新たな時間と1年ぶりの時間

太宰府滞在16日目。くすかき2日目。朝6時10分電話が鳴った。

 

「おはようございます。ほうき借りに来たんですけど(笑)」

 

参道で梅ヶ枝餅やお土産屋さんをしている萬屋さんの若旦那からだった。実は今年の新たな挑戦の1つが、早朝のくすかきである。

 

今年の1月7日、太宰府天満宮で行われた鬼すべ神事で地元の同世代の方々と知り合うことができた。その時、くすかきの話を相談した際出たアイデアが、朝のくすかきがこれまで通り8時半という時間からだと、主婦の方とかじゃないと参加できないから、出勤前の6時半とかから7時過ぎくらいまでやって、その後、出勤するといった流れなら参加できる人いるかもよ。ということだったので、とりあえず今年は実験的にやってみよう。ということになり、今日から朝6時半から早朝くすかきをやってみることにしたのであった。

 

イメージで言うと春のラジオ体操といった感じだろうか。なので、今年の自分の目標は「早起き」である。

 

境内に着くと、鬼すべ神事大町地区の取締も来てくれていた。そして少し遅れて、やはり鬼すべ神事で知り合った地元の方も駆けつけてくれ、自分も含め合計4名が集った。

 

この時間帯のお宮は初めてだった。本殿で朝の準備をされている神主さん、朝の散歩や体操をしている方など、ぱらりぱらりと人の姿があったが、とても静かな朝の時間が流れていた。何より、しんと冷えた空気の中の朝の光が美しい。新たなお宮の顔を見た感覚であった。

 

早朝の大雨の影響で葉っぱがびしょ濡れだったので“くすかき”は見送って、今日は境内の裏山の散歩道を案内してもらった。「このクヌギの木にカブトムシがいっぱいおったんよ」とか「この裏山から昔は太宰府遊園地に忍び込めたんよ」とか、本当に地元の人しか知らない朝の太宰府案内は非常に興味深かった。胸いっぱいに朝の山の空気を吸って1日がはじまる。これはすごくいい。身体がそう言っているのが分かった。

 

「じゃあ。また明日ね!」と言って別れた。なんとも懐かしい朝のこの感じ、まさに幼い頃のラジオ体操の感じだ。1人ではこの時間を毎日続けるのは難しい。だが、友人に会いに行くと思えれば布団から出るのは苦にならない。朝、約束の時間に約束の場所で会えるのが素直に嬉しい。地元の友人ができた感じである。

 

いったん山かげ亭にもどって朝食をとり、8時半の朝拝へ、1年ぶりの朝のくすかき。その後、鬼すべ堂に登って、10時〜15時は“くすのこうたき”で、水蒸気蒸留をして葉っぱから樟脳を抽出。16時からは夕方のくすかきを行った。樟の木の下でみんなと会うのは、ほぼ1年ぶり。子どもたちの成長は著しく、背が大きくなっていたり、字が書けるようになっていたり、、、。今年の落ち葉は去年の若葉、1年前の自分と重ね合わせ“くすかき”を通して1年という時の刻みを確認することができた。

 

くすかき最初の日曜日。早朝のくすかきという新たな時間と、1年ぶりのくすかきというつないできた時間と、2つの象徴的な時間との出会いを果たし、意義深い1日となった。

 

水中メガネをして煙対策。

 

1年という時間は火の番を任せられるほどの成長がある。

 

冬場は薪ストーブなので、日常的に薪割りをしているそうです。頼もしい!

 

薪割り指導中。見学しつつ薪割り勉強中。

 

冷却装置。樟脳はとれているのだろうか?

 

夕方のくすかきは総勢20名ほどで行った。

 

1年ぶりに過ごす樟の木との時間。