございます。今日からまたよろしくお願いします」と、スタッフの皆さんと挨拶。彼らは覚えてくれていた。やはり気になるのはメンバーさんたちである。

 

入口近くにメンバーさん一人一人の今年の目標を誓った書き初めが展示されていた。ひとつずつ眺めながら、その個性的な筆跡とユニークな内容から一人一人を思い出していると、次々にメンバーさんがやってきた。「おはようございます!」の自分の挨拶に対して、「おはようございます」と返してくれるメンバーさんもいたし、無言で見つめる人もいたし、「あ!新しい人が来た〜!」という人もいた。それぞれに症状や特徴があるので、覚えている人も忘れている人もいるというのが現実だった。

 

前回一緒に染めた研登(けんと)くんがやってきた。

施設長の高野さん「研登くん。覚えてる?」

研登くん「…やすあきさん」。

そう言って、目を合わさずにどこかへ行ってしまった。

 

素直に嬉しかった。自分はまた「やすあきさん」と呼ばれる世界で一つだけの場所に帰ってきた。

 

着替えをして掃除の時間が自然とはじまる。自分は箒(ほうき)を持って外で落ち葉掃き。日陰に残雪が残り、その上に乗った真っ黄色のイチョウの落葉とのコントラストが美しい。9:40くらいになるとラジオ体操の曲がかかり、これもまた掃除を終えた一人一人が自然に集い相変わらず、体操する人、動かない人、歩く人と個性的なラジオ体操が行われ、終了後そのまま全員が集い、朝の会がはじまる。朝の会では、染め、織り、絞り、アトリエなど今日のメンバーさんスタッフ全員のそれぞれの持ち場が伝えられる。

 

この時、名前を呼ばれたら「はい」と答え手を上げるのだが、もちろんこれもいろんな反応がある。大きな声、小さな声、とても高い声、とても低い声、優しい声、元気な声、無言。ずっと体を揺らしている人もいるし、ずっと小さな声で話をしている人もいるし、小さな唸り声も聞こえるし、遠くの空を眺めながらニコニコしている人もいる。この場所にいて、心に、じわーっとあたたかいものが広がった気がした。そうそう、この感じがLa Manoだ。それぞれがそれぞれに、凸は凸のまま、凹は凹のままでで個性的に存在しながらも、どこか緩やかなまとまりがある。あの自分の好きな人たちのいる場所だ。2ヶ月ぶりに帰ってきて、ここは深く息が吸える場所だと気付いた。自分にとってこの場所は不思議な安心感があるのだ。

 

今回La Mano入りは、1月25日〜29日まで5日間の交流と制作が目的。制作の内容としては3月4・5・6日に東京都美術館で開催されるTURNフェスに出品するための糸をメンバーさんと一緒に藍染めする。

 

そこで今日は、糸を藍染めするにあたって、専用の小屋づくりと、糸を染めやすくするための下準備である精練を行った。精練とは苛性ソーダを溶かしたアルカリ性の水溶液の中で糸を熱して、糸に付着した樹脂を浮かせ、一緒に溶かしこんであるマルセル石鹸という石鹸成分で樹脂を固めて取り除く作業をいう。

 

糸染め小屋は、織り作業所「セグンダ」の目の前に建たった。糸染め小屋から織り作業をしているみんなが見える。いい場所だ。精練もでき、準備万端。いよいよ明日からメンバーさんとの糸の藍染めがはじまります。

 

 

IMG_0442_s

書き初め⑴

 

IMG_0444_s

書き初め⑵

 

IMG_0445_s

書き初め⑶

 

IMG_0446_s

書き初め⑷

 

IMG_0456_s

残雪とLa Mano

 

IMG_0458_s

雪の白とイチョウの黄色のコントラスト

 

IMG_0462_s

ラジオ体操。やる人、やらない人、いろいろ。

 

IMG_0469_s

お弁当に「やすあきさん」の文字が!感動!

 

IMG_0473_s

糸を奥の鍋を使って精練します。

 

IMG_0480_s

浮いてきた樹脂を石鹸で固めます。透明だったお湯が白濁します。

 

IMG_0482_s

樹脂が抜けたら、洗いにかけて、干します。

 

IMG_0484_s

糸染め小屋完成!

 

IMG_0488_s

最後は明日染める色調整のため藍甕のPHを計測中。