魚々座(ととざ)3日目。今日も天気は雨が降ったり止んだりの繰り返し。これがある意味いつもの氷見らしい冬の天気ということ。でもまあ今年は雪が少ないそうだ。
土曜日ということもあり、魚々座は人が多く賑わいのある1日だった。人を集めた一番の理由は「カブス –氷見の海からはじまるWebマガジン-」(HP→http://kabusu.net/) の発刊記念トークイベントが開催されたからである。
以下、Webマガジン「カブス」のフェイスブックページより
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Webマガジン「カブス」は、自然豊かな富山県氷見市にくらし、食、漁業、アート、コミュニティ活動など様々なアクションに関わる人々が、それぞれの想いや活動レポートを記事として届けます。1月16日(土)は、ひみ漁業交流館 魚々座にて、発刊記念トークイベント「ごちそうカブス」を開催。トークイベントに参加される方にカブス汁をふるまいます。
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タイトルにもなっている「カブス」という言葉は、氷見の漁師が、その日の漁獲れた魚のうち、分け前としてもらう魚のことを意味する。トークイベントに加えて、本場の漁師仕込みのカブス汁までふるまわれるとなると、やはり人は集まる。そらあみのワークショップを行っているすぐ横でトークイベントイベントが行われたので、トーク内容を聞きながらのワークショップとなった。
話に耳を傾けながら、去年リサーチの際、氷見の漁師さんから聞いた「村張り」の話を思い出した。漁師さんの話はこうだ。
「氷見は山と海に囲まれた豊かな土地。しかし平地が少なく、米はたくさんとれない。だから農業だけではやっていけない。定置網漁は港から近くに仕掛けた網に魚を獲りにいくから、他の漁に比べて時間の目処が立つ。定置網漁は海の畑に収穫にいくようなもの。こうして氷見では半農半漁の暮らしが出来上がっていった。でも巨大な定置網を個人で運営するのは多額のお金がかかるから無理。そこで、村人が出資金を出し合い、1つの定置網を張った。だから《村張り》という。当然、獲れた魚も村人みんなで平等に分けた。今でいう株式会社の出資と配当の関係と同じ仕組み。その網株を平等に分けて、配当として株数の魚をもらう。その株数(かぶすう)が、なまって《かぶす》になった。だから《かぶす》=《その日に獲れた魚の分け前》。」というのだ。そしてもちろん、村人たちは破けた網を村人総出で編んで修復したり、網のつながりによって支えあって、氷見という土地で命をつないできた。
しかし、今は、定置網も機械編みとなり、定置網漁は漁業という仕事として特化し、村で定置網を張る文化はほとんど残っていない。
この話を聞いて、氷見での《そらあみ》は、網を編むことでコミュニティをもう一度つなぎなおし、「村張り」のような存在になることを目指すという指針を立てたのが1年前。
今日、魚々座では、漁師、市民、子供達、といった老若男女が集い。網を編む人がいて、カブスを食べる姿があった。時代と共にばらばらになった定置網漁がもらたす、地域コミュニティをつなぐ文化的側面が、再構成された瞬間を見たようだった。
今日の魚々座は氷見という土地の本来の美しい文化が、再び芽吹いた記念すべき瞬間だったのかもしれない。
最近、自分の活動のテーマとなっている「なつかしい未来」を今日、氷見で感じた。
氷見は、若者が地元の暮らしに興味を持って動き出し、先輩たちが面白がって昔話を聞かせ技を見せ、漁業文化を中心に盛り上がってきています!Webマガジン「カブス」注目です!そらあみのコラムも掲載されています!
去年、定置網漁に富山湾へと連れて行ってくれた大先輩漁師さんたちがカブスを作ってくれました。久々の再会!そこには自然と酒もある(笑)
これが今日のカブス汁。具材はカワハギ、サバ、イカ。出汁は魚から出たものだけ。あとは味噌しか入ってない。しかし、旨味がとんでもなく濃く甘い。漁師のカブス汁には必ずイカが入っているとのこと。
造船された木造和船があり、網を編む人がいて、カブス汁を食べる人がいる。
さらにそこには、子供と母親の姿もある、、、これが現代の氷見に瞬間的に復活した平成28年の村張りの姿。