沙弥島滞在19日目。今日は櫃石島での〈そらあみツアー〉が開催された。島外からは20名。櫃石島の方は11名。合計31名が集った。
櫃石島は与島五島の一番北に位置する岡山県にほど近い島。言葉や生活圏はどちらかというと岡山寄り。そして、他の島に比べ若い漁師さんの多い活気がある島である。自分も3年前は〈漁師の洗礼〉と題して日記にも書かせてもらったが、いい意味でいじめてもらえた(笑)。
最初は、海という厳しい世界で仕事をしているということもあり、言葉や雰囲気が強面なので、怒っているようだし、嫌われているようだし、不安な気持ちになるのだが、「もう2度と編みにはこんわ」と言って別れた次の回にも、ちゃんと来てくれて「どうせ、うちらが来るなって言うたって、あんたは来るんやろ」といった雰囲気で一緒に編んでくれる。お付き合いを重ねていくと実はその奥にはとてもあたたかい心があることに気づく。そう考えると、他の島に比べて性格はどちらかというとシャイでもあるような気もする。
今回のツアーも、その入り口の部分で、ツアー参加者が驚いて引いてしまわないか少し気がかりではあった。だがフタを開けてみたら、予想に反して、決してそんなことにはならなかった。結論から言うと、櫃石島の人たちは本当にやさしく面倒見のよい人たちということが伝わる〈そらあみツアー〉になった。なんか、良い意味で人間らしい人たちなのだ。
まず、ツアーに来た人たちへの編み方の教え方が、とっても丁寧で、且つ、やさしい。それは意外だった。もっとぶっきらぼうにいつもの調子でそれぞれ冗談を交わしながら編んでいくものかと思っていたけれど、それぞれが一対一で島の話をしたり、漁の話しをしたり、会話も盛り上がり笑顔も溢れとても良い雰囲気で時間が流れた。その様子に驚きつつも嬉しくなった。そして、いつも頻繁に飛び交う冗談も少なく、一時静かにみんなで編む時間が流れた。
五十嵐「あれ?櫃石での〈そらあみ〉がこんなに静かなことってありましたっけ(笑)」(←少しふっかける)
みんな「(笑)」
漁師「(そう出るか。といった笑顔で)あんたの代わりに教えてやっとるんやろ。ところでずっと聞きたいことあんねやけど、あんたこうして人に網を編ませて、だいぶ稼いどるんやろ。年収なんぼなん?」
五十嵐「…(絶句)」
みんな「(笑)」
こうした会話ができるようになったのも、3年前に比べて、関係性の成長があったからなのだと思う。網を編んで櫃石島に出会い、一緒に編んで島の人を少しずつ知り、櫃石島を好きになったように、きっと今日の〈そらあみツアー〉参加者の人たちも、櫃石島の人を介して、この島のことが好きになったことだと思う。
ツアーを企画している自分が言うのもおかしな話だが、なんだか逆に今は、この繊細で純粋な美しい心の島を、多くの人が訪れすぎることで、その良さがすり減ってしまわないかと心配になってしまう自分がいる。
そう考えると今後も櫃石島の漁師さんには、これまで通り、強面で、とっつきにくく、シャイでいてもらいたいと思う。
漁についての話で盛り上がる。
見かねて、巻いてあげています(笑)
やさしく丁寧に教えてくれています。
マンツーマン指導。
できるまで教えます。
和気藹々。
指導者が良いと編み進むのも早いです。。
会話も盛り上がって爆笑です。
記念写真を撮影!
島の方からツアー参加者へ「みんな優秀で覚えるのが早かった!」「あの飲み込みの良い子には5分で越されたわ(笑)」
ツアー参加者から島の方へ「やさしくて分かりやすかったです!そして楽しかった!ありがとうございました!」