沙弥島滞在25日目。沙弥島の〈そらあみ〉は完成間近。最後の部分は、また別の日に島の人が寄って仕上げてくれるということになった。
沙弥島は、そらあみを設置する島。網を編んでいると自然と島の方々と展示設営や会期中の作品運営の話になる。
自治会長「五十嵐さん。今回は海の上に設置するやろ。せやから潮が引いとる時はええけど、満潮時には網が下ろせんぞ」
五十嵐「そうなんですよ。なので、潮の時間を見て、風が吹く時には、あらかじめ潮が引いた時に先に下ろさんといかんのです」
自治会長「それでも、春はこのあたりは西風が急に強く吹く時があるからな。気をつけないかんぞ」
五十嵐「はい。いちおう、一級建築士の方に強度計算をしてもらって、台風などの風速30m以上の時は下げないといけませんが、それ以外は大丈夫な構造になっております」
とはいえ、風は突然起きる。
強風時、そらあみは下げる。自分は会期中ずっと島にいることはできないので沙弥島の方々にその管理をお願いすることになる。故に、その最終判断をし、実際に網を下げるのは島の方達となる。一緒に作ってきたという実感と、その間に培ってきた信頼関係なくしては、この作品は成立しない。
約1ヶ月間滞在し、島の方々と網を編む時間を重ねて、浜からそらあみが島の方々との関係性をもって立ち上がっているように見えたら作品は完成を迎える。
約1ヶ月間、積み重ねてきた行為と時間が可視化される網の目の数は、信頼関係そのものとも言える。
完成まであと少し。