くすかき十三日目。朝のくすかきには大人18名、子供12名の合計30名が集った。30人でくすかきするのにちょうどよいくらいの落葉のあった朝だった。
日中は、山かげ亭(会期中の滞在先)で芳樟袋ステッチワークショップを大人8名で行った。
芳樟袋とは、くすかきで集めた1年間の記憶を宿す樟の葉を布で包んだ匂い袋。太宰府天満宮の案内所や宝物殿で販売したり、くすかき奉加帳という一口2,000円の寄付制度に参加してくださった方へのお礼の品としてお渡しする。
色とりどりの美しい麻生地は中川政七商店さんからご提供いただいている。昨年までは袋状に縫製するところまでプロジェクトスタッフが行っていたのだが、今年からは地元の方に縫製するところからお願いしている。やがては地元太宰府の女性陣を中心に楽しみながら制作するものになっていくといいなと考えている。今年はその第一歩。
今日は、今後一緒に制作する人が少しずつ増えていくように、知り合いに声掛けしてもらい、みんなで袋にステッチを入れる作業を行った。
自分も参加させてもらった。よく考えると、芳樟袋は9年前の初回から制作しているが、自分自身でステッチを入れるのは、はじめてだった。小学生以来の家庭科の授業のようで、これがなかなか、まっすぐに同じ間隔で並縫いをするのは難しい。思わず無口になり、黙々と手を動かしていた。
しかし、なんとすごいことか、集った女性陣はみなさん手を動かしながら、ずっとお話しをしているではないか、どうしてこんなことができるのか。自分はしゃべるとどうしても手が止まってしまう。2つのことが同時にできないのだ。女性はやはり特別な才能を持っているのだろう。
天気もよく、縁側の先に見える新緑がそよ風に揺れ眩しい。時折、鳥の鳴き声がチュンチュン、チッチと聞こえている。
この山かげ亭という静かな空間で、チクチクと縫い物をしながら話をしている時間が、なんとも穏やかで、心豊かな感覚になる。
みなさん是非、この時間を過ごしにいらしてください。
昨日までの落葉を集めた掻き山と、昨日から今朝までに落ちた落葉。
今年はサッカーワールドカップイヤーの影響か、サッカーボール持参が多い。去年までは独楽(こま)だった。
その場所に関わった分だけ、その場所が自分にとって大切な場所になっていく。
学生服、スーツ。くすかきをしてから学校や会社に行くと、車のアイドリングみたいなもので、頭や体が温まった状態になるので、普段に比べ、勉強や仕事がはかどるそうです。
どうしても根っこの周りの落葉が気になる人たち。
会期直前に右手を骨折してしまい、ベストな状態でくすかきできないけど、やれることをしに来てくれます。ここに来てくれるだけでうれしい。そこにいるということが、全体の空気感の1つをつくっている。
芳樟袋をステッチ。
手を動かしながら、話に花が咲きます。
技術指導中。
人生初の芳樟袋ステッチ。どこか不格好ではありますが、自分が縫うと特別な愛着が湧きます。