くすかき十日目。樟脳回収。

くすかき十日目。今朝の気温は13度。三寒四温の四温の方が続いている。今日はくすかきは定休の月曜日だったので、昨日の〈くすのこうたき〉で水蒸気蒸留した樟脳の回収のみ朝6時半から行った。

 

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昨日も暖かかったし、今朝も13度とかなりあったかいから、あまり期待できないかな。

 

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お!意外と採れてる!

 

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うーん。収穫量への影響は、気温もあるけど、やはりそれだけではなさそう。

 

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始業式で学校に行く前に樟脳回収。

 

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二人は新中学一年生。入学式までまだあと数日は学校に行かなくてよいそうです。

 

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桜は満開。樟脳も上々。


くすかき九日目。樟の木の中で起きていることを想像する。

くすかき九日目。今朝の気温は10度。暖かい朝が続いている。6時半からの〈朝のくすかき〉には大人14名、子供10名、合計24名。その後、10時からの〈くすのこうたき〉と16時からの〈夕方のくすかき〉には大人8名、子供6名の参加があった。

 

会期中、毎週末の土日で〈くすのこうたき〉と題し、樟の葉っぱを水蒸気蒸留し樟脳づくりを行っている。これまでの経験で寒い日の方が、樟脳がたくさん採れるようなのだが、昨日も今日も朝は10度で日中は20度以上と、かなり暖かいため、あまり収穫量は期待できない。

 

もちろんたくさん採れた方が良いのだが、これを、温度を徹底管理したような工場でコンスタントに収穫できたとしても、やはりそれは面白くない。

 

天然樟脳づくりを日本で唯一されている内野樟脳につくり方を習いに行った時に、ご主人から聞いた話だが、何度同じやり方でやってもフタを開けてみるまでは、どれくらい採れているか分からないというのだ。

 

これは、自然条件によって樟脳の収穫量は左右されるということである。もっといえば、天候や気温や気圧の変化に、樟は反応しているということである。

 

そう考えると〈くすのこうたき〉で樟脳を取り出し、それを観察するということは、樟の木の中で起きている反応を見ているとも言える。

 

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昨日に引き続き今日もたくさんの落葉。

 

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若葉も大きくなってきました。

 

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楼門前も〈くすかき〉します。

 

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昨日の〈くすのこうたき〉で水蒸気蒸留した樟脳の回収。木の中で起きていることを想像してみる。

 

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タライにできた樟脳をろ過しています。

 

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樟脳回収中。

 

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今日の〈くすのこうたき〉のために、薪をくべて羽釜の湯を沸かしています。

 

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葉っぱを細かく砕きます。

 

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砕いた葉っぱを水蒸気蒸留装置に入れます。

 

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砕いた葉っぱを押し込みます。

 

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樟の木の中で起きていることを想像するための装置でもある。

 

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薪割りを伝授したり、応援したり。

 

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夕方のくすかき。またこんなに葉っぱが!

 

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今日は一日、朝から夕方まで樟と向き合う1日でした。

 

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日に日に大きくなる掻き山。


くすかき八日目。活気ある朝。

くすかき八日目。今朝の気温は10度と暖かく、樟の杜の境内は一面落葉が広がっていた。6時半からの〈朝のくすかき〉には大人20名、子供17名、なんと合計37名が集った。おそらく〈朝のくすかき〉史上最高人数となった。その後、10時から〈くすのこうたき(樟脳づくり)〉、16時から〈夕方のくすかき〉といった1日。

 

〈くすかき〉は、その日の落葉が多いか少ないか、想像はできても本当のところは行って見ないとわからない。それと同じで、どれくらいの人数が集まるかも行ってみないとわからない。しかし今日は葉っぱも人も多かった。そして、とても良い〈くすかき〉ができた。あれだけの広範囲の落葉と無理なく向き合えるなんて、これまでのみんなの経験が活かされ、〈くすかき〉として一段階ランクアップしたような感覚を覚えた朝となった。

 

今朝はあまりの落葉の多さに定時の6時半より少し早く、到着したら順次はじめてもらった。すると次から次へと人が集い、大量の落葉が広がる境内と向き合う気持ちが重なるかのように活気が生まれ、天神広場全体を網羅するほどに広範囲に渡って〈くすかき〉することができた。しかもすごかったのは、あれこれ指示を出すのではなく、経験者がそれぞれに考え、道具を出したりしまったり、〈くすかき〉する範囲を判断したりしながら、ごく自然な流れで普段通りの時間で終えることができたことにある。

 

7時過ぎ、朝のくすかきを終え、地面にしっかり縞模様が入り、一段と大きくなった掻き山を眺めると、なんとも言えない達成感が辺りを包んで、自然と会話が弾んだ。

 

「いやぁ、今日はすごかったね。いい感じやった!」

「人も多かったけど、あれだけの落葉の量でよく時間通り終わったよね」

「ほんと、朝来た時はどうなるかと思ったよ」

「なんか、いい流れがあったよね」

「そうそう、なんか今日は活気があったよ」

「大人も子供もみんなよく役割分担してやれてたしね」

「やっぱ、葉っぱが多かったから、みんな気合いが入ったんでしょ(笑)」

 

落葉の量や、人数、メンバー、天候や気圧や気温など、様々な条件が揃ったことで生まれた理想的な〈くすかき〉の時間だった。今年はあと何回こんな瞬間に立ち会えるのだろう。落葉の多い朝が楽しみでならない。

 

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境内に広がる落葉

 

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自分ができることを、それぞれに。まるで朝のセッションをしているよう。

 

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本殿前のスペースまで

 

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こっちは絵馬堂の前のスペースまで

 

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掻き山は一段と大きくなりました。

 

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〈くすのこうたき〉水蒸気蒸留する葉っぱから枝や砂など余計なものを取り除いています。

 

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〈くすのこうたき〉お昼休憩中。桜満開です。

 

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〈くすのこうたき〉燃料にする薪割り。この一年でまた一段と逞しくなりました。

 

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〈夕方のくすかき〉夕方までにまたこんなにたくさんの落葉がありました。


くすかき七日目。1年で10㎝。今年は誰が芽吹くか?

くすかき七日目。今朝の気温は9度。昨日の3度に比べたらかなり暖かく感じる。暖かくなればもちろん落葉も多い。朝の〈くすかき〉には大人12名、子供11名、合計23名が集った。

 

〈くすかき〉の楽しみの1つに、子供たちの成長がある。成長の楽しみには大きく2つあり、1つは1年ぶりに再会した時の成長ぶりの驚き。もう1つは会期中の3週間に樟若葉が芽吹くように急成長を遂げる瞬間に立ち会う喜び。

 

後者の方はこれまで何人も見てきた。言葉で表現するのは難しいのだが、何かきっと本人の中で意識や気持ちの変化が生じているようで、しっかりするというか、顔つきや振る舞いが明らかに変わるのだ。

 

大人たちは毎年、今年は誰の年になるのかと楽しみにしている。そう、樟若葉と同じように、子供たちの芽吹きを観察しているのだ。

 

これに立ち会うことほど感動的なことはない。今年ももちろんその兆しを既に感じさせてくれている人もいる。

 

そして前者は、単純に一年に一度の再会の瞬間に、分かりやすく身長の変化の驚き。今年最もびっくりしたのはなんと一人の男の子の身長が10㎝も伸びていたのだ。あまりの成長ぶりに一年前の記憶が揺らいだ(笑)確かにものすごくよく食べるなぁとは思っていたのだが、やはりあの食欲は身長爆発の前兆だったのだ。

 

まぁ身長は分かりやすい話だが、それ以外にも一人一人確実に成長している変化に気がつく。ほうきが持てるようになってたり、掻き方が上手くなっていたり、視野が広くなっていたり、挨拶ができるようになっていたり、少し我慢ができるようになっていたり、大きな声で返事ができるようになっていたり、少し恥ずかしがるようになっていたり、年下の面倒を見れるようになっていたり、それは本当に一人一人違う。

 

若葉のように、芽吹くタイミングも育つペースもみんな違う。

 

彼らは僕らが生きられないもっと未来を生き、つくっていく人たちだ。だから彼らには、春の寒さの大切さや、朝日の美しさや、樟若葉の色の変化や、樟脳の香りや、落葉を掻いた時に出る音や、みんなで協力する楽しさや、自分と向き合う大切さや、いろんな大人がいることといった、広くて深くて美しい世界があるということを自分の肌で感じて、自分で見つけてもらいたい。

 

子供たちは未来そのもの。朝日をたくさん浴びて、のびのびと大きく育ってほしい。

 

しかし、自分は身長が止まってから何年経つのだろう?むしろ身体は劣化の一途をたどっている(笑)

 

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子供たちの目覚しい成長。

 

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昨日の自分を今日超えていく。

 

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できることが増えていく。

 

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今日の掻き山。

 

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単に山が大きくなっただけでなく、1週間の場づくりで、だんだんと掻き山の存在感が増してきている。


くすかき六日目。広がる根っこ、それぞれの関わり方。

くすかき六日目。今朝の気温は3度。太宰府入りしてから最も冷え込んだ朝。でも日が出ると暖かく、日中気温は19度までになった。朝の〈くすかき〉には大人19名、子供13名、合計32名が集った。今朝は参加者が多かった。多い日、少ない日、いろんな日がある。理由は分からない。それぞれに寝覚めが良かったり、足が向くタイミングがあるのだろう。しかしこんなに寒い朝にこんなに集まるなんて、なんとも面白い。

 

初参加の人に話を聞いてみると、「〈くすかき〉は以前から知っていて、ずっと気になってて、やっと来れました」とか「子育てがひと段落したので今年は参加できます!」といった声があった。

 

これは一度きりの開催だったら決して起きないことである。長く続けたから起きることなのだと思う。参加できるタイミングというものが、それぞれにあるのだ。毎年、樟は葉っぱを落とし、この10年〈くすかき〉を続けてきた。少しずつではあるが、樟の葉が落ちる頃に〈くすかき〉があるということが確実に伝わっていっていて、今ここに来られないけれど気にしてくれていたり、興味を持ってくれている人が増えているのだと実感できるようになった。

 

会期中にお宮で限定販売される、くすかき関連の品である「くすかき芳樟袋」「くすかき手ぬぐい」(※くすかきHPからも注文可)も、「毎年まとめて購入して各地の友人に送っているのだけれど、評判が良いから今年も楽しみにしています。」といったメッセージ付きの注文が先日届いた。こんな形で〈くすかき〉を楽しんでくれている人もいたのだ。これも予期していなかったことだ。

 

また、〈くすかき奉加帳〉という2000円の寄付をいただき運営資金に当てさせてもらい、そのお礼として「芳樟袋(樟の葉を包んだ匂い袋)」「樟香舟(樟の葉から抽出した樟脳を紙で包んだもの)」という太宰府からの春の香りをお届けするといった制度も、東京をはじめ全国各地に毎年季節の風物詩として楽しみにしてくれている人が増えてきている。

 

参加のタイミングや、参加の形はそれぞれで、現場に来られなくても、いろんな関わり方で〈くすかき〉を楽しみ、応援し、形づくってくれている人がいる。だからこうして続けて来られたのだ。10年続けさせてもらえたおかげで、その裾野が確実に広がっている。今の想像力と感謝の気持ちを忘れずに、樟の木が大地に根を張るようにゆっくりと確実に〈くすかき〉を育てていきたいと思う。

 

目に見える若葉は、目に見えない根っこによって支えられている。

 

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朝6:30に32名。なかなかの迫力。人手があると広い範囲を〈くすかき〉できます。

 

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根っこの周りも丁寧に〈くすかき〉します。

 

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今日の掻き山。

 

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目に見える若葉は、目に見えない根っこによって支えられています。

 

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今朝は3度と冷え込んだせいか、空気も澄んで、朝日を浴びた樟がキラキラと輝き、荘厳な景観が広がっていました。まさに聖地としてのお宮の姿。1時間後には観光客で賑わい、また全く違った雰囲気となります。


くすかき五日目。葉っぱが落ちてくる場所をつくる。

くすかき五日目。今朝の気温は6度。今朝も寒い。それでも日中は18度くらいまで気温が上がるので落葉はまずまずある。朝の〈くすかき〉には大人12名、子供11名、合計23名が集った。「くすかきはじまったよ」という噂が流れていくのか、日々参加者が徐々に増えていっているような印象がある。

 

朝のくすかきの途中で一陣の風が吹いた。すると、パラパラと桜吹雪ならぬ、樟葉吹雪のように葉っぱが落ちてきた。みんな思わず手を止めて樟を見上げ、その幻想的な風景に見惚れる。すると再び風が吹き、パラパラ、パラパラ、葉っぱは止めどなく落ちて来た。

 

「あ〜!せっかく落葉を掻いたのに元の風景に戻っていく〜」とどこかから聞こえてくる。

 

この瞬間に出会うのも〈くすかき〉の1つの醍醐味である。

 

〈くすかき〉は、「葉っぱが落ちて来る場所をつくる」という考え方を大切にしている。それは、こうして止めどなく葉っぱが降り注いできた時に生まれた考え方だ。

 

掻いても掻いても同じ風景に戻っている。それはとても不思議な体験で、いつしかこの行為は落葉をただ単に掃除しているのではなく“葉っぱが落ちて来る場所を整えている”いわば場づくりをしているのだと気がついたことがあった。実はこれが十数年前に自分に起きた出来事で、この体験が〈くすかき〉をはじめるきっかけになっている。

 

そして面白いことに、整えられ均等に縞模様の入った地面に落ちた葉っぱと、そうでない場所に落ちた葉っぱは見え方が違うのだ。

 

場を整える。そのたった一つの所作が物の見え方を変える力があるのだ。

 

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今朝6:30の風景。

 

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止まらない落葉に思わず手を止め樟を見上げる。

 

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7:00頃、落葉が止まったタイミングで場を整える。

 

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今朝7:30の風景。元の風景に戻っている。でも確実に葉っぱの見え方が違う。


くすかき四日目。早期化する落葉時期。

くすかき四日目。今朝の気温は5度。昨日よりさらに寒い。そんな中、朝の〈くすかき〉には大人9名、子供11名、合計20名が集った。

 

〈くすかき〉では、会期の3週間をかけて落ち葉を掻いて溜めていく。日々大きくなっていく落ち葉の山を「掻き山(かきやま)」と呼んでいる。この掻き山がどれくらい大きくなるかが、最終日に描き出すかつて存在した千年樟の落葉風景に影響する。

 

これまで落ち葉が多い年も少ない年もあったが、果たして今年はどうなるだろう?みんなとの会話を通じての今の所の印象だと、今年は数日前まで暖かい日が続いたので、わりかし早く落葉がスタートして、前半にたくさん落ちてしまい、会期終盤にはほとんど落ち葉がないような年になりそうな予感がある。

 

まぁこれは自然現象なのであくまで予感でしかないのだが、、、。

 

お宮の方とも話をしたが、ここ数年、年々落葉時期が早くなっているという話がよく出る。昔は5月のゴールデンウィーク頃まで落ちていたが、最近はその前にほぼ全部落ち切ってしまうというのだ。おそらくこれは地球温暖化の影響なのだろう。

 

くすかきの会期は、樟の落葉に合わせて決定している。このまま年々落葉時期が早くなっていったら、いつしか、お正月に〈くすかき〉するなんて時代が来るのだろうか?

 

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掻いて集めた樟の落ち葉をふるいにかけて、枝や砂を取り除きます。

 

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下からもチェック。

 

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葉っぱだけになったら柵の中にいる人に渡して、掻き山に足してもらいます。

 

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まだ四日目。まだまだ小さい掻き山です。

 

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樟と掻き山。

 

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境内に浮かび上がる光と影の柔らかなコントラストが美しい。


くすかき三日目。第四十代太宰府天満宮宮司就任奉告祭と新元号「令和」

くすかき三日目。今朝の気温も6度。数値は昨日と変わらないが、さらに寒くなった印象。空気はピリリと緊張感がありつつも清々しい朝。〈くすかき〉は月曜定休なので今日はお休みなのだが、昨日の〈くすのこうたき〉で抽出した樟脳回収のみ行った。

 

そして今日は、7:00から第四十代太宰府天満宮宮司就任報告祭が行われ、その後、11:30から新元号「令和」が発表された。

 

なんと、新元号「令和」出典元の万葉集の梅の詠は、今から約1300年前、大宰府政庁の奥の方に住んでいた大伴旅人が催した梅花の宴で詠まれたもの。

 

新宮司の就任奉告祭の数時間後に発表された新元号が太宰府にゆかりのあるものになるなんて!まさに新たな時代の幕開けに立ち合ったような感覚になった。

 

新元号「令和」という、かつての太宰府からの声を聞き、今の太宰府で新たな時代を迎えることが、第四十代太宰府天満宮西高辻信宏宮司の初仕事。太宰府天満宮の1117年という果てしない時間を代替わりしながらつないでこられた宮司の40代目にして訪れた、今日という日。菅原道真公の直系というだけでもすごいことだなと思っていたが、やはりものすごい天命の元にある人なのだなと、あらためて実感した。

 

でも逆に、元号が太宰府に所縁あるものになろうとそうでなかろうと、宮司就任奉告祭が朝7時に誰かに見せようとする訳でもなく、粛々と行われていたことの方がよっぽど深い印象に残った。

 

若葉が芽吹き落葉する樟のように、しっかりと確実に世代交代をしている姿がありました。そこには、世の中や人々の心のあり様が変われども、それらを超越して、いつの時代も人としてのあり方を確認する拠りどころとして、この地に生き、歴史と時間と日本人の精神性をつないでいく者としての覚悟を見ているようでした。

 

今朝の太宰府は冷え込みました。凛とした境内で芽吹いたばかりの樟若葉に朝日が当たって神々しく光っています。そこに、新しい風が吹いてきています。これからの時代のはじまりを告げる風です。

 

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朝7時。凛とした空気の中、第四十代太宰府天満宮宮司就任奉告祭がはじまりました。

 

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昨日の第三十九代太宰府天満宮宮司退任奉告祭同様に半分は神職の方、半分はご家族の方の姿がありました。

 

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就任奉告祭を終えられた西高辻信宏宮司。

 

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その後、樟脳回収を鬼すべ堂で行いました。昨日のくすのこうたきで樟落葉を水蒸気蒸留して取り出し、一晩寝かした樟脳です。

 

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やはり寒いとたくさん樟脳が結晶化するようです。

 

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ろ過してます。「これ理科で習ったけん!でも手が冷たい〜!でも寒いからいっぱい取れたね〜(笑)」

 

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冷却タンクの内壁から樟脳を回収。

 

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コップ一杯になりました!十分に多い収穫量です!

 

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太宰府は桜が満開です!


くすかき二日目。第三十九代太宰府天満宮宮司退任奉告祭

くすかき二日目。今朝の気温は6度。昨日までに比べて寒くなったが、凛と空気の澄んだ朝。寒い朝もまた春らしい。今日は、6:30から天神広場で〈日々のくすかき〉、10:00から鬼すべ堂で〈くすのこうたき〉、16:00から天神広場にて土日のみ夕方も開催する〈日々のくすかき〉といった1日だった。

 

今朝の6:30が今年の〈くすかき〉の掻きはじめ、いよいよ本格始動となる。この日の朝は毎年緊張する。誰が来てるかな?新しい人は来てるかな?どれくらいの人が今年は集まるのだろう?最悪自分1人でもきっちりやろう。そんな覚悟をして天神広場へ向かう。

 

結果、集まったのは大人11名、子ども8名の合計19名。ここ例年のイメージだとちょっと少ないような感じもするが、内半数は初めての人だったというのがこれまでになかったはじまりとなった。経験者が一年前の記憶を頼りに初参加の人にやり方を伝える。

 

今朝は冷え込んだせいで落葉が少ないこと、去年と今年の落葉の色や大きさの違い、毎日少しずつ葉を広げ白から緑へと色を変えていく若葉のこと、松葉ほうきの使い方、ふるいのかけ方や枝とりのコツ、縞模様の描き方や地面の整え方、朝の境内の清々しさなどなど、それぞれが、それぞれの言葉で〈くすかき〉を伝えている風景があった。

 

〈くすかき〉はその年に集う人と、その年の樟との関係によって、その年だけの〈くすかき〉が形づくられていく。それぞれがそれぞれに影響を与えながら会期最終日までの流れができる。いわば三週間のライブセッションのようなもの。今年は今年、また新しい〈くすかき〉になりそうな兆しを感じた朝だった。

 

そして今日、朝9時から御本殿にて第三十九代太宰府天満宮宮司退任奉告祭が行われた。西高辻信良宮司、この方との出会いがなければ〈くすかき〉の挑戦ははじまらなかった。宮司として最後の祝詞をあげる姿、その所作と声を心身に焼きつけながら、昨年末に直接会った際にお話してくれた2つの話を思い出していた。

 

1つは、春、代替わりすることに触れ、30歳の時に宮司になられ、35年。そのあいだにやった仕事で一番の仕事は、樟の杜の再生だったというお話。

 

もう1つは、この地は、永く変わらずにある場所。今は何かと速いことが良しとされる時代だが、100年、1000年という時間軸を感じられる。それらに気付いて長い時間の視点から物事を考えられる場所であってほしいというお話。

 

〈くすかき〉が西高辻信良宮司の“眼差し”を未来に伝える、ひとつのきっかけになれればと、胸に刻んだ日となった。

 

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枝などを取り除き、葉っぱだけを掻き山に足していきます。

 

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初日は思い出しながらなので、少しちぐはぐしてしまう。

 

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掻き山はまだ小さい。これが三週間後の最終日には今年はどこまで大きくなるのだろう。

 

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西高辻信良宮司、最後の朝拝。

 

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宮司退任奉告祭。御本殿には神主の方がずらりと並ぶのかと思っていたら、半分はご家族の方が並んでいた。家族を大切にしている、もっと言えば、天満宮職員の皆さんを家族のように思っている宮司さんらしい退任式の印象でした。

 

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くすのこうたき。水蒸気蒸留で葉っぱから取り出された樟脳が水滴の表面に白く見えています。

 

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くすのこうたきの昼食風景。外でみんなで食べると美味しい。

 

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下の羽釜を沸かして、銀の筒に砕いて入れた樟葉に水蒸気を送ります。約200度の融点に達すると水蒸気と共に樟脳成分が右側の冷却タンクに移動し、水蒸気は水に、樟脳成分は結晶化し冷却タンクの内壁にくっつきます。

 

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このまま一晩置いておいて明日の朝回収します。寒い一日でしたが、この10年の経験だと、寒い方が樟脳はよくとれます。でも天然樟脳をつくっているプロの方も言っていたのですが「開けてみないとわからない」のです。


くすかきはじめ。10年目の春。

くすかき初日。今日は天気も良く暖かく穏やかな春の1日だった。10:00から山かげ亭にて〈松葉ほうきづくり〉、13:00から御本殿にて〈くすかき成功祈願祭〉。その後〈柵設置〉を行い、無事に初日を終えた。

 

「千年後の日常を一緒につくってみませんか?」を問いかけとする〈くすかき〉は1000年という時間を想像するプロジェクトでもある。

 

太宰府で迎える10年目の春。1年ずつを積み重ねてやっと10年、この10年の10倍が100年。これくらいまではどうにかその時間感覚を想像できるようになった。しかし1000年となるとこの10年の100倍、、、うーむ、やっぱり1000年となると、とんでもなく果てしない。

 

しかし、ここには1000年以上生きてきた樟の杜があり、1117年の歴史を有する太宰府天満宮がある。そう、具体的に1000年という時間を今もつないでいる存在に出会えるのだ。

 

そこに10年通わせてもらい気づいたことがある。一見、何も変わらずに1000年あり続けているように見える樟と太宰府天満宮だが、毎年必ず樟は新芽が芽吹き、お宮も若手が台頭し、どちらも健やか且つダイナミックに世代交代が行われ、1000年経った今も、どちらも成長を続けているのだ。

 

あり続けるということは、世代交代しながらも、成長し続けるということなのだ。

 

現代の社会生活において自分の人生以上の時間を想像する機会は少ない。ましてや千年という時間など具体的に想像することなどない。

 

それでも確実に千年前があったから今があるのである。千年前から今日まで時代が変わっていく中で、その間に生きた人が残し伝えたかった大切なもの、そして残ってしまった様々な問題が今という時代を形作っている。

 

我々が生きる時代もまた、遥かな時のあいだである。その生き様について太宰府にくると考える。

 

それでも、まずは今年、そして今日をどう生きるか。

 

世代交代しながらも、成長し続けられる〈くすかき〉であるよう1000分の10年目の挑戦がはじまります。

 

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樟の落葉はじまってます!今年は落ちるのが早いかな?

 

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天満宮の松葉ほうきを毎年200本以上制作されている職人の原口さんに来ていただき〈松葉ほうきつくり〉を行いました。松葉ほうきをつくって64年、御年82歳になられます。

 

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今年も満開の桜の木の下という最高の制作会場になりました!

 

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自分の松葉ほうきをつくるところからはじまります。

 

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集中して制作すると時間はあっという間に過ぎていきました。

 

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完成!

 

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柵も無事に設置完了!明日の早朝6:30から日々のくすかきはじまります!