沙弥島滞在3日目。今日は、〈そらあみ〉で編む糸の染色作業を行った。前回と同様に滞在先である坂出市海の家での染色。沙弥島の観光スポットであるナカンダ浜を目前に建つこの施設は、夏場は小学生向けの子供キャンプの会場に利用されたり、炊事、宿泊、入浴などレジデンス機能がそろっている。しかも、管理人さんも交代で常駐している。当然、管理人さんたちとも3年ぶりの再会となった。今日の管理人は山本さん。
五十嵐「ご無沙汰してます。五十嵐です。また、お世話になります!」
山本さん「五十嵐さん。また、網やるんやね〜」
五十嵐「はい。一ヶ月ほど滞在制作させてもらいます」
山本さん「そら。楽しみやね」「なんでも言うてな」
五十嵐「はい、ありがとうございます!」「山本さん。おかわりなく、お元気でしたか?」
山本さん「元気でないわ。あれから3年経ってな。もう歳やわ。いつ死んでもおかしないわ(笑)」「そんで、今日の風呂は何時にする?」
五十嵐「えっと、、、じゃあ7時半でお願いできますか?」
山本さん「ええよ。そしたら7時半に沸かしとくからな。よし。7時半な、7時半」
そう。ここでは、管理人さんが毎日お風呂を準備してくれるのだ!ありがたや〜。
このお風呂、ボイラーで焚くので、温度の調整が可能。
糸の染色には、糸の表面をコーティングしてあるノリを落としたり、染料を大鍋一杯のお湯で溶いて作ったりと、何かとお湯が必要なので、いつも鍋やヤカンや電気ポットでお湯づくりに追われる。しかし、今日は途中で山本さんが声をかけてくれた。
山本さん「五十嵐さん。これボイラーでお湯沸かして、やろか?」「そんで、風呂でみんな一緒にノリ落としたらええやろ」
五十嵐「え?!いいんですか?それは助かります!」
山本さん「よっしゃ!んじゃ、ボイラー炊いてくるわ!」
今回制作する高さ5m×幅60mの網を編むのに必要な糸は、おおよそ50㎏。50㎏の糸となると、かなりの量を染めなければならない。50㎏の糸は綛(糸を輪にして束ねた状態)にして165綛になり、1色33綛ずつ染めて、5色で165綛という計算だ。かなりの時間と手間を要するのだが、この山本さんのアイデアと協力で、かなり助かった。そして山本さんは自然に染色作業を一緒にやってくれた。〈そらあみ〉のはじまりとしては、この自然な流れは申し分ない。
こうして、一色ずつ順調に染めていった。
順調とはいえ、やはりそれないに時間がかかり、気がつけば18時をまわっていた。最後に染める色は赤だったのだが、ここで問題が生じた。イメージしている赤の色が出ないのだ。どうしたのだろう?いろいろ試したがどうにもこうにもうまくいかない。染料が劣化してしまったのだろうか?これは困った。明日は乾かして、明後日から編み始めである。今から染料を買って染めている時間はない。どうしようか、、、。
一時悩んだが、疲れもあるし、辺りは暗く、自然光の中で色を見られないし、これ以上、染色作業を続けるのは難しいと判断し、明日の朝もう一度実験してみてから決断することにした。
台所で染色します。
鍋での染色中。管理人の山本さんが、自ら落し蓋を抑えてくれます。
染色した糸とナカンダ浜。むこうに瀬戸大橋と海が見えます。
ボイラーを焚いてもらい、お風呂場でノリ落とし。効率アップ!山本さんに感謝!
テストピースで試し染め。
色調整。おかしい。イメージしている色が出ません。